30日(水)の米国市場は、ダウ平均が443ドル安と3日続けて下げた一方、ハイテク株の多いナスダック総合指数は3営業日ぶりに上昇しました。8月のPCE物価指数は市場予想より伸びが小さかったものの、米国債の利回りは上がり、株式の重荷になりました。取引終了後に発表されたマイクロン・テクノロジーの決算は過去最高の売上高となっています。

30日の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 50,906.05ドル -443.87(-0.86%)
S&P500種株価指数 7,651.54 -19.30(-0.25%)
ナスダック総合指数 26,861.06 +63.52(+0.24%)
ラッセル2000(小型株) 2,796.86 -11.06(-0.39%)
30日の東京市場 終値 前日比
日経平均 66,753.72円 +1,272.45(+1.94%)
TOPIX 4,108.65 +1.67%
原油・金利・先物・為替 水準 前日比など
WTI原油先物 11月限(30日終値) 1バレル=90.42ドル +1.04ドル(+1.16%)
米10年債利回り(30日) 5.29% 前日の5.26%から上昇
日経225先物 12月限(1日6時の夜間取引終値) 67,090円 日中取引の清算値比 -60円
ドル円(1日7時すぎ) 157円30銭台 157円台での推移が続く

何があった?

物価の伸びは予想より小さく。 8月のPCE(個人消費支出)物価指数は前年同月比3.4%の上昇で、市場予想の3.7%を下回りました。値動きの大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も3.0%の上昇と、予想(3.3%)より低い結果です。FRB(米連邦準備制度理事会)が重視する物価の指標だけに、10月の利上げを見込む向きは後退しました。CMEグループのデータでは、次の会合での利上げの確率は前日の五分五分から37%に下がったと伝わっています。なお、今回は米商務省がソフトウェアなど一部の支出の計り方を見直し、過去の数値にもさかのぼって反映したことも指摘されています。

それでも金利は上昇。 一方で、民間のADP雇用統計では9月の雇用者数が9万人増と予想(7万人増)を上回り、景気の底堅さが意識されました。米10年債利回りは5.29%と前日の5.26%から上がり、2000年代初めごろ以来の高い水準が続いています。30年債利回りも5.64%に上昇しました。金利の高止まりが株式の重荷になり、幅広い銘柄が売られたとされます。

原油は反発して90ドル台に。 WTI原油先物は1.04ドル高の90.42ドルで取引を終えました。米国とイランの戦闘終結に向けた協議が進んでいないとの見方から、中東の原油供給をめぐる不透明感が意識されました。米国のガソリン在庫が減ったことも買い材料とされています。

個別では明暗。 消費関連株に売りが出て、ウォルマートは3%下げました。医薬品のメルクや3Mも下落が目立ちました。一方、ネットワーク事業の売上見通しを引き上げたヒューレット・パッカード・エンタープライズは3.9%高、自社株買いの拡大を決めたMongoDBは3.4%高、アップルやアルファベットも買われました。

マイクロンは過去最高の売上高。 米半導体メモリー大手のマイクロンが取引終了後に発表した6〜8月期決算は、売上高が542.3億ドルと前年同期(113.2億ドル)の約4.8倍になりました。9〜11月期の売上高の見通しは約615億ドルとしています。AI向けのデータセンターの需要が大きく伸びたことが背景です。ただ、株価は時間外取引で小幅に下げたと伝わっています。

注目ポイント

  • 先物は日経平均を上回る水準。 日経225先物の夜間取引は6万7,090円で終えました。30日の日経平均の終値(6万6,753円)を300円あまり上回る水準です。30日は半導体関連株を中心に1,272円高と大きく上げ、8月18日以来の高値となっていただけに、その勢いが続くかが焦点になりそうです。

  • 8時50分に日銀短観。 日銀が企業に景気の実感を聞く短観(9月調査)が発表されます。市場予想では、大企業製造業の景況感を示す数値(DI)がプラス25と前回(プラス22)から改善、大企業非製造業はプラス36と前回(プラス37)から小幅な悪化が見込まれています。同じ時刻には9月の日銀の金融政策決定会合の「主な意見」も公表され、企業の物価の見通しとあわせて、利上げをめぐる見方に影響しそうです。

  • マイクロン決算への反応。 米国の時間外取引での反応は小さめでしたが、東京市場では半導体関連株の動きに関心が集まりそうです。

  • 夜は米国の雇用と景気の指標。 日本時間21時30分に新規失業保険申請件数、23時にISM製造業景況指数(予想55.0、前回54.6)が発表されます。2日には9月の米雇用統計が控えています。

  • 10月の初日。 今日は新しい月と10〜12月期の初日です。月の初めは機関投資家が新たに資金を配分する売買が出やすく、値動きが大きくなることもあります。

ひとこと解説

「日銀短観」ってなに? 正式には「全国企業短期経済観測調査」といい、日本銀行が年4回(3・6・9・12月)、全国の1万社近い企業に景気の実感などをたずねる調査です。

中心になるのが「業況判断DI」で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて求めます。プラスなら「良い」と感じる企業のほうが多いという意味です。企業の規模(大企業・中堅・中小)と業種(製造業・非製造業)ごとに発表され、特に「大企業製造業」の数値が注目されます。

実際の数値だけでなく、企業が見込む販売価格や物価の見通し、設備投資の計画、想定している為替レートなども含まれるため、日銀が金融政策を考えるうえでの重要な材料になります。発表の前に市場予想が出ているので、予想と比べて良かったか悪かったかが株価や為替の反応につながりやすい統計です。

出典