22日(木)夜の米国市場は、ハイテク株への売りが警戒される中で始まりそうです。前日の取引終了後に決算を発表したテスラが今年の設備投資の見通しを引き下げ、半導体製造装置のラムリサーチも好決算ながら取引開始前の時間外で大きく値下がりしています。中東情勢をめぐって原油も上がり、ナスダック100先物は1.6%安と、東京時間の朝から下げ幅を広げています。

21日(水)の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 52,856.09ドル +360.21(+0.7%)
S&P500種株価指数 7,757.17 +44.60(+0.6%)
ナスダック総合指数 26,702.86 +278.04(+1.1%)
米株価指数先物(12月限) 東京時間16時02分 東京時間20時20分ごろ
ダウ平均先物 52,798.00(−0.49%) 52,773.00(−0.54%)
S&P500先物 7,731.50(−0.88%) 7,727.25(−0.94%)
ナスダック100先物 29,526.00(−1.60%) 29,528.00(−1.60%)

※16時02分はみんかぶ、20時20分ごろは米ヤフーファイナンスの表示によります。

22日(木)の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 62,907.84円 −1,713.40(−2.65%)
TOPIX 3,997.50 −46.23(−1.14%)
決算を受けた主な銘柄(米国の取引開始前) 内容
テスラ 2026年の設備投資見通しを250億ドル超から約200億ドルに引き下げ。時間外で5%ほど安い
ラムリサーチ 四半期の売上高は過去最高の82.2億ドル。時間外で7〜9%安い
P&G 7〜9月期の売上高が4%増と予想を上回り、時間外で2%ほど高い
ロッキード・マーチン 受注残高が過去最高となり、通期の売上高・1株利益の見通しを引き上げ

何があった?

テスラが設備投資の見通しを引き下げ。 テスラの7〜9月期は、調整後の1株利益が0.48ドルと市場予想を上回りました。ところが、米ヤフーファイナンスによると、決算説明会で今年の設備投資の見通しを「250億ドル超」から「約200億ドル」に引き下げたことが伝わると、時間外の株価は上昇から下落に転じました。人型ロボット「オプティマス」の量産について、マスク氏が目標の生産ペースに届くまで「少なくとも1年はかかる」と述べたことも重荷になったとみられます。TradingKeyによると、テスラ株は取引開始前の時間外で5%あまり下げています。

ラムリサーチは好決算でも大幅安。 半導体製造装置のラムリサーチは、四半期の売上高が過去最高の82.2億ドルとなり、市場予想も上回りました。それでも株価は時間外で7〜9%下げています。investingLiveは先行きの利益見通しが期待ほどではなかったことを、TradingKeyは直前までの大きな値上がりの反動と高い期待の裏返しを理由に挙げています。この流れはきょうの東京市場の半導体株安にもつながりました。

原油が5カ月ぶりの高値圏に。 米ヤフーファイナンスによると、北海ブレント原油先物は1バレル111ドル前後、WTI原油先物は98ドルを上回り、約5カ月ぶりの高い水準です。サウジアラビアの空港と油田が攻撃を受けて死者が出たことや、みんかぶが伝えたイラン革命防衛隊によるペルシャ湾での石油タンカーへの攻撃が、原油の供給への不安を強めています。外国為替市場では、リスクを避ける円買いが進み、ドル円は東京午前の158円台から一時156円台後半まで円高が進みました。

ディフェンシブ株・防衛株には買いも。 一方、日用品大手のP&Gは、7〜9月期の売上高が4%増の約233億ドルと予想を上回りました。ただ、原材料費の負担の見込みを約10億ドルから約14億ドルに引き上げています。防衛大手のロッキード・マーチンは受注残高が過去最高の2,920億ドルとなり、通期の見通しを引き上げました。

注目ポイント

  • ハイテク株の下げがどこまで広がるか。 先物の下げはナスダック100が1.6%と、ダウ(0.5%前後)よりはっきり大きく、AIや半導体関連に売りが集まっていることを示しています。メタも巨額のAI投資を示しており、「AIへの投資がいつ回収できるのか」という見方が改めて意識されています。

  • 原油と金利の綱引き。 原油高はインフレへの心配を通じて金利を押し上げやすい一方、米ヤフーファイナンスによると米10年債利回りは5.04%と前日より下がっています。リスクを避けて債券が買われている面もあり、両者の動きが株価の方向を左右しそうです。

  • 今夜の経済指標と入札。 21時30分に新規失業保険申請件数(みんかぶの事前予想は20.1万件)、23時に9月の景気先行指標総合指数(予想は前月比−0.2%)が発表されます。23日午前2時には5年物インフレ連動債(260億ドル)の入札があります。

  • 引け後の決算。 Earnings WhispersやTradingKeyによると、取引終了後にはハードディスクなどのウエスタンデジタル、金鉱大手のニューモント、靴のデッカーズなどが決算を発表します。ウエスタンデジタルはAI向けの記憶装置の需要がどう示されるかに目が向きます。

  • あすの朝は日本の消費者物価。 23日8時30分に9月の全国消費者物価指数が発表されます。きょう大きく下げた東京市場にとっては、今夜の米国のハイテク株の動きとあわせて手がかりになります。

ひとこと解説

「設備投資(キャペックス)」とは 会社が工場や機械、データセンターなど、長く使う設備にお金を使うことです。英語の Capital Expenditure を略して「キャペックス(Capex)」とも呼ばれます。

設備投資を増やすと、将来の成長への期待が高まる一方で、目先の手元のお金は減ります。逆に減らすと、お金は残りやすくなりますが、成長の計画が遅れるのではと受け止められることもあります。今回のテスラの株価の反応は、投資家が「お金の節約」よりも「AIやロボットの計画の勢い」を気にしていることを示した形です。同じ「設備投資」のニュースでも、会社の置かれた状況によって市場の受け止め方が変わる点がポイントです。

出典