株式のニュースを読んでいると、「PER(株価収益率)は◯倍」「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」といった言葉がよく出てきます。どちらも、いまの株価が、その会社の「利益」や「資産」と比べてどれくらいの水準にあるのかを表す物差しです。
株価の数字そのものは、会社によって数百円だったり数万円だったりと、ばらばらです。株価だけを並べても高いのか安いのかは判断しにくいため、利益や資産と比べた「倍率」にそろえて見るのが、この2つの指標の考え方です。
ポイント1: PERは「利益の何年分か」
PER(Price Earnings Ratio)は、株価を1株あたりの純利益(EPS)で割った数字です。
PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)
たとえば(説明のための仮の数字です)、株価が2,000円で、1株あたりの純利益が100円の会社なら、PERは20倍です。言いかえると、「いまの株価は、1年分の利益の20年分にあたる」ということになります。
同じ利益を出している会社どうしなら、PERが高いほど「利益に比べて株価が高い水準にある」、低いほど「利益に比べて株価が低い水準にある」ことになります。ただし、PERが高いのは、投資家がその会社の今後の成長に大きな期待を寄せていることの表れである場合もあります。
なお、PERの計算に使う利益には、すでに確定した前期の実績を使うものと、会社や市場が予想する今期の利益を使うものがあります。ニュースでは「予想PER」が使われることが多いので、どちらの数字なのかを確かめると読み違いを防げます。
ポイント2: PBRは「純資産の何倍か」
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価を1株あたりの純資産(BPS)で割った数字です。
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
純資産とは、会社の資産から借金などの負債を差し引いた残りで、株主の持ち分にあたる部分です。もし会社が事業をやめて資産をすべて現金にし、借金を返したとしたら、株主に残るお金の目安と考えることもできます。
そのため、PBRが1倍ちょうどのとき、株価はこの「解散したときの価値」と同じ水準にあるとされます。1倍を下回る「1倍割れ」は、帳簿の上の純資産よりも、市場がつけている会社の値段(時価総額)のほうが低い状態を意味します。
ポイント3: 「低い=割安」とは限らない
PERやPBRは「割安か割高か」を考える手がかりとして紹介されることが多い指標です。ただし、数字が低いから必ずお得というわけではありません。
- 業種によって水準がちがう。 成長への期待が大きい業種はPERが高く、設備や資産を多く持つ業種はPBRが低くなりやすいなど、業種ごとに「ふつう」の水準は異なります。比べるなら、同じ業種の会社どうしや、同じ会社の過去の水準と比べるのが基本です。
- 利益が一時的に大きく動くとPERもぶれる。 特別な利益や損失で純利益が大きく増減すると、PERが極端に低くなったり高くなったりします。赤字の会社ではPERそのものが計算できません。
- 低いのには理由があることも。 市場が「この先、利益が減りそう」「資産をうまく使えていない」と見ている場合、数字は低いままになりがちです。
ニュースとのつながり: 「PBR1倍割れ」が話題になった理由
日本では、東京証券取引所が2023年3月末、プライム市場とスタンダード市場のすべての上場会社に対して、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。自社の資本の使い方や株価の評価を取締役会で分析し、改善の方針を開示するよう求めたものです。
この要請をきっかけに、PBRが1倍を下回る会社が多いことが改めて注目されました。PBRは「株価 ÷ 1株あたり純資産」なので、会社が持っている資産をどれだけ効率よく利益につなげているかを表す**ROE(自己資本利益率)**とも深く関係しています。おおまかには「PBR = PER × ROE」という関係があり、資産を効率よく使って利益を伸ばす会社ほど、PBRも高くなりやすいと考えられています。
まとめ
- PERは株価が「1株あたり利益」の何倍か。利益に対する株価の水準や、成長への期待の大きさを映します。
- PBRは株価が「1株あたり純資産」の何倍か。1倍が「解散したときの価値」と同じ水準の目安です。
- どちらも1つの数字だけで判断せず、業種や過去の水準、利益の中身とあわせて見ることが大切です。
ニュースで「PER◯倍」「PBR1倍割れ」という言葉を見かけたら、「株価が利益や資産の何倍の水準にあるのか」という視点で読んでみると、内容がぐっとつかみやすくなります。