18日夜の米国市場は、四半期に一度のクアドラプル・ウィッチング(株価指数先物・株価指数オプション・個別株オプションなどが同時に満期を迎える日)にあたり、売買が膨らみやすい一日となります。取引開始前には、バークシャー・ハザウェイがウォーレン・バフェット氏の会長退任を発表しました。日本では日銀が利上げを決めた後も円安が進み、円は一時1ドル=158円台をつけています。

17日(木)の米国市場 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 51,778.04ドル +316.14(+0.6%)
S&P500種株価指数 7,637.76 +85.95(+1.1%)
ナスダック総合指数 26,418.30 +439.87(+1.7%)
ラッセル2000 2,874.63 +15.82(+0.6%)
17日終値時点の年初来騰落 騰落率
ラッセル2000 +15.8%
ナスダック総合指数 +13.7%
S&P500種株価指数 +11.6%
ダウ工業株30種平均 +7.7%
18日の米株価指数先物(米東部時間8時24分=日本時間21時24分、10分遅延) 値 前日比
NYダウ先物(12月限) 52,030.00 -190.00(-0.36%)
S&P500先物(12月限) 7,697.75 -9.50(-0.12%)
ナスダック100先物(12月限) 29,771.25 +28.25(+0.09%)
米10年債利回り 4.975% +0.028
18日発表・発表予定の経済指標(日本時間) 予想 前回
日本・全国消費者物価指数(8月、総合、8:30発表済) +2.0% +1.9%
米・鉱工業生産指数(8月、22:15) +0.3% +0.2%
米・景気先行指数(8月、23:00) +0.2% +0.2%
8月の全国消費者物価指数(前年同月比、8:30発表) 結果 市場予想
総合 +1.9% +2.0%
生鮮食品を除く総合(コア) +1.7% +1.8%
生鮮食品・エネルギーを除く総合(コアコア) +1.9% +2.0%
商品・為替(18日) 水準 前日比
北海ブレント原油先物(1008GMT=日本時間19時8分) 103.17ドル -1.65(-1.6%)
WTI原油先物(同) 101.30ドル -0.61(-0.6%)
ドル円(21時30分) 157.91〜157.92円 +2.23円(+1.43%)
18日のドル円の値動き 値
始値 155.94円(5時53分)
高値 158.01円(18時48分)
安値 155.86円(8時15分)
この後の主な予定(日本時間) 内容
18日22:30 米国株の取引開始(クアドラプル・ウィッチング)
19日(土)〜23日(水) 東京市場は5連休(23日は秋分の日)
24日(木) 東京市場の取引再開、日銀の新しい誘導目標1.25%が適用開始

何があった?

今夜の米国市場は、四半期に一度のクアドラプル・ウィッチングを迎えます。3月・6月・9月・12月の第3金曜に、株価指数先物、株価指数オプション、個別株オプションなどの期限が同時に到来する日で、ポジションを次の期限へ移す売買や決済の売買が集中します。実際、この日の株価指数先物はすでに9月限から12月限へと主役が移っており、上の表の先物はいずれも12月限の値です。Option Samuraiによると、2026年のクアドラプル・ウィッチングは3月20日、6月19日、9月18日、12月18日の4回で、今回は16日のFOMCと18日の日銀会合という2つの金融政策イベントの直後に重なりました。

取引開始前の大きなニュースは、バークシャー・ハザウェイの発表でした。NBCニュースなどによると、96歳のウォーレン・バフェット氏が会長を退き、名誉会長(chairman emeritus)となることが即日付で決まりました。後任の会長には長男のハワード・G・バフェット氏(71)が就きます。ハワード氏は1993年からバークシャーの取締役を務めており、以前から示されていた後継計画に沿った交代です。ウォーレン・バフェット氏は取締役として会社に残り、引き続き助言を続けるとされています。同氏は「時の流れには必ず負ける。もっとも、時は私に対して寛大であってくれた」と述べたうえで、会社の先行きについては「かつてないほど自信がある」と語りました。同社のCEOは約8カ月前にグレッグ・アベル氏へ引き継がれており、今回で経営と取締役会の両方の顔が交代したことになります。

前日17日の米国市場は、3指数がそろって上昇しました。AP通信によると、16日のFOMCで3年ぶりの利上げが決まった後の下げを取り戻す動きで、原油価格の下落と米長期金利の低下が支えになりました。OANDA証券の振り返りによれば、AI分野の成長期待からエヌビディアなど半導体関連に買いが集まり、ダウ構成銘柄の約7割がプラス圏で推移しています。年初来ではラッセル2000が15.8%高と主要4指数で最も大きく上げています。

原油は3営業日続けて下落しました。ロイター通信によると、サウジアラビアが攻撃で損傷した東西パイプラインについて数日内に能力の約半分を回復させる方針を示したほか、オマーン沖での船舶間の積み替えによって追加の原油を供給し始めたことから、供給不安が和らいでいます。ブレント原油は3週ぶりの週間下落となる見通しですが、水準は1バレル=100ドルを上回ったままです。

日本では朝8時30分に8月の全国消費者物価指数が公表され、生鮮食品を除くコアは前年同月比1.7%上昇と、市場予想の1.8%を下回りました。総合とコアコアもそれぞれ予想に届かず、コアが2%を下回るのは8カ月連続です。その約3時間半後に日銀が利上げを決め、外国為替市場では円安が加速しました。OANDA証券によると、15時30分からの植田総裁の記者会見では「政策の局面は変化した」との発言を受けて一時156円50銭近辺まで円が買い戻される場面もありましたが、市場は反対票が2票入ったことと、利上げの到達点は「特定しがたい」とされた点をより重く受け止め、会見終盤から再び円売りが優勢となりました。欧州時間に入って円安はさらに進み、18時48分には1ドル=158円01銭をつけています。

注目ポイント

満期に伴う売買を、相場の方向と取り違えないこと。 クアドラプル・ウィッチングの日は出来高が普段より大きく膨らみますが、その多くは期限の到来にあわせた事務的な組み替えです。寄り付き前後に大きな値動きが出ても、それが相場の見方の変化を映しているとは限りません。判断には、終値やその後の数日の動きを見る必要があります。

22時15分の鉱工業生産指数。 8月分の予想は前月比0.3%増で、7月の0.2%増からやや加速する見込みです。16日に利上げが決まり、年内にもう1回の利上げが見込まれている局面では、景気の強さを示すデータが企業業績への追い風と受け止められる一方、追加利上げを後押しする材料としても読まれるため、株式市場の反応が一方向になりにくい点に注意が必要です。

円安の進み方。 日銀が利上げを決めた当日に円が2円以上下落するという、教科書的な理解とは逆の動きが起きています。利上げそのものが事前に広く予想されていたため、市場の関心が「次の利上げがいつか」に移っていたことが背景です。日米の金利差は依然として大きく、米10年債利回りは18日夜も4.9%台後半で推移しています。

東京市場は5連休に入りました。 19日(土)から23日(水・秋分の日)まで休場で、次の取引は24日(木)です。連休中も米国市場は21日(月)から通常どおり取引されるため、その間の株価・為替・金利の変化は24日の東京市場にまとめて反映されることになります。日銀の新しい誘導目標1.25%が適用されるのも24日です。

ひとこと解説

限月(げんげつ)とロールオーバー — 先物やオプションには「いつまでの契約か」という期限があり、これを限月と呼びます。日経平均先物やS&P500先物では3月・6月・9月・12月がその節目にあたります。期限が近づくと、同じ取引を続けたい投資家は、期限の近い契約を決済して次の期限の契約を新たに買い直します。この乗り換えをロールオーバーといいます。9月の期限が来る今夜、先物の値段として報じられる数字が9月限から12月限に切り替わっているのは、市場の主役がすでに次の限月に移っているためです。

鉱工業生産指数 — 工場でどれだけの量のモノがつくられたかを指数にした統計で、米国ではFRBが毎月発表します。金額ではなく生産量そのものを追うため、物価の変動に左右されにくいという特徴があります。あわせて発表される設備稼働率は、工場の生産能力のうち実際に使われている割合を示し、数字が高すぎると供給が追いつかず物価が上がりやすい状態と解釈されることがあります。

名誉会長(chairman emeritus) — 会長を退いた人に贈られる称号で、取締役会の議長としての権限は持ちません。会社法上の役職ではなく、長年の貢献に敬意を表して置かれるものです。バフェット氏の場合は取締役としては残るため、議決権を持つ取締役の一人として意思決定には関わり続けますが、取締役会を取りまとめる立場からは退いたことになります。

出典