15日の米国市場は、翌16日に結果が出る米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に売りが優勢となり、主要3指数がそろって続落しました。原油高と利上げ観測を背景に米10年債利回りは一時5.04%と2007年以来の水準まで上昇し、家計の負担増が意識された外食・小売など消費関連株の下げが目立ちました。

15日の米国市場(終値) 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 52,093.11ドル -328.09(-0.63%)
S&P500種株価指数 7,585.73 -34.25(-0.45%)
ナスダック総合指数 25,981.57 -204.84(-0.78%)
金利・暗号資産(15日) 水準 備考
米10年債利回り 4.99〜5.00%前後で引け 取引中に一時5.041%(2007年7月以来の高水準)
ビットコイン 7万5000ドル台 前日比4%前後の下落
目立った個別銘柄(15日、AP通信) 騰落率 背景
デイブ・アンド・バスターズ -19% 四半期決算が市場予想を下回る
コインベース・グローバル -10.1% 暗号資産の市場ルールを定める法案が上院で前進せず
チポトレ・メキシカン・グリル -5.9% 消費の冷え込みへの警戒
ダラー・ツリー -5.4% 同上
ダーデン・レストランツ -4.3% 同上
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) +2.2% AI関連の一角に買い
16日の主な予定(日本時間) 内容
8時50分 8月の貿易統計、7月の機械受注
21時30分 米8月小売売上高、米8月輸出入物価指数
23時00分 米9月NAHB住宅市場指数
17日3時00分 / 3時30分 FOMC政策金利発表 / ウォーシュFRB議長の記者会見

何があった?

15日の主役は引き続き債券市場でした。CNBCによると、米10年債利回りは取引中に5.041%まで上昇し、2007年7月以来の高さをつけました。終値ベースでは4.996%と前日から0.03%あまりの上昇です。サウジアラビアの「東西パイプライン」の停止や、親イラン武装組織フーシ派によるサウジへの新たな攻撃を受けて原油の供給不安が続いており、物価の上振れを抑えるためにFRBが利上げに動くとの見方が金利を押し上げています。

金利の上昇は、借り入れコストの増加を通じて家計の財布にも響きます。AP通信によると、この日は「消費者の余裕資金」に売上が左右されやすい銘柄の下げが大きく、チポトレ・メキシカン・グリルやダーデン・レストランツ、ダラー・ツリーが軒並み下落しました。娯楽施設を運営するデイブ・アンド・バスターズは、四半期決算で売上高・利益ともに市場予想に届かず、19%安となっています。

暗号資産関連にも売りが出ました。暗号資産の市場ルールを整備する「CLARITY法案」について、米上院で審議を先に進めるための採決が行われましたが、必要な60票に届きませんでした。コインデスクは、年内に上院でこの種の法案をまとめる動きは事実上止まったと伝えています。ビットコインは7万5000ドル台まで下げ、コインベースは10.1%安、ロビンフッド・マーケッツも3.4%安となりました。

一方で、前日に売られたAI関連の一部には買い戻しが入りました。AMDが2.2%高、エヌビディアが0.6%高と、S&P500やナスダックの下げを和らげています。

注目ポイント

FOMCの結果とドットチャート。 Yahoo Financeによると、CMEのFedWatchでは16日の会合で0.25%の利上げが決まる確率が93%程度と見込まれています。利上げとなれば3年あまりぶりです。結果は日本時間17日午前3時に公表され、3時30分からウォーシュ議長が会見します。利上げ幅そのものより、今後の利上げペースを示すドットチャートや議長の発言に市場がどう反応するかが焦点です。

直前の米小売売上高。 FOMCの結果発表を控えた日本時間16日21時30分には、米8月小売売上高が発表されます。15日の株式市場では消費関連株が売られており、個人消費の勢いが保たれているかどうかは、景気と金利の両面から注目されそうです。

東京市場は「イベント前」の様子見が続くか。 15日の東京市場は、日経平均が前場に600円超上げたものの、国内長期金利が約30年ぶりの水準まで上昇したことなどで伸び悩み、8円89銭安の63,484円10銭で取引を終えました。16日朝には貿易統計と機械受注が発表されます。17日にFOMCの結果、18日に日銀の金融政策決定会合の結果が出たあと、19日(土)から東京市場は5連休に入るため、持ち高を大きく傾けにくい日程です。

ひとこと解説

「消費関連株」が金利に敏感な理由 — 外食チェーンや小売、レジャー施設などは、売上が家計の「自由に使えるお金」に左右されやすい業種です。金利が上がると住宅ローンやクレジットカード、自動車ローンの負担が増え、そのぶん外食や娯楽への支出が削られやすくなります。そのため、景気や金利の先行きに不安が出ると、こうした業種の株価は市場全体より大きく動くことがあります。

米上院の「60票」 — 米上院では、少数派が長い討論で採決を引き延ばす「フィリバスター(議事妨害)」が認められており、これを打ち切って審議を進めるには原則として100人中60人の賛成が必要です。与野党の議席が拮抗していると、過半数の支持があっても法案が前に進まないことがあります。今回のCLARITY法案も、この「討論終結」の採決で60票に届かなかったことが、暗号資産関連株の下落につながりました。

出典