14日の米国市場は、週末にアンソロピックのダリオ・アモデイCEOらが訴えた「AI開発の減速」を取引時間中に初めて消化し、主要3指数がそろって反落しました。エヌビディアなど半導体株が売られた一方、AIとの競争懸念が和らいだソフトウエア株やサイバーセキュリティ株には買いが入り、指数の下げは0.3〜0.6%にとどまりました。原油高を背景に、米10年債利回りは2023年以来となる5%台に一時乗せています。

14日の米国市場(終値) 終値 前週末比
ダウ工業株30種平均 52,421.20ドル -152.09(-0.29%)
S&P500種株価指数 7,619.98 -37.00(-0.5%)
ナスダック総合指数 26,186.41 -146.62(-0.56%)
ラッセル2000(小型株) 2,892.24 -11.71(-0.4%)
目立った個別銘柄(14日) 騰落率 背景
エヌビディア -3.4% AI開発減速への警戒
バンク・オブ・アメリカ -5.1% 7〜9月期の投資銀行手数料見通しが市場予想を下回る
クラウドストライク +13.8% AIを悪用したサイバー攻撃への警戒でセキュリティ株に買い
パロアルト・ネットワークス +13% 同上
オートデスク +7.8% AIとの競争懸念が後退
アドビ +5.3% 同上
金利・商品・為替(14日) 水準 備考
米10年債利回り 一時5.01%前後 取引終盤は4.9%台に低下
北海ブレント原油先物 105.68ドル +1%(一時110ドルに接近)
WTI原油先物(10月物) 101.39ドル +1.34ドル(一時104.95ドル)
NY金先物(12月物) 4,351.90ドル -57.00ドル
ドル円(NY市場) 154円台前半で引け 高値155円00銭
15日の主な予定(日本時間) 内容
11時00分 中国 8月の小売売上高・鉱工業生産・固定資産投資
13時30分 第3次産業活動指数(7月)
18時00分 独ZEW景気期待指数(9月)
21時30分 米ニューヨーク連銀製造業景況指数(9月)
期間中 米FOMC(16日まで、結果は日本時間17日午前3時)

何があった?

アモデイCEOが12日に公表した「最先端AIの開発ペースを業界全体で落とすべきだ」という提言に、オープンAIのサム・アルトマンCEOも賛同したことで、AI向け投資の伸びが鈍るとの警戒が広がりました。AP通信によると、ナスダック総合指数は一時1.3%下げ、時価総額の大きいエヌビディアの3.4%安が市場全体の最大の重しになりました。マイクロン・テクノロジーやブロードコムも下落しています。

一方で、売りはAI関連に集中しました。これまで「AIに仕事を奪われる」との懸念から売られてきたソフトウエア企業には買い戻しが入り、オートデスクが7.8%高、アドビが5.3%高、インテュイットが5.5%高となりました。AIを悪用したサイバー攻撃への警戒が意識され、クラウドストライクは13.8%高で上場来高値を更新し、パロアルト・ネットワークスも13%上昇しています。アルファベットやメタも上昇しました。

金融株も下げました。バンク・オブ・アメリカは、ブライアン・モイニハンCEOが業界会議で7〜9月期のトレーディング収入は前年並み、投資銀行手数料は16億〜18億ドルとの見通しを示し、市場予想(約20億ドル)を下回ったことから5%あまり下落しました。

原油も高止まりしています。日本経済新聞によると、サウジアラビアの「東西パイプライン」がドローン攻撃を受けて停止したことなどから、WTIは一時104.95ドルと約4カ月ぶりの高値をつけました。ただその後、トランプ米大統領がイランとの交渉に関するSNS投稿をしたことなどで上げ幅を縮め、清算値は101.39ドルでした。原油高によるインフレ懸念から米10年債利回りは一時5%を超えましたが、原油の伸び悩みとともに低下に転じています。

注目ポイント

AI関連株への売りが続くかどうか。 14日の東京市場ではソフトバンクグループが10%超下落し、日経平均は518円安となりました。夜の米国市場でもエヌビディアなど半導体株が下げており、15日の東京市場でもAI・半導体関連に売りが続くのか、落ち着くのかが焦点になりそうです。一方、14日の東証プライムでは値上がり銘柄が約8割を占めており、AI以外の銘柄に買いが広がる流れが続くかどうかも見どころです。

金利と為替。 米長期金利が5%台に乗せたことで、日米の金利差を意識したドル買いが入り、ドル円は一時155円ちょうどまで上昇しました。円安は輸出企業の業績にはプラスに働きやすい一方、輸入物価を通じた物価高にもつながります。

日米の金融政策イベントが近づいています。 米FOMCは15〜16日に開かれ、フィスコによると市場は9月の利上げを90%以上織り込んでいます。日銀の金融政策決定会合の結果は18日に公表される予定で、19日(土)からは東京市場が5連休に入ります。

ひとこと解説

長期金利の「5%」が注目される理由 — 米10年債利回りは、住宅ローン金利や企業の借入金利の目安になる、世界の金融市場で最も重視される金利のひとつです。利回りが上がると、将来の利益への期待で買われてきた成長株ほど「割高」と見られやすくなります。5%はきりのいい節目で、前回この水準をつけたのが2023年秋だったこともあり、市場参加者の心理的な目安として意識されやすくなっています。

「指数の下げが小さい=穏やかな一日」とは限らない — 14日のS&P500は0.5%安と小幅でしたが、中身を見るとエヌビディアが3.4%安、クラウドストライクが13.8%高と、銘柄ごとの値動きは大きく分かれていました。下げる銘柄と上がる銘柄が打ち消し合うと、指数の変化は小さく見えます。投資家の資金がどこからどこへ動いたのかは、業種別や個別銘柄の動きを合わせて見ると分かりやすくなります。

出典