先週末2日(金)の米国市場は、9月の米雇用統計で雇用の伸びが市場予想を大きく下回り、早めの追加利上げへの警戒がやわらいだことから、主要3指数がそろって上昇しました。大阪取引所の日経225先物は夜間取引で1110円高の6万9760円と、節目の7万円に迫って週明けを迎えます。

2日の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 51,176.96ドル +250.40(+0.49%)
S&P500種株価指数 7,722.72 +56.27(+0.7%)
ナスダック総合指数 27,190.86 +319.27(+1.2%)
ラッセル2000(小型株) 2,832.90 +26.27(+0.9%)
2日の東京市場 終値 前日比
日経平均 68,309.46円 -647.26(-0.94%)
TOPIX 4,091.00 -40.98
原油・金利・先物・為替 水準 前日比など
9月の米非農業部門雇用者数 前月比+2.9万人 市場予想は約8万〜9万人増
9月の米失業率 4.2% 予想4.1%、前回4.1%
米10年債利回り(2日) 5.271% +0.030%(発表直後は一時5.18%付近まで低下)
WTI原油先物 11月限(2日終値) 1バレル=91.25ドル -1.62ドル(-1.74%)
日経225先物 12月限(3日6時の夜間取引終値) 69,760円 +1,110円(日経平均の終値より1,450.54円高)
ドル円(2日のNY市場の終値) 157円87銭 一時156円95銭まで円高

何があった?

雇用の伸びが大きく鈍化。 9月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月から2万9000人増にとどまり、市場予想(8万〜9万人程度の増加)を大きく下回りました。失業率も4.2%と、予想の4.1%から上がっています。過去2カ月分も合わせて6万人下方修正され、7月分は2万1000人増から1万人減に改められました。賃金の伸びも予想に届かなかったと伝わっています。

利上げ観測が後退して株高に。 FRB(米連邦準備制度理事会)は9月に利上げを決めており、市場では10月の会合での追加利上げも意識されていました。雇用の弱さを受けてこの見方が後退し、株式に買いが入りました。S&P500は最高値まで1%以内に近づいています。ただし週間では、ダウ平均が651.66ドル安(-1.3%)、S&P500が0.3%安と下げて終え、ナスダックは0.5%高でした。

長期金利は低下のあと持ち直し。 米10年債利回りは統計の発表直後に一時5.18%付近まで下がりましたが、午後には5.29%台まで戻し、前日を上回って終えました。ダラス連銀のローガン総裁があと0.5%の利上げが必要との考えを示したほか、シカゴ連銀のグールズビー総裁もインフレは依然として問題だと述べたと伝わっています。

原油はG7の備蓄放出で反落。 G7(主要7カ国)が原油と軽油の緊急備蓄を4カ月で計1億バレル放出することで合意し、中東をめぐる供給の混乱への懸念がやわらぎました。WTI原油先物は一時88.03ドルまで下げ、1.74%安の91.25ドルで終えています。

個別ではエヌビディアが最高値。 エヌビディアは取引時間中に5月以来となる上場来高値を付けました。モルガン・スタンレーが半導体分野の最有力銘柄に戻したことや、AI需要への期待が材料とされます。テスラは約4.7%上昇しました。一方、前日に売上高の減少見通しを示したナイキは約3.6%下げています。

週末のイラン情勢。 イランのガリバフ国会議長は、条件が満たされるまでホルムズ海峡は再開しないと述べ、「戦いと交渉の両方に備える」と強調したと伝わっています。

注目ポイント

  • 7万円をめぐる攻防。 夜間の先物は日経平均の現物の終値を1450円あまり上回っており、取引開始直後から大きく上がって7万円に迫る展開が想定されます。先週2日の日経平均は、2日間で3400円超上がった反動から3日ぶりに反落していました。節目の近くでは利益確定の売りも出やすく、寄り付き後の値動きに関心が集まりそうです。

  • 14時に高市首相の所信表明演説。 今日召集の臨時国会で、高市首相が所信表明演説を行います。報道によると、原案には食料品の消費税の引き下げに加え、経済や市場が想定外の動きを見せた場合には影響を分析して機動的に対応する方針、金利の動向をふまえて国債の発行額を決める考えが盛り込まれています。長期金利への影響を通じて、株式市場も発言を注視しそうです。

  • 今夜23時に米ISM非製造業景況指数。 9月の数値は予想が55.0で、前回の55.4からやや下がる見込みです。先週末の雇用統計に続き、米国の景気と物価の勢いを確かめる材料になります。

  • ドル円は157円台後半。 週明けの早朝は先週末の終値前後の157円台後半で取引されています。6日に植田日銀総裁の挨拶を控え、日銀の利上げをめぐる見方が為替を動かす可能性があります。中国本土の市場は国慶節で7日まで休場です。

ひとこと解説

「雇用統計の下方修正」ってなに? 米国の雇用統計は、毎月の第1金曜日を中心に前月分の速報が発表されます。その後、集計に間に合わなかった企業の回答が加わるため、翌月と翌々月の発表時に数値が改められます。これを「改定」と呼び、前回の数字より少なくなれば「下方修正」です。

市場は、その月の数字だけでなく、過去分の改定にも注目します。今回のように過去分が大きく下方修正されると、「実は以前から雇用の勢いが落ちていた」と受け止められ、景気や金利の見通しを考え直すきっかけになります。速報値だけを見て判断せず、改定の幅もあわせて確認するとよいでしょう。

出典