29日(木)夜の米国市場は、前日の取引終了後に決算を発表した大型ハイテク2社の明暗が先物の動きを左右しています。アルファベットが取引開始前に10%前後下げ、ナスダック100先物は1%超の下落です。21時30分に発表された7〜9月期の米GDP(国内総生産)速報値は前期比年率3.4%と、市場予想を上回りました。

28日(水)の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 52,475.10ドル +97.53(+0.19%)
S&P500種株価指数 7,743.98 +21.38(+0.28%)
ナスダック総合指数 26,549.85 +72.04(+0.27%)
米株価指数先物(12月限) 東京時間21時27分ごろ
ダウ平均先物 52,549.00(−147.00、−0.28%)
S&P500先物 7,754.00(−29.25、−0.38%)
ナスダック100先物 29,629.75(−349.75、−1.17%)

※米ヤフーファイナンスの表示(遅延値)によります。

21時30分に出た米国の経済指標 結果 市場予想 前回
7〜9月期の実質GDP速報値(前期比年率) 3.4% 3.0〜3.2% 2.2%
9月のPCE価格指数(前年比) 3.6% 3.6% 3.4%
9月のコアPCE価格指数(前年比) 3.1% 3.1% 3.0%
新規失業保険申請件数(10月18〜24日) 19.4万件 19.7〜19.9万件 19.4万件

※市場予想は集計元によって幅があります。

29日(木)の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 64,659.47円 +705.28(+1.10%)
TOPIX 4,003.28 +11.57(+0.29%)
今夜から明朝の主な予定(日本時間) 内容
22時15分 ECB(欧州中央銀行)の政策金利の発表(据え置きの予想)
22時30分 米国市場の取引開始
30日 2時00分 米7年債の入札(440億ドル)
取引終了後 アマゾン、インテル、コインベース、スターバックス、サンディスク、ストラテジーなどの決算

何があった?

アルファベットは大きく下落。 7〜9月期の決算で、1株あたり利益が市場予想を下回り、売上高も予想にわずかに届きませんでした。主力の検索広告の伸びは前年同期比12%と、4〜6月期の17%から鈍っています。AI(人工知能)向けの設備投資が膨らみ、フリーキャッシュフロー(本業で稼いだお金から投資を差し引いた額)は約91億ドルのマイナスでした。株探によると、株価は時間外取引で9%台の下げとなり、一時は10%を超えました。取引開始前も10%前後安い水準で推移していると伝えられています。一方、クラウド部門の売上高は前年同期の2倍超に伸びています。

マイクロソフトは上昇。 売上高と1株あたり利益がともに市場予想を上回り、クラウドサービス「Azure(アジュール)」の売上高は前年同期比48%増でした。設備投資は市場の見込みより少なく、10〜12月期の見通しも予想を上回ったことから、株価は時間外取引で2〜4%ほど上がったと伝えられています。

ソフトウェア株に売り。 前日に決算を発表したサービスナウは、契約の伸びが物足りないと受け止められ、時間外取引で2桁の下落となりました。AIの普及で従来のソフトウェアの需要が減るのではないかという心配が、引き続き重荷になっています。

GDPは強め、物価は予想どおり。 7〜9月期のGDPは年率3.4%と、4〜6月期の2.2%から伸びが高まりました。9月のPCE価格指数(個人消費支出の物価指数)は前年比3.6%、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアは3.1%と、いずれも予想どおりでした。新規失業保険申請件数は19.4万件と予想より少なく、雇用の底堅さが続いています。

注目ポイント

  • ハイテク株の「選別」。 同じAIへの大型投資でも、投資に見合う収益が数字で示せたマイクロソフトは買われ、キャッシュフローがマイナスになったアルファベットは売られました。AI関連の銘柄が一律に動くのではなく、決算の中身で評価が分かれる流れが続くかが焦点です。

  • 今夜はアマゾンとインテル。 取引終了後にアマゾンとインテルが決算を発表します。アマゾンはクラウド部門(AWS)の伸びと、設備投資・フリーキャッシュフローのバランスに関心が集まっています。

  • 景気は強く、金利は高止まり。 前日のFOMCは政策金利を据え置きましたが、2人の委員が利上げを主張しました。米10年債の利回りは5%前後と高い水準にあります。GDPが強めに出たことで、12月の利上げ観測がどう動くかも注目されます。

  • ECBと日銀。 22時15分にECBの結果が発表され、日本では30日に日銀の金融政策決定会合の結果と植田総裁の会見が予定されています。為替の動きが日本株にも影響しやすい局面です。

ひとこと解説

「フリーキャッシュフロー」ってなに? 会社が本業で稼いだお金(営業キャッシュフロー)から、工場やデータセンターなどへの投資にかかったお金を差し引いた残りのことです。会社が自由に使えるお金の量を表し、配当や自社株買い、借金の返済などの元手になります。

利益が出ていても、投資にお金を使いすぎるとフリーキャッシュフローはマイナスになります。いまはAI向けの巨額の設備投資が続いているため、市場は「利益」だけでなく「投資に見合うお金を生み出せているか」を示すこの数字にも注目しています。

出典