15日夜の米国市場は、この日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、慎重な値動きで取引に入りそうです。原油高を背景に米10年債利回りは2007年以来の水準まで上昇し、株価指数先物は小幅安で推移しています。21時30分に発表された9月のNY連銀製造業景気指数は、前月から大きく低下しました。

14日(月)の米国市場 終値 前週末比
ダウ工業株30種平均 52,421.20ドル -152.09(-0.29%)
S&P500種株価指数 7,619.98 -37.00(-0.5%)
ナスダック総合指数 26,186.41 -146.62(-0.56%)
15日の米株価指数先物 13時30分(フィスコ) 16時20分ごろ(Investing.com) その後の報道時点(Yahoo Finance)
S&P500先物 7,688.25(-4.50) 28ポイント安(-0.4%) 7,682.25(-10.50)
ナスダック100先物 29,447.50(-2.00) 90ポイント安(-0.3%) 29,423.50(-26.00)
NYダウ先物 105ドル安 266ドル安(-0.5%) 52,723(-138)
金利・商品(15日) 水準 備考
米10年債利回り 5.02%前後 2023年の高値を上回り、2007年以来の高水準
北海ブレント原油先物 106.9ドル台 前日比+1.2%前後(日本時間夕方)
WTI原油先物 102.7〜102.9ドル前後 前日比+1.3〜1.5%前後(同)
15日発表の米経済指標 結果 市場予想 前回
NY連銀製造業景気指数(9月) 7.6 14前後 20.6
今週の主な予定(日本時間) 内容
16日(水)21:30 米8月小売売上高
17日(木)3:00 / 3:30 FOMC政策金利発表 / ウォーシュFRB議長会見
18日(金) 日銀金融政策決定会合の結果・植田総裁会見、8月全国消費者物価指数
19日(土)〜 東京市場は5連休

何があった?

前日14日の米国市場は、アンソロピックのダリオ・アモデイCEOによる「AI開発の減速」提言を受けて半導体株が売られ、主要3指数がそろって反落しました。Yahoo Financeによると、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は7月以来の大きな下げ幅を記録しています。提言をめぐっては、オープンAIのサム・アルトマンCEOが賛同する一方、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは「人類の存亡にかかわるという懸念は作り話だ」と反論したと伝えられており、業界内でも見方が割れています。

15日に市場の関心を集めたのは債券市場です。ブルームバーグやCNBCによると、米10年債利回りは5.02%前後まで上昇し、2023年につけた高値を上回って2007年以来の高さとなりました。背景には、原油高によるインフレ再燃への警戒と、FRBが利上げに動くとの観測があります。

原油は高止まりが続いています。イエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアへの新たな攻撃を行ったと伝えられ、サウジが停止した「東西パイプライン」の影響は、世界の原油供給の4〜5%に相当する規模になりうるとも報じられています。日本時間の夕方時点で、ブレントは106ドル台後半、WTIは102ドル台後半で推移しました。

株価指数先物は、日本時間の夕方にダウ先物が一時266ドル安まで下げたものの、その後は下げ幅を縮めています。市場は、FOMCの結果が出るまで大きな持ち高を取りにくい状態です。

21時30分に発表された9月のNY連銀製造業景気指数は7.6と、前月の20.6から13ポイント低下し、市場予想(14前後)も下回りました。景気の良し悪しの分かれ目であるゼロは上回ったものの、NY連銀の発表では出荷がマイナスに転じた一方、仕入れ価格の指数は上昇しています。

注目ポイント

FOMCで3年ぶりの利上げになるか。 CMEのFedWatchでは、16日の会合で0.25%の利上げが決まる確率が92〜93%程度と伝えられています。利上げとなれば2023年7月以来で、政策金利の誘導目標は3.75〜4.00%に引き上げられる見込みです。日本経済新聞によると、年内に計3回の利上げを予想する金融機関も出ています。

「景気の減速」と「物価の上昇」が同時に見えている点。 NY連銀の指数は景況感の鈍化を示した一方で、仕入れ価格は上昇しました。景気が弱まっても物価が下がりにくい状況は、中央銀行にとって判断が難しい組み合わせです。今夜の指標がFOMCの見通しにどう影響するかは、米長期金利の動きに表れやすいポイントです。

AI関連株の値動き。 14日はエヌビディアなど半導体株が下げた一方、ソフトウエアやサイバーセキュリティ株が買われました。この資金の動きが2日目も続くのか、金利上昇を受けてハイテク株全体が重くなるのかも見どころです。

日本市場への波及。 15日の東京市場では、国内の長期金利が3.030%と約30年ぶりの水準まで上昇し、日経平均は前場の600円超高を守れず8円89銭安で終えました。米金利の動きは、日本の金利や為替を通じて翌日の東京市場にも影響しやすくなっています。

ひとこと解説

ドットチャート — FOMCに参加するFRBの幹部が、今後の政策金利の水準をそれぞれ予想し、点(ドット)で示した図のことです。3カ月に1度の会合で公表され、9月はその対象回にあたります。政策金利そのものが市場予想どおりでも、ドットチャートで「年内や来年にさらに利上げする」と考える幹部が多ければ、市場は金融引き締めが長引くと受け止めやすくなります。発表時は、政策金利の結果とあわせて「今後の見通しがどう変わったか」に注目すると、市場の反応が理解しやすくなります。

NY連銀製造業景気指数 — ニューヨーク州の製造業者に景況感をアンケートし、「良くなった」と答えた割合から「悪くなった」と答えた割合を引いて算出する指標です。ゼロを上回ると景況感の改善、下回ると悪化を示します。毎月15日ごろに公表され、全米の主要な景気指標のなかでも発表が早いため、その月の景気の方向感を先取りする材料として注目されます。

出典