11日の米国市場は、原油価格の反落でインフレへの警戒が和らぎ、主要3指数がそろって4営業日ぶりに反発しました。ただ週末には、米AI企業アンソロピックのダリオ・アモデイCEOが「最先端AIの開発ペースを落とすべきだ」と訴え、オープンAIのサム・アルトマンCEOも年内の株式上場を見送る考えを示しました。サウジアラビアの原油パイプライン停止も重なり、日本時間14日早朝の米株価指数先物は下落、原油先物は上昇しています。

11日の米国市場(終値) 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 52,573.29ドル +509.19(+0.98%)
S&P500種株価指数 7,656.98 +65.28(+0.86%)
ナスダック総合指数 26,333.04 +251.3(+0.96%)
前週(9/7〜9/11)の騰落 週間の値幅
ダウ工業株30種平均 -840.96ドル(-1.6%)
S&P500種株価指数 -61.62(-0.8%)
ナスダック総合指数 -173.95(-0.7%)
週明けの動き(日本時間14日早朝の報道時点) 水準・前週末比
ナスダック100先物 1.2%安
WTI原油先物 1バレル=102ドル近辺(11日清算値は100.05ドル)
北海ブレント原油先物 107ドルに接近(11日清算値は104.61ドル)
11日の為替・東京市場 水準 前日比・備考
ドル円(NY市場の引け) 153円24銭 高値154円48銭
日経平均株価 64,011.34円 -1,259.61(-1.93%)
TOPIX 4,028.30 -26.28(-0.65%)
14日の主な予定(日本時間) 内容
13時30分 鉱工業生産・確報値(7月)、設備稼働率(7月)
19時30分 インド消費者物価指数(8月)
期間中 G20エネルギー供給拡大閣僚級会合(16日まで)、IAEA年次総会(18日まで)

何があった?

11日の米国市場は、前日まで4日続いた下げから一転して買い戻されました。AP通信によると、原油価格が直近の急騰から落ち着いたことに加え、朝方発表の米8月消費者物価指数(CPI)がおおむね市場予想並みだったことが相場を落ち着かせました。CPIは前月比0.4%上昇、前年同月比3.4%上昇と前月と同じ伸びでした。ただし食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.3%上昇と、予想の0.2%を上回っています。フィスコは、年内2回のFOMCでの利上げが完全に織り込まれたと伝えました。3指数とも週間では下落しており、ダウは週間で840ドルあまり値を下げています。

米10年債利回りは、Yahoo Financeによると取引時間中に2023年後半以来の高水準をつけたあと、CPI発表を受けて低下しました。個別では、フィスコによるとアドビが決算を好感して上昇した一方、オラクルはAI関連の支出への懸念から下落しています。

週末には、AI業界の大きなニュースが相次ぎました。日本経済新聞や時事通信によると、アンソロピックのアモデイCEOは12日に公表した文章で、高度なAIが連携すれば6〜12カ月以内にインターネット全体を乗っ取る能力を持つ恐れがあると警告し、業界が協調して最先端モデルの開発ペースを落とすべきだと呼びかけました。これにオープンAIのアルトマンCEOが賛同し、イーロン・マスク氏もSNSで支持を表明しています。さらにアルトマン氏は米フォーチュン誌のインタビューで、安全性をめぐる状況を踏まえると今は上場に適した時期ではないとして、2026年中の新規株式公開(IPO)を否定しました。

CNBCとブルームバーグによると、この流れを受けて日本時間14日早朝の米株価指数先物は下落し、ハイテク株の比率が高いナスダック100先物は1.2%安となっています。ブルームバーグは、AI企業トップの警告が目先は半導体株の重しになるとの見方と、投資テーマそのものは維持されるとの声を伝えています。

原油も再び上昇しています。サウジアラビアは、ホルムズ海峡を経由せずに原油を紅海側へ運ぶ「東西パイプライン」を、攻撃を受けたことから予防措置として停止しました。ブルームバーグによると、ブレントは107ドルに近づき、WTIは102ドル近辺で推移しています。再開の見通しは示されていません。

注目ポイント

14日の東京市場では、週末のAI関連ニュースが半導体関連株にどう受け止められるかが焦点になりそうです。日経平均は11日に1,259円安と大きく下げ、2週続落で週を終えています。前週末の米国株は反発しましたが、週明けの米株先物と原油の動きは逆方向のため、11日の米株高だけでは手掛かりにしにくい状況です。

今週は日米の金融政策が続けて決まります。米FOMCの結果は日本時間17日午前3時、日銀の政策金利は18日に発表される予定です。CNBCによると、市場ではFOMCでの利上げ確率が約86%と見込まれています。原油高が物価と金利を押し上げる流れが続くかどうかは、両方の会合の判断材料にもなります。

また、来週は19日(土)から23日(水)まで東京市場が5連休となります。今週は連休前の最後の1週間で、FOMCと日銀会合が集中している点も頭に置いておきたいところです。

ひとこと解説

株価指数先物の「時間外」の動き — 米国の株価指数先物は、現物の株式市場が閉まっている間もほぼ24時間取引されています。週末明けの日曜夕方(米国時間)に取引が始まるため、土日に出たニュースへの反応は、まず先物の値動きに表れます。日本時間の月曜朝は米国市場がまだ開いていない時間帯なので、東京市場では米株先物の動きが週末材料の「温度計」として意識されやすくなります。ただし先物の動きがそのまま現物の終値につながるとは限りません。

IPO(新規株式公開) — 未上場の企業が、証券取引所に株式を上場して一般の投資家が売買できるようにすることです。企業は資金調達の手段が広がる一方、情報開示の義務を負います。大型の未上場企業のIPO時期は、その業界に対する投資家の期待や市場環境を映すものとして注目されることがあります。

出典