3日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比111円16銭(0.17%)安の6万4214円48銭と小幅に続落しました。前日の米国市場が4営業日ぶりに反発したことを受けて朝方は400円近い上昇で始まりましたが、買いは続かず、後場に入って上げ幅を失いました。一方でTOPIX(東証株価指数)は20.44ポイント(0.50%)高の4102.04と、前日の下げから反発しています。指数の方向が分かれた一日でした。

3日の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 64,214.48円 -111.16(-0.17%、4日続落)
TOPIX 4,102.04 +20.44(+0.50%、反発)
3日の日経平均の推移 水準 前日比
寄り付き(9時00分) 64,724.81円 +399.17
前引け(11時30分) 64,455.83円 +130.19
後場寄り付き(12時30分) 64,557.96円 +232.32
大引け(15時00分) 64,214.48円 -111.16
東証プライム市場(3日) 数値
売買高 21億8,832万株
売買代金 7兆5,770億円
値上がり銘柄の比率 51.7%
値下がり銘柄の比率 44.0%
3日の為替・変動率指数 水準
ドル円(15時41分時点) 157円20銭付近(本日レンジ157円22銭〜158円96銭)
ユーロ円(同) 182円36銭〜184円17銭のレンジ
日経平均VI(14時10分時点) 26.66(+1.11、+4.34%)

何があった?

一日を通して見ると、「朝の買い戻しが続かなかった」という一言に集約される展開でした。

出発点は前日の米国市場です。2日のダウ工業株30種平均は295ドル高と4営業日ぶりに反発し、ナスダック総合指数も上昇しました。8月のADP雇用統計が市場予想を下回り、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁の発言もあって米長期金利の上昇が一服したことが背景です。前日2日の東京市場は日経平均が1,889円安と急落していたため、3日の東京市場は下げすぎた主力株を買い戻す動きから始まりました。寄り付きは399円高の6万4724円81銭で、これがこの日の高値圏となっています。

ただ、買いは長続きしませんでした。前引け時点では上げ幅を130円まで縮め、日中は一時マイナス圏に沈む場面もありました。日本インタビュ新聞によれば、金利の先高観やAI関連株への警戒が上値を抑えた形です。後場は232円高で始まったものの、そこからじりじりと水準を切り下げ、結局は小幅安で引けました。

もう一つ、この日の東京市場で効いたのが為替です。ドル円は朝方に158円90銭台まで上昇したあと下落に転じ、15時40分過ぎには157円20銭付近と、この日の高値から1円半以上の円高・ドル安になりました。フィスコによれば、前日の日銀当局者の発言をきっかけに引き締めペース加速の見方が広がるなか、欧州勢とみられる円買いが入ったとされています。円高は輸出企業の想定為替レートを通じて業績見通しに影響しやすく、値がさの輸出関連が多い日経平均には重荷になりやすい要素です。

注目ポイント

注目したいのは、日経平均が下げてTOPIXが上げたという点です。

業種別では、卸売業、石油・電気・ガス業、海運業が上昇し、鉱業、非鉄金属、食料品が下落しました。前引け時点では東証プライムの33業種中23業種が上昇しており、商社、銀行、鉄鋼、証券などに買いが入っていました。実際、大引けの値上がり銘柄比率は51.7%と値下がり(44.0%)を上回っています。つまり、市場全体としてはむしろ上げた銘柄のほうが多かったことになります。

それでも日経平均がマイナスで終わったのは、指数への影響が大きい銘柄が下げたためです。この日はファーストリテイリング、アドバンテスト、イビデン、フジクラ、ディスコ、TDK、住友電気工業、京セラなどが下落しました。半導体関連や電子部品といった、AI相場のなかで買われてきた銘柄群が目立ちます。一方、上昇したのはソフトバンクグループ、東京エレクトロン、三菱商事、豊田通商、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、東京海上、オリックス、リクルートホールディングス、ホンダなどで、商社や金融といった、いわゆるバリュー系の比重が高くなっています。

原油と中東情勢という重しも残ったままです。原油先物は引き続き強含みで推移し、イラン情勢の不透明感も継続しています。日経平均VIが26台まで上昇したことは、警戒感が完全には解けていないことを示しています。ただ、上昇率としては限定的で、日経225先物の下値も堅かったことから、前日のようなパニック的な売りには至りませんでした。

ひとこと解説

日経平均とTOPIXはなぜ動きが分かれるのかを整理しておきます。

日経平均は225銘柄の株価を単純平均に近い方法で計算する「株価平均型」の指数です。そのため、株価の絶対水準が高い銘柄(値がさ株)ほど指数への影響が大きくなります。極端に言えば、株価5万円の銘柄が5%動いたときの指数への影響は、株価1,000円の銘柄が5%動いたときの何十倍にもなります。ファーストリテイリングやアドバンテストといった銘柄が「指数寄与度が高い」と言われるのはこのためです。

これに対してTOPIXは、東証の広範な銘柄を対象に、時価総額(株価×流通株式数)で加重して計算する「時価総額加重型」の指数です。こちらは株価水準ではなく企業の規模が効くため、銀行や商社のような時価総額の大きい企業の動きが反映されやすくなります。

この日のように「値上がり銘柄のほうが多いのに日経平均は下落」という現象は、この計算方法の違いから生まれます。どちらが正しいという話ではなく、日経平均は値がさのハイテク・輸出株の温度計、TOPIXは市場全体の温度計として、両方を並べて見ると相場の実像がつかみやすくなります。ニュースで「日経平均が下落」と聞いたときに、TOPIXも同じ方向なのかを確認する習慣をつけておくと、その下落が市場全体のものなのか、一部の銘柄によるものなのかを見分けられます。

売買代金についても触れておきます。この日の東証プライムの売買代金は7兆5,770億円でした。売買代金は「株数×株価」の合計で、その日にどれだけの資金が動いたかを表します。一般に、大きく動いた日は売買代金も膨らみます。前日に1,889円安という急落があった直後としては相応の商いがあった水準で、投資家が様子見に徹して市場が閑散としていたわけではないことがうかがえます。

出典