31日の米国市場は主要3指数がそろって続落しました。米軍が約1カ月ぶりにイラン領内を攻撃し、イラン側も報復を発表したことで、原油価格が急伸。インフレ再燃への警戒から米長期金利が上昇し、9月の利上げ観測はさらに強まりました。1日の東京市場は、原油高と金利上昇という2つの重荷をにらんだ展開になりそうです。
| 31日の米国市場 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 53,185.90ドル | -374.09(-0.70%) |
| S&P500種株価指数 | 7,686.14 | -25.62(-0.33%) |
| ナスダック総合指数 | 26,370.89 | -31.53(-0.12%) |
| ラッセル2000指数 | 2,956.45 | -15.92(-0.54%) |
| 8月の月間騰落 | 騰落率 |
|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | +1%超(別集計では+1.3%) |
| S&P500種株価指数 | +2.6%(別集計では+2.5%) |
| ナスダック総合指数 | +3.9%(別集計では+3%超) |
| 31日の原油・金利・為替 | 水準 | 前日比 |
|---|---|---|
| 北海ブレント原油先物 | 90.49ドル | +2.7% |
| WTI原油先物 | 85.76ドル | +2.8% |
| 米10年物国債利回り | 4.752%(9月1日5時49分時点、日本経済新聞) | +0.025 |
| 米10年物国債利回り(別集計) | 4.76% | +0.04程度 |
| 米30年物国債利回り | 5.26% | +0.05程度 |
| ドル円(NY市場) | 159円90銭まで強含み後、159円60銭で引け | 円高方向 |
| ユーロドル(NY終値) | 1.1621ドル | — |
| ユーロ円(NY終値) | 185円64銭 | — |
| 9月FOMCの利上げ織り込み | 数値 | 集計 |
|---|---|---|
| 31日 | 62% | Yahoo Finance |
| 31日11時40分(米東部時間) | 66% | CME フェドウォッチ(Forbes) |
| 31日 | 58% | CoinDesk |
| 31日の米経済指標 | 結果 | 市場予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 8月ダラス連銀製造業景況指数 | 11.6 | 1.6 | 1.3 |
| 31日の東京市場(前営業日) | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 66,311円93銭 | -93.63(-0.14%) |
| TOPIX | 4,156.29 | +9.58(+0.23%、8日続伸) |
| 31日の主な個別株(米国) | 動き | 材料 |
|---|---|---|
| アマゾン・ドット・コム | 3%超安 | FTCが提訴の方針と米紙報道 |
| エヌビディア | 1%程度高 | 台湾メディアテックへ35億ドル出資を発表 |
| ゲームストップ | 3%程度高 | 第2四半期の純利益見通しを開示 |
何があった?
週明けの米国市場を動かしたのは、中東情勢でした。米中央軍(CENTCOM)は30日、ホルムズ海峡内にあるイランのラーラク島で、機雷を積んだロケットの発射準備を進めていたとして発射装置2基を攻撃したと発表しました。米軍によるイラン領内への攻撃は約1カ月ぶりです。これに対しイラン革命防衛隊は、ヨルダンにある米軍基地へミサイルとドローンで報復攻撃を行い、施設を破壊したと表明しました。さらにイラン側は、ホルムズ海峡南方で大型タンカーが機雷2発に接触して航行不能になったとも伝えています。7月末以降は比較的落ち着いていた米・イランの応酬が、再び表面化した格好です。
反応が最も鮮明に出たのは原油でした。北海ブレント原油先物は前週末比2.7%高の1バレル90.49ドル、米国指標のWTI先物は2.8%高の85.76ドルで取引を終えています。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、そこで機雷が現実の話題になれば、供給が細るとの見方が働きやすくなります。取引時間中にはブレントが91ドル台をつける場面もありました。
原油高はそのままインフレ懸念に接続しました。米10年物国債利回りは上昇し、日本経済新聞の表示では9月1日5時49分時点で4.752%(+0.025)。米メディアの集計では日中に4.76%まで上昇し、2025年1月以来の高い水準をつけたと伝えられています。30年物も5.26%前後へ切り上がりました。金利先物に織り込まれた9月FOMCでの利上げ確率は、集計にばらつきがあるものの、おおむね6割前後まで上昇しています(Yahoo Financeは62%、Forbesが引用したCMEフェドウォッチは米東部時間31日11時40分に66%、CoinDeskは58%と伝えています)。前週末のウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演で高まった利上げ観測に、原油高が上乗せされた形です。
株式市場の下げ方には、はっきりした偏りがありました。ダウが0.70%安と3指数のなかで最も下落率が大きく、ナスダック総合は0.12%安にとどまっています。景気敏感業種や小売が売られる一方、原油高の恩恵が意識されるエネルギー関連には買いが入りました。個別では、連邦取引委員会(FTC)が広告手法をめぐり提訴する方針だと米紙が報じたアマゾン・ドット・コムが3%超安。台湾のメディアテックへ35億ドルを出資すると発表したエヌビディアは1%程度上昇し、第2四半期の純利益見通しを開示したゲームストップも3%程度上げました。
なお、この日は8月の最終営業日でもありました。月間で見れば主要3指数はいずれも上昇して8月を終えています。ダウが1%超、S&P500が2.6%、ナスダック総合が3.9%の上昇です(別の集計ではそれぞれ1.3%、2.5%、3%超)。月末の一日は下げたものの、8月全体としてはプラスで着地した、という整理になります。
注目ポイント
1日の東京市場を考えるうえでの軸は、原油高と金利上昇の組み合わせです。原油の上昇は、燃料や輸送のコストを通じて幅広い企業の費用に効いてきます。一方で資源開発や商社、石油・石炭製品といった分野には収益改善の思惑が向かいやすく、指数全体の方向と業種ごとの方向が食い違いやすい局面でもあります。実際、前営業日の31日の東京市場でも、日経平均が93円63銭安と小幅に下げる一方、TOPIXは9.58ポイント高の4,156.29と8日続伸しており、電力・ガスや鉱業、石油・石炭製品が上昇上位に並んでいました。日経平均は指数寄与度の大きい半導体2銘柄(アドバンテストと東京エレクトロン)だけで約721円押し下げられており、指数の数字と市場全体の体感がずれた一日でした。この「日経平均は重いがTOPIXは堅調」という構図が続くのかどうかが、まず見どころになります。
為替は前日からやや円高方向に戻しました。31日のニューヨーク市場でドル円は159円90銭まで強含んだあと、159円60銭で引けています。フィスコによれば、原油高に伴うドル買いが先行したものの、ベッセント米財務長官の発言を受けて追加利上げ観測から円買いが優勢になったとのことです。前週末に7月末の協調介入後で初めて160円台に乗せた直後だけに、160円をはさんだ攻防が続いています。
指標面では、日本時間1日の予定が詰まっています。国内では8時50分に4〜6月期の法人企業統計、9時30分に8月の製造業PMI、14時に8月の消費者態度指数が発表されます。海外では10時45分に中国の8月製造業PMI、17時にユーロ圏の製造業PMI確報値、18時にユーロ圏の8月消費者物価指数と7月失業率が続きます。そして22時45分に米製造業PMI確報値、23時に8月のISM製造業景況指数、7月のJOLTS求人件数、7月の建設支出が並びます。
今週の最大の焦点は、4日(金)の日本時間21時30分に発表される8月の米雇用統計です。9月の利上げが「指標次第」という位置づけになっているだけに、1日のISM製造業景況指数とJOLTS求人件数、2日のADP雇用統計とFRBのベージュブック、3日のISM非製造業景況指数と、そこに至るまでの材料が連日で相場を揺らす可能性があります。企業決算では水曜日のブロードコムが注目されており、AI関連投資の持続性を測る材料と位置づけられています。
なお、31日発表の8月ダラス連銀製造業景況指数は11.6と、市場予想の1.6や前回の1.3を大きく上回りました。地区連銀の景況感が想定より強かったことは、景気の底堅さを示す一方で、利上げを許容する余地があるという見方にもつながりやすい数字です。
ひとこと解説
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ幅の狭い海峡で、中東で産出された原油やLNGを運ぶタンカーが通過する海上輸送の要衝です。世界で取引される原油のかなりの割合がここを通るとされ、日本が輸入する原油の大部分もこの海峡を経由します。だからこそ、ここでの軍事的な緊張は、実際に船が止まる前の段階から原油先物の価格に織り込まれます。今回のように「機雷の敷設準備」が報じられただけで価格が2%以上動くのは、供給が途絶した場合の影響が大きいと市場が見積もっているためです。
原油高がなぜ利上げ観測につながるのかは、物価との関係で説明されます。原油はガソリンや灯油といった直接の燃料になるだけでなく、輸送費やプラスチックなど幅広い製品の原料コストにも波及します。原油が上がると、時間差を伴って消費者物価全体を押し上げやすくなるわけです。中央銀行は物価の安定を任務としているため、インフレ率が目標を上回っている局面で原油高が重なると、金融引き締めを続ける、あるいは強める理由になりやすい——市場はそう読みます。31日に株が下げながら金利が上がったのは、この経路が意識された結果です。
株価指数によって下げ幅が違う点も、この日の特徴でした。ダウが0.70%安だった一方、ナスダック総合は0.12%安にとどまっています。ダウは30銘柄で構成される株価平均型の指数で、小売や景気敏感業種の比重が相対的に高く、この日はそうした銘柄への売りが指数を押し下げました。対してナスダック総合はハイテク企業の比率が高く、エヌビディアなど個別の好材料が下支えとなりました。同じ「原油高・金利上昇」というニュースでも、指数の中身によって受け止め方が変わります。指数を1つだけ見て「市場全体がどうだった」と判断すると、実際の資金の動きを取り違えることがあります。
出典
- Stock market today: Dow, S&P 500, Nasdaq slip but cap winning month for stocks - Yahoo Finance
- 31日の米国株式市場は続落、米・イラン緊張再燃で原油高 月間では主要3指数が上昇 - 財経新聞
- NYダウは374.09ドル安、対イラン紛争の長期化を警戒 - 財経新聞
- NY株続落、374ドル安 米イラン情勢悪化を懸念(共同通信) - Yahoo!ニュース
- How major US stock indexes fared Monday 8/31/2026 - Leader-Telegram
- Oil prices surge higher as US and Iran exchange fire for first time in a month - Yahoo Finance
- Gas topped $4 daily in August for the first time. New U.S. strikes on Iran are sending oil prices even higher again - Fortune
- Brent crude oil - Price - Chart - Historical Data - Trading Economics
- CME FedWatch Provides A 66% Chance Fed Will Hike Rates In September - Forbes
- September Fed rate hike fears appear overblown as the probability is just 58%, not 90% - CoinDesk
- 米国債10年(アメリカ10年物国債利回り)金利・チャート・推移 - 日本経済新聞
- 8月31日のNY為替概況 - 財経新聞
- 今日の注目スケジュール:欧ユーロ圏製造業PMI確報値、米製造業PMI確報値、米ISM製造業景況指数など - 財経新聞
- NYの視点:【今週の注目イベント】米雇用統計、ISM製造業、ベージュブック、各国PMI - 財経新聞
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