4日の東京株式市場で日経平均株価は5営業日ぶりに反発し、前日比806円46銭(1.26%)高の6万5020円94銭で取引を終えました。前日の米国株高と日米の長期金利低下を受け、ハイテク株を中心に買いが優先されました。ただし東証株価指数(TOPIX)は1.19ポイント(0.03%)高の4103.23とほぼ横ばいで、2つの指数の差がはっきりと表れる一日となりました。

4日の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 65,020.94円 +806.46(+1.26%、5営業日ぶり反発)
TOPIX 4,103.23 +1.19(+0.03%)
売買動向(東証プライム) 水準
売買高 22億1,033万株
売買代金 8兆3,282億円
値上がり銘柄の比率 50.6%
値下がり銘柄の比率 45.7%
業種別騰落率(上位・下位) 騰落率
情報・通信業 +3.55%
証券・商品先物取引業 +2.12%
非鉄金属 +1.61%
空運業 +1.12%
電気機器 +0.99%
医薬品 -2.15%
水産・農林業 -2.35%
電気・ガス業 -2.35%
海運業 -2.38%
鉱業 -2.83%
為替・金利 水準 前日比
ドル円(4日午前10時) 155円74〜76銭 1円29銭の円高・ドル安
新発10年物国債利回り 一時2.905%へ低下 低下
4日発表の国内指標 結果 市場予想
7月実質消費支出(2人以上世帯、前年同月比) -3.6%(8カ月連続マイナス) -1.3%(QUICK集計)
7月消費支出(名目、前年同月比) -1.5%
7月消費支出(1世帯当たり) 30万1,245円

何があった?

きっかけは前日の海外市場でした。ウォラーFRB理事が9月の据え置きに前向きな姿勢を示したことで米長期金利が低下し、3日の米国株は主要3指数がそろって1%を超える上昇となりました。東京市場はこれを引き継ぐ形で始まり、日経平均は前日比284円46銭高の6万4498円94銭で寄り付いています。

支えとなった要因はもう一つあります。日経平均は前日まで4営業日続落し、この間の下落幅は約2,200円に達していました。売られすぎとみた押し目買いや自律反発を狙った買いが入りやすい地合いだったといえます。前場の段階から買いが優勢で、午後にかけてじりじりと上げ幅を広げる展開になりました。

上昇をけん引したのは情報・通信業(+3.55%)です。日米の長期金利が低下したことで、将来の成長期待で買われるグロース株の重荷が和らいだ形になりました。国内でも新発10年物国債の利回りが一時2.905%へ低下しています。ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、キオクシアホールディングス、ファナック、東京エレクトロン、村田製作所といった値がさのハイテク・電子部品関連が買われました。証券・商品先物取引業(+2.12%)や非鉄金属(+1.61%)も上位に並んでいます。

一方で、下落した業種の顔ぶれも明確でした。鉱業(-2.83%)、海運業(-2.38%)、電気・ガス業(-2.35%)が下落率の上位です。原油価格の軟化を背景に資源関連には売りが出ました。個別では豊田通商、三菱商事、三井物産といった商社株や、京セラ、武田薬品などが下落しています。

そして市場全体の上値を抑えたのが、進行する円高でした。4日午前10時時点の円相場は1ドル=155円74〜76銭と、前日比で1円29銭の円高・ドル安。日銀の利上げペース加速観測が背景にあり、輸出採算の悪化が意識される自動車をはじめとした輸出関連株には売りが出ました。

国内指標では、総務省が発表した7月の家計調査で、2人以上世帯の実質消費支出が前年同月比3.6%減となりました。8カ月連続のマイナスで、QUICK集計の市場予想(1.3%減)を下回っています。電気代を含む光熱・水道が9.2%減、自動車等購入が10.4%減と落ち込む一方、2027年4月から始まる新しい省エネ基準を前にしたエアコンの買い替え需要などで耐久財は5.9%増えました。

注目ポイント

この日の東京市場で最も目を引いたのは、日経平均が1.26%上昇したのに対しTOPIXが0.03%高とほぼ動かなかった点です。

理由は指数の作られ方の違いにあります。前場終了時点の集計では、日経平均の上げ幅555円26銭のうち、ソフトバンクグループ1銘柄で約413円分を押し上げていました。以下はファーストリテイリングが155円27銭、キオクシアホールディングスが59円84銭、TDKが27円40銭、太陽誘電が22円53銭と続きます。つまり上昇の大部分が、ごく少数の値がさ株によってもたらされていた構図です。実際、値上がり銘柄の比率は50.6%と、値下がり銘柄(45.7%)とほとんど差がありませんでした。市場全体が一斉に買われたわけではない、ということになります。

前日3日はこれとちょうど逆で、日経平均が0.17%安と続落する一方、TOPIXは0.50%高と反発していました。2日続けて、2つの指数が異なる方向や大きさで動いたことになります。相場の勢いを見るとき、日経平均の数字だけを追うと実態を取り違える可能性があるという点は、意識しておきたいところです。

もう一つの焦点は、日本時間4日21時30分に発表される8月の米雇用統計です。市場予想は非農業部門雇用者数が5.5万人増、失業率が4.1%、平均時給が前月比0.3%上昇。7月分は2.3万人の減少と5カ月ぶりのマイナスでした。今週はJOLTS求人件数やADP雇用統計が予想を下回っており、結果次第で9月15〜16日のFOMCに向けた織り込みが動く可能性があります。東京市場が引けた後の発表となるため、その反応は週明けの取引に持ち越されます。

ひとこと解説

日経平均とTOPIXは、計算方法が根本的に違います。 日経平均は225銘柄の株価を単純平均(調整あり)する「株価平均型」で、1株当たりの株価が高い「値がさ株」ほど指数への影響が大きくなります。会社の規模とは関係ありません。一方TOPIXは東証プライム市場などの銘柄を時価総額で加重する「時価総額加重型」で、対象は2,000銘柄超。市場全体の値動きに近い姿を映します。この日のように少数の値がさ株が大きく動いた日には、両者の差が広がりやすくなります。ニュースで日経平均の上げ幅だけが強調されているときこそ、TOPIXも合わせて見ると相場の広がりが分かります。

「寄与度」という考え方も覚えておくと便利です。「ソフトバンクGが1銘柄で日経平均を約413円押し上げた」というのは、その銘柄の株価上昇が日経平均の計算式を通じて何円分の押し上げになったかを示す数字です。日経平均は算出時に「除数」という調整値で割るため、株価が1,000円上がった値がさ株が指数を数十円動かす、といったことが起こります。上げ下げの理由を探るとき、指数の変動を銘柄ごとに分解して見るために使われます。

金利の低下がグロース株に効きやすい理由にも触れておきます。成長期待の高い企業は、利益の多くを将来に見込んでいます。将来のお金を現在の価値に換算する際は金利で割り引くため、金利が下がると将来の利益の現在価値が相対的に大きく計算されます。逆に金利が上がると、その分だけ評価が重くなります。この日、日米の長期金利がそろって低下したことが情報・通信業の大幅高につながった背景には、こうした関係があります。ただし、これはあくまで理屈上の整理であり、実際の株価はほかの要因でも動く点は付け加えておきます。

出典