10日の米国市場は主要3指数がそろって4営業日続落しました。中東情勢の一段の緊迫を受けて米国産標準油種(WTI)の原油先物が1バレル=102ドル台に乗せ、米8月の生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったことで長期金利も4.96%まで上昇。11日の東京市場は9月限のメジャーSQ算出日にあたり、日本時間夜には米8月の消費者物価指数(CPI)の発表が控えます。

10日の米国市場(終値) 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 52,064.10ドル -316.56(-0.60%)
S&P500種株価指数 7,591.70 -44.66(-0.58%)
ナスダック総合指数 26,081.725 -171.615(-0.65%)
10日の商品・金利 水準 前日比・備考
WTI原油先物(10月渡し) 102.48ドル +6.43ドル(8営業日続伸、約4カ月ぶり高値)
米10年債利回り 4.9606% +0.1179%(2023年10月以来の水準)
10日のNY為替 引け 値幅
ドル円 153円85銭 154円67銭まで上昇後に反落
ユーロドル 1.1631ドル 1.1592〜1.1631ドル
ユーロ円 178円75銭 179円48銭まで上昇後に下落
10日の東京市場(終値) 終値 前日比
日経平均株価 65,270.95円 +128.17(+0.20%)
TOPIX 4,054.58 +7.94(+0.20%)
11日の主な予定(日本時間) 内容 市場予想(前回)
8時50分 国内企業物価指数(8月) 0%(0.1%)
8時50分 景況判断BSI大企業全産業(7-9月) -0.5
終日 9月限の株価指数先物・オプション特別清算値(SQ)算出
15時00分 英鉱工業生産(7月) -0.2%
19時30分 ロシア中央銀行 政策金利発表 14.00%
21時30分 米消費者物価指数(CPI・8月) 3.4%(3.4%)
23時00分 米ミシガン大学消費者マインド指数(9月・速報) 51.0(51.7)
27時00分 米財政収支(8月) -3,448億ドル

何があった?

10日の米国市場は、前日から続く「原油高・金利上昇」の構図が4日目に入りました。

中東情勢はさらに緊迫しました。日本経済新聞によると、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海に面した港湾都市を掌握したと伝わり、海上輸送の要衝であるバベルマンデブ海峡への影響が懸念されました。トランプ米大統領が米イランの衝突の収束時期について「11月の中間選挙後」になるとの見方を示したことや、イランが地下施設で弾道ミサイルの生産を再開したと報じられたことも、リスクを避ける売りにつながりました。

原油相場は大きく上昇しました。共同通信によると、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は8営業日続伸し、指標のWTI10月渡しは前日比6.43ドル高の1バレル=102.48ドルで取引を終えました。終値としては5月中旬以来、約4カ月ぶりの高値です。取引時間中には一時7%高の103ドル台まで上昇する場面もありました。石油タンカーへの攻撃が増え、供給の混乱が深刻になるとの見方が広がっています。

金利も上昇しました。10日発表の米8月PPIは前年同月比5.4%上昇と市場予想の5.3%を上回り、インフレ圧力の強さが意識されました。米10年債利回りは前日比0.1179%高い4.9606%と、2023年10月以来の水準に上昇しています。為替市場では、原油高と金利上昇を背景にドル買いが進み、ドル円は一時154円67銭まで上昇したあと153円85銭で引けました。米財務省が発表した長期債の買い戻し規模が519億ドルと、市場が見込んでいた600億ドルに届かなかったことも、債券市場の失望につながったと伝えられています。

個別では、IBM、アムジェン、ナイキ、エヌビディアなどが下落し、マイクロン・テクノロジーやインテルといった半導体関連も売られました。一方でアップル、ディズニー、コカ・コーラは上昇しています。

引け後には注目の2社が決算を発表しました。オラクルの2027年6月期第1四半期(2026年6〜8月期)は売上高が前年同期比30%増の193億ドル、調整後EPSが1.92ドルと、市場予想(LSEG集計で売上高191億4,000万ドル、EPS1.74ドル)を上回りました。クラウド事業の売上高は62%増の116億ドルで、うちクラウドインフラ(OCI)は121%増の74億ドル。受注残にあたる残存履行義務(RPO)は6,640億ドルに膨らみ、通期見通しも売上高900億ドル以上・調整後EPS8.10ドルに引き上げられています。CNBCによると、株価は時間外取引で7%上昇しました。

アドビの2026年11月期第3四半期(6〜8月期)は、売上高が前年同期比13%増の67億6,000万ドル、非GAAPベースのEPSが6.13ドルと、いずれも市場予想を上回りました。通期見通しも売上高265億7,600万〜266億2,600万ドル、非GAAP EPS 24.45〜24.50ドルへ引き上げています。ただし時間外取引では2.14%安の243.50ドルと売られました。あわせて、シャンタヌ・ナラヤン会長兼CEOが、12月1日付でアニル・チャクラバーシー氏を次期社長兼CEOとする人事を発表しています。

注目ポイント

11日の東京市場では、まず9月限の株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)の算出が意識されます。いわゆる「メジャーSQ」で、寄り付き前後に売買が膨らみやすく、指数が振れやすい日です。前日10日の日経平均は3営業日ぶりに反発して65,270円95銭で引けましたが、その後の米国株安と原油高、円安という材料をどう消化するかが焦点になります。

夜の最大の焦点は日本時間21時30分に発表される米8月のCPIです。財経新聞のスケジュールによると市場予想は前年同月比3.4%で、前回と同じ伸びが見込まれています。前日のPPIが予想を上回った直後だけに、CPIの結果次第で金利観測が動きやすい状況です。報道によれば来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えており、金融政策を見極めるうえでの重要な材料と位置づけられています。

原油の動きも引き続き注視されます。WTIは9月に入ってから上昇が続いており、エネルギー価格の上昇は物価統計を通じて金利観測にも波及します。中東発のニュースが相場全体を動かす状態が続いている点は、頭に置いておきたいところです。

ひとこと解説

メジャーSQ — 株価指数先物・オプション取引の決済価格(特別清算値=SQ値)を算出する日のことです。SQは毎月ありますが、3月・6月・9月・12月は先物とオプションの両方の期限が重なるため「メジャーSQ」と呼ばれます。SQ値は日経平均の始値とは別に、構成銘柄すべての始値をもとに算出されます。ポジションを整理する売買が集中しやすく、寄り付き前後の値動きが荒くなることがあります。

残存履行義務(RPO) — 企業が契約済みでまだ売上高として計上していない金額のことです。クラウドやソフトウエアのように、複数年の契約を結んでから徐々に売上として認識するビジネスでは、将来の収益の見込みを測る手がかりとして注目されます。ただしRPOは契約額であって、そのまま利益になるわけではありません。

PPIとCPIの違い — PPI(生産者物価指数)は企業が出荷する段階の価格、CPI(消費者物価指数)は消費者が買う段階の価格を測ります。一般にPPIの変動は時間差をおいてCPIに波及すると考えられているため、PPIが予想を上回った翌日のCPIには注目が集まりやすくなります。

出典