7日の米国株式市場はレーバーデー(労働者の日)の祝日で終日休場となり、今夜は新規の売買が行われません。今週は8日から11日までの4営業日となり、市場の関心は10日の8月卸売物価指数(PPI)とオラクル・アドビの決算、そして11日の8月消費者物価指数(CPI)に集中しています。休場のなかでも原油相場は上昇を続け、WTI原油先物は約3カ月ぶり、ブレント原油は約6週間ぶりの高値水準をつけました。

7日の米国市場 状況
米国株式市場 レーバーデーのため終日休場
今週の取引日数 8日(火)〜11日(金)の4営業日
前週末4日の米国株(終値) 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 53,414.25ドル -271.86(-0.51%)
S&P500種株価指数 7,718.60 -29.11(-0.38%)
ナスダック総合指数 26,506.99 -77.07(-0.29%)
フィラデルフィア半導体株指数(SOX) 11,735.262 +383.133(+3.37%)
7日の商品市況 水準 前日比
WTI原油先物 92.30ドル/バレル +0.82(+0.90%、約3カ月ぶり高値)
ブレント原油先物 97.30ドル/バレル(一時97.5ドル) +1.02(+1.06%、約6週間ぶり高値)
7日の為替(ドル円) 水準
東京市場午後 155円79銭前後まで弱含み
欧州時間 156円10銭台〜156円30銭台、一時156円60銭台
欧米時間の予想レンジ(外為どっとコム) 155.200〜156.500円
今週の主な予定(日本時間) 内容
8日(火) 日本4-6月期GDP改定値、中国8月貿易収支、NY連銀8月消費者期待調査、ゲームストップ決算
9日(水) 中国8月CPI・PPI、米雇用主負担従業員報酬費用(ECEC)
10日(木) 米8月PPI、ECB(欧州中央銀行)理事会、オラクル・アドビ・メーシーズ決算
11日(金) 米8月CPI、米実質賃金、ミシガン大学9月消費者マインド指数(速報値)、クローガー決算、日本メジャーSQ算出
10日発表の主要決算(市場予想) 売上高 1株利益
オラクル(2027年度第1四半期) 約191億ドル 調整後EPS 約1.73ドル
アドビ(2026年度第3四半期) 約66億9,000万ドル Non-GAAP EPS 約6.09ドル

何があった?

今夜の米国市場は休場です。レーバーデーは9月の第1月曜日に定められた米国の祝日で、株式市場は終日取引を行いません。今週はここから4営業日の短縮週となります。

材料の整理をしておくと、前週末4日の米国株は主要3指数がそろって反落しました。同日発表された8月の雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比16万2,000人増と市場予想の5万3,000人増を大きく上回り、9月の利上げ観測が再燃したためです。米10年物国債利回りは一時4.81%まで上昇しました。ただし半導体セクターだけは別の動きで、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.37%高と大きく上昇しています。この乖離を受け、7日の東京市場では日経平均株価が前週末比1,378円90銭(2.12%)高の6万6,399円84銭と大幅に続伸しました。

米国が休場だった今日の材料は、もっぱら原油とヨーロッパでした。原油相場は米国とイランの応酬が続いていることを背景に上昇し、WTI原油先物は92.30ドル(前日比+0.90%)と約3カ月ぶりの高値をつけました。ブレント原油も97.30ドル(同+1.06%)まで上昇し、一時97.5ドルと約6週間ぶりの水準に達しています。ホルムズ海峡を通る船舶の安全をめぐる交渉が続き、米国が海上封鎖を維持する方針を示していることが供給への懸念につながりました。一方で、主要国が備蓄を取り崩す動きも出ており、米国の戦略石油備蓄(SPR)は2億9,000万バレルを下回って1982年以来の低水準となっています。中国が原油輸入を減らしていることとあわせ、これらは価格の上昇を抑える方向に働いています。

為替市場では、ドル円が東京市場の午後に155円79銭前後まで弱含み、欧州時間は156円10銭台から156円30銭台での小幅な値動きとなりました。一時156円60銭台まで上昇する場面もありましたが、その後は156円近辺まで押し戻されています。日銀の利上げ加速観測が円買いにつながる一方、米国の祝日で流動性が低下していたこと、11日のCPIを控えて様子見ムードが強かったことから、方向感の出にくい一日でした。米国の政策金利をめぐっては、強い雇用統計を受けても9月FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ織り込みは6割弱にとどまっています。

なお、7日は日本時間18時にユーロ圏の4-6月期GDP改定値(市場予想は前年比+1.0%、前回+1.0%)が発表されました。

注目ポイント

今週最大の焦点は、11日発表の8月の米CPIです。9月の利上げ観測が雇用統計をきっかけに再び強まっているなかで、インフレの鈍化が続いているかどうかが確認されることになります。直近の物価指標を確認しておくと、7月のPCE(個人消費支出)物価指数は前年同月比3.7%上昇と市場予想の3.6%を小幅に上回り、コアPCEは3.3%上昇でした。5月の4.1%をピークに伸び率は低下してきていますが、FRB(米連邦準備制度理事会)が目標とする2%との差はまだ大きい状態です。CPIが市場予想を上回る内容となれば金利見通しの上振れにつながりやすく、逆に鈍化が確認されれば利上げ観測は後退しやすくなります。15〜16日のFOMCに向け、この一本が織り込みを大きく左右する構図です。

10日も材料が集中する日です。米8月PPIに加え、ECB理事会では0.25%の利上げに踏み切るとの見方が有力視されています。同じ日にオラクルとアドビという大型ソフトウェア企業の決算発表が控えており、ハイテク株の地合いを左右する可能性があります。オラクルはデータセンター増設に伴う負債への懸念から株価が年初から約2割下落しており、AI関連投資に対する市場の評価を測るうえで注目度が高い決算です。

原油高が株式市場にとって重しになりやすい点も、今週の相場を見るうえでの前提になります。エネルギー価格の上昇は企業のコストを押し上げると同時に、物価指標を押し上げる方向に働くためです。中東情勢が動けば、CPIの結果とは別に金利見通しへ影響が及ぶ可能性があります。

ひとこと解説

レーバーデーと米国市場の季節性について整理しておきます。レーバーデーは9月の第1月曜日で、米国では夏休みシーズンの終わりを区切る祝日とされています。市場では「レーバーデー明けから本格的な取引が戻る」と表現されることが多く、夏の間に薄かった商いが再び厚みを増す転換点として意識されます。同時に、9月は歴史的に米国株のパフォーマンスが振るいにくい月としても知られており、休場明けの相場は慎重に見られやすい傾向があります。ただしこれは経験則にすぎず、その年の材料次第で動きは変わります。

CPIとPCEの違いについても触れておきます。どちらも物価の動きを示す指標ですが、集計の考え方が異なります。CPI(消費者物価指数)は消費者が購入する品目の価格を調査したもので、家賃など住居費の比重が大きいという特徴があります。PCE(個人消費支出)物価指数は企業側の売上データも使い、価格が上がった商品から安い商品へ買い替える消費者の行動を反映しやすい設計になっています。FRBが金融政策の判断で重視しているのはPCEのほうですが、CPIのほうが発表が早く月次で市場が最初に見る物価指標となるため、株式や為替が大きく反応するのはCPIの発表時であることが多くなります。7月のPCEが3.7%だったのに対し、CPIがどの水準を示すかは、両指標の性質の違いを踏まえて確認する必要があります。

**戦略石油備蓄(SPR)**について説明しておきます。米国が緊急時に備えて政府が保有している原油の備蓄で、供給が滞ったり価格が急騰したりした際に放出することで市場の混乱を和らげる役割を持ちます。今回のように地政学リスクで原油価格が上昇する局面では、備蓄の取り崩しが価格上昇を抑える力として働きます。ただし備蓄そのものは有限で、現在は2億9,000万バレルを下回り1982年以来の低水準まで減っています。放出余地が小さくなるほど、供給不安が価格に直接反映されやすくなる、という関係にあります。原油のニュースを見る際は、供給側の不安材料と、それを抑える側の要因を分けて見ておくと、値動きの背景を理解しやすくなります。

出典