16日夜の米国市場は、日本時間17日午前3時に結果が出る米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、慎重なスタートとなりそうです。21時30分に発表された8月の米小売売上高は前月比1.2%増と、市場予想を上回る伸びとなりました。発表前の株価指数先物は、前日の続落から小幅に持ち直していました。

15日(火)の米国市場 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 52,093.11ドル -328.09(-0.63%)
S&P500種株価指数 7,585.73 -34.25(-0.45%)
ナスダック総合指数 25,981.57 -204.84(-0.78%)
16日の米株価指数先物(小売売上高の発表前) 前日比
S&P500先物 +0.2%
ナスダック100先物 +0.4%
NYダウ先物 +0.1%
16日発表の米経済指標 結果 市場予想 前回
小売売上高(8月、前月比) +1.2% +0.8〜0.9%前後 -0.5%(-0.6%から改定)
同・自動車を除く(前月比) +1.4% — —
小売売上高(8月、前年同月比) +6.0% — —
金利・商品・為替(16日、米国時間の朝) 水準 備考
米10年債利回り 5.004% 米東部時間午前4時30分時点。前日比ほぼ横ばい
北海ブレント原油先物 107.61ドル 前日比-1.1%
WTI原油先物 103.70ドル 前日比-2%
ドル円 155.19円 前日155.10円
この後の主な予定(日本時間) 内容
16日23:00 米9月NAHB住宅市場指数
16日23:30 米週間原油在庫(EIA)
17日3:00 FOMC政策金利発表・声明、経済見通し(ドットチャート)
17日3:30 ウォーシュFRB議長の記者会見
18日(金) 日銀金融政策決定会合の結果・植田総裁会見

何があった?

前日15日の米国市場は、米10年債利回りが一時5.04%と2007年以来の水準まで上昇したことが重荷となり、主要3指数がそろって続落しました。外食や小売といった消費関連株の下げが目立ち、暗号資産の市場ルールを定める法案が米上院で前に進まなかったことから、暗号資産関連株も売られています。

16日は、FOMC当日の朝を迎えた株価指数先物が小幅に上昇しました。Yahoo Financeなどによると、ナスダック100先物が0.4%高と相対的に強く、前日に売られたハイテク株の一部に買い戻しが入る形です。米10年債利回りは5%ちょうど前後で落ち着いており、原油は北海ブレントが107ドル台、WTIが103ドル台と、前日から下げています。ただし、ガソリン価格は1ガロン4.37ドルと1週間前の4.22ドルから上昇しているとBNNブルームバーグ(AP通信)は伝えており、原油高の家計への影響は続いています。

日本時間21時30分に米国勢調査局が発表した8月の小売売上高は7,739億ドルで、前月比1.2%増となりました。市場予想(0.8〜0.9%前後)を上回り、7月の減少(-0.6%から-0.5%に改定)から持ち直しています。前年同月比では6.0%増でした。前日の株式市場では「消費の冷え込み」への警戒から消費関連株が売られていましたが、統計のうえでは8月の個人消費に底堅さが見られた形です。なお、小売売上高は物価変動を調整していない金額ベースの数字なので、ガソリンなどの値上がりも伸び率を押し上げる点には注意が必要です。

注目ポイント

FOMCで3年あまりぶりの利上げになるか。 CNBCによると、CMEのFedWatchでは0.25%の利上げが決まる確率が92.5%程度と、1カ月前の33%程度から大きく上昇しています。利上げとなれば、政策金利の誘導目標は現在の3.50〜3.75%から3.75〜4.00%に引き上げられます。市場はほぼ織り込み済みのため、焦点は「その後」に移っています。

ドットチャートと議長会見。 今回の会合では、FRB幹部が今後の政策金利を予想する「ドットチャート」も公表されます。年内や来年にさらに利上げを見込む幹部がどれだけいるか、ウォーシュ議長が会見で今後のペースをどう説明するかによって、米長期金利や株価の反応は変わりえます。小売売上高が予想を上回ったことが、金利の見通しにどう影響するかも見どころです。

原油在庫と原油価格。 サウジアラビアの主要パイプライン停止やフーシ派による攻撃を背景に、原油は1バレル100ドルを超える水準が続いています。23時30分の米週間原油在庫の発表を受けた原油価格の動きは、物価や金利の見通しを通じて株式市場にも波及しやすくなっています。

日本市場への影響。 16日の東京市場で日経平均は438円90銭高の63,923円ちょうどと、4日ぶりに反発しました。FOMCの結果と米国市場の反応は17日の東京市場に持ち越され、18日には日銀の金融政策決定会合の結果も控えています。19日(土)からは5連休に入るため、日米のイベントを連続して消化する日程です。

ひとこと解説

小売売上高 — 米国の小売店や飲食店の売上をまとめた統計で、米国勢調査局が毎月中旬に発表します。米国の経済(GDP)の約7割は個人消費が占めるため、消費の勢いを早く知ることができる重要な指標です。ただし、物価の変化を調整していない「名目」の数字なので、値上がりによって売上金額が増えた分も含まれます。また、速報値は翌月に改定されることがよくあり、今回も7月分が-0.6%から-0.5%に見直されました。

「織り込み済み」 — 市場参加者の多くがすでに予想していて、その予想に沿った取引が済んでいる状態を指します。今回の利上げのように確率が9割を超えていると、決定そのものでは値動きが限られ、むしろ声明文や見通し、議長の発言など「予想と違った部分」に市場が反応しやすくなります。

出典