今週(9月24日〜25日)の東京株式市場を振り返ります。19日から23日まで5連休だったため、今週の取引はわずか2日間でした。それでも日経平均株価は2日続けて上がり、週間で1,345円25銭高と2週続伸しています。連休中に米国で半導体株が大きく上げた流れを取り込んだうえ、9月末の中間配当を狙った買いも加わりました。一方で、日米の長期金利はそろって数十年ぶりの水準まで上昇しており、「株高と金利高が同時に進んだ週」だったといえます。まずは数字から見ていきます。

日付 日経平均終値 前営業日比 TOPIX終値 前営業日比
9/24(木) 65,513.99円 +495.04(+0.76%) 4,075.30 -15.84(-0.39%)
9/25(金) 66,364.20円 +850.21(+1.30%) 4,128.59 +53.29(+1.31%)

週間では、日経平均は前週末(9月18日)の終値65,018円95銭から**1,345円25銭高い66,364円20銭(+2.07%)で1週間を終えました。TOPIXは4,091.14から4,128.59へ37.45ポイント高(+0.92%)**です。日経平均の上昇率がTOPIXの2倍以上になっており、上げの中心が値がさの半導体関連株だったことがうかがえます。

米国市場の週間騰落 9月18日終値 9月25日終値 週間の変化
NYダウ工業株30種 51,682.64ドル 51,828.62ドル +145.98(+0.3%)
S&P500種株価指数 7,650.50 7,743.41 +92.91(+1.2%)
ナスダック総合指数 26,522.55 27,068.72 +546.17(+2.1%)
ラッセル2000(小型株) — 2,837.55 -22.85(-0.8%)
米国市場の日々の終値 NYダウ S&P500 ナスダック総合
9/21(月) 52,048.83(+366.19) 7,764.70(+114.20) 27,122.09(+599.54)
9/22(火) 51,863.69(-185.14) 7,764.64(-0.06) 27,244.28(+122.19)
9/23(水) 51,511.59(-352.10) 7,706.03(-58.61) 26,936.04(-308.24)
9/24(木) 51,349.98(-161.61) 7,704.13(-1.90) 26,939.38(+3.34)
9/25(金) 51,828.62(+478.64) 7,743.41(+39.28) 27,068.72(+129.34)
金利・為替・原油 水準 備考
米10年物国債利回り 25日に一時5.23% 2007年6月以来の水準。21日は4.95%前後
新発10年物国債利回り(日本) 24日に一時3.075% 1996年8月以来の高さ。25日は3.070%
ドル円(25日NY) 157円77銭から156円94銭まで下落して引け 24日に一時159円04銭
WTI原油先物(25日清算値) 92.41ドル(前日比-2.3%) 21日には前週末比4.52ドル安の95.78ドル
週内に発表された主な指標 結果
米・S&PグローバルPMI(9月速報、製造業) 57.0(市場予想は53台半ば)
米・新規失業保険申請件数(9/19までの週) 19万7,000件(前週比-1,000件)
米・耐久財受注(8月速報) 前月比0.0%(輸送機器を除くと+0.3%)
米・ミシガン大学消費者信頼感指数(9月確報) 48.1(8月は51.7、速報値は47.8)
同・1年先の予想インフレ率 4.6%(6月以来の高さ)
年初来騰落(9月25日時点) 騰落率
ナスダック総合指数 +16.5%
ラッセル2000 +14.3%
S&P500種株価指数 +13.1%
NYダウ +7.8%

何があった?

東京市場が休んでいる間、米国ではハイテク株が最高値を更新しました。 21日(月)の米国市場では、24日の米中首脳会談後の晩さん会に大手AI企業のトップが招かれていると伝わり、半導体などAI関連株に買いが集まりました。ナスダック総合指数は2.26%高の27,122.09と6月以来の最高値を更新し、22日も0.45%高で2日続けて最高値を付けています。トランプ大統領がイランとの対話に前向きな姿勢を示したことで原油が大きく下がり、米10年債利回りが5%を下回ったことも追い風でした。

流れが変わったのは23日(水)です。 この日発表された9月の米PMI速報値は、製造業が57.0と市場予想を大きく上回りました。景気が強いうえに仕入れ価格の指数も高く、FRBのバー理事が追加の政策調整に含みを持たせたこともあって、10月の追加利上げの見方が一気に強まっています。米10年債利回りは5.11%まで上がり、ナスダックは1.13%安、中小型株のラッセル2000は1.77%安と、金利に弱い銘柄ほど大きく売られました。

24日(木)、5日ぶりに再開した東京市場は「半導体高・金利高」の両方を受け止めました。 日経平均は連休中の米国の半導体株高に追いつく形で一時1,200円を超えて上げ、6万6,000円台に乗せる場面もありました。ただ、米国の金利上昇が日本の国債市場にも広がり、新発10年物国債利回りは一時3.075%と1996年8月以来の水準まで上昇しています。債券先物ではサーキット・ブレーカーが発動したと伝えられました。日経平均は495円高で引けた一方、電力・ガスや鉄鋼など金利上昇に弱い業種が売られ、TOPIXは下落しています。

25日(金)は幅広い銘柄に買いが広がりました。 東京エレクトロン、アドバンテスト、イビデンなどの半導体関連株が引き続き指数を押し上げたのに加え、28日(月)の権利付き最終売買日を前に中間配当を狙った買いが入り、東証プライムの7割を超える銘柄が値上がりしました。金利の上昇で利ざやが広がるとの見方から銀行株も上げ、日経平均は850円高の6万6,364円、TOPIXも1.31%高と、2つの指数がそろって上昇しています。

米国の週末は、原油安が金利高を打ち消しました。 24日には米中が貿易休戦(追加関税の見送り)を2027年1月10日まで延長することで合意し、米国とイランがホルムズ海峡の再開を含む段階的な合意を協議していると伝わりました。25日はイランとの協議が技術的な段階に進んだとの報道から原油が下がり、WTIは92.41ドルで取引を終えています。ダウは478ドル64セント高と4日ぶりに反発し、S&P500とナスダックも上昇しました。個別では、AI企業アンソロピックと116億ドルの契約を発表したアカマイ・テクノロジーズが取引前には2割を超えて上げていたものの、終値では3%あまりの上昇にとどまっています。

為替は円安から一転、週末に円高へ。 ドル円は米金利の上昇を受けて24日に一時159円04銭と、9月2日以来の円安・ドル高水準を付けました。しかし25日には、片山財務相がベッセント米財務長官との電話会談で「円の過小評価は問題」との認識を確認したと伝わり、介入への警戒から円が買い戻されました。NY市場では156円94銭まで下げて取引を終えています。

注目ポイント

  • 株と金利が同じ方向に上がった一週間でした。 通常、金利の上昇は株価の重荷になりやすいものですが、今週は日経平均が2.07%高、S&P500が1.2%高と、いずれも金利高の中で上昇しています。株探は、配当狙いの買いに加え、今の金利水準と比べても株式の配当利回りに相対的な魅力があることが相場を支えていると指摘しています。ただし、米国でも金利上昇に弱い小型株のラッセル2000だけは週間で0.8%下げており、すべての株が金利高を乗り越えたわけではありません。

  • 米国の消費者は景気を冷ややかに見ています。 9月のミシガン大学消費者信頼感指数は48.1と歴史的に低い水準にとどまり、1年先の予想インフレ率は4.6%と6月以来の高さでした。PMIや失業保険申請件数が示す「景気の強さ」と、消費者の「暮らし向きの苦しさ」がずれている状態で、FRBにとっては追加利上げの判断を難しくする材料です。

  • 来週は中間配当の「権利落ち」と重要指標が重なります。 28日(月)が権利付き最終売買日、29日(火)が権利落ち日で、配当の分だけ指数が下がりやすくなります。そのあとは30日に米8月の個人消費支出(PCE)とADP雇用統計、10月1日に日銀短観と米ISM製造業景況指数、2日に米9月の雇用統計が控えています。ザイ・オンラインが伝える来週(9月28日〜10月2日)の日経平均の予想レンジは6万5,000〜6万8,000円です。

  • 円相場と当局の距離感。 159円台を付けた直後に日米の財務当局の発言で円高に振れたように、当局の姿勢が為替を動かす局面が続いています。為替が大きく動けば、輸出関連株を中心に東京市場の値動きにもつながります。

ひとこと解説

「予想インフレ率」ってなに? 実際の物価の上がり方(インフレ率)ではなく、「これから物価がどれくらい上がりそうか」と人々が考えている数字のことです。ミシガン大学の調査では、消費者に「1年後」「5〜10年後」に物価がどのくらい上がっていると思うかを尋ね、その答えを集計しています。

中央銀行がこの数字を重視するのは、予想が行動を変えるからです。「来年はもっと値上がりしそう」と多くの人が考えると、値上がり前に買っておこうとしたり、働く人が高い賃上げを求めたり、企業が早めに値上げに踏み切ったりします。その結果、予想そのものが実際の物価を押し上げてしまうことがあります。今週の米国では、景気指標が強いなかでこの予想インフレ率も上がっており、FRBが利上げを続けるかどうかを考えるうえで見逃せない数字になっています。

出典