27日の米国市場は、ナスダック総合指数が411.15ポイント高の2万6541.35と1.57%上昇し、ハイテク株を中心に大きく反発しました。前日夕に決算と1年先の売上見通しを示したエヌビディアが8.7%高となり、セールスフォースが22%超、クラウドストライクが20%超と、AI関連やソフトウエア株が軒並み買われています。一方でジャクソンホール会議の初日には複数のFRB高官がインフレへの警戒を口にしており、今夜23時にはウォーシュ議長の議長就任後初となる基調講演が予定されています。

27日の米国市場 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 53,569.44ドル +105.56(+0.20%)
S&P500種株価指数 7,730.99 +55.29(+0.72%)
ナスダック総合指数 26,541.35 +411.15(+1.57%)
ラッセル2000指数 3,014.34 +8.44(+0.28%)
フィラデルフィア半導体株指数(SOX) 11,882.17 +270.93(+2.33%)
27日の主な個別株の動き 騰落率 材料
オクタ +28.63% サブスクリプション受注残の伸び
セールスフォース +22.58% 通期見通しを上方修正
クラウドストライク +20.50% 新規ARRが過去最高
エヌビディア +8.74% 決算と1年先ガイダンス
インテル +4.36% 半導体全体の地合い改善
ヘルスエクイティ -10.56%
ホーメル・フーズ -10.25%
その他の市場指標(27日) 水準 前日比
VIX指数(恐怖指数) 14.51 -0.70(-4.60%)
金先物 4,661.40ドル -2.60(-0.06%)
NY原油(WTI、10月物) 83.63ドル +0.10(+0.12%)
ビットコイン 80,279.98ドル +1,587.30(+2.02%)
米長期金利 横ばい圏
27日発表の米経済指標 結果
新規失業保険申請件数(8月22日までの週) 20万3000件
前営業日(27日)の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 66,131.98円 -130.18(-0.20%、3日ぶり反落)
日経平均 高値/安値 66,954.69円(9時06分)/65,782.59円(10時13分)
TOPIX 4,117.22 +6.20(+0.15%)
ドル円 水準
28日3時時点(共同通信) 1ドル=159円40〜41銭(前日比0.05円の円高)
今日以降の主な日程(日本時間) 内容
8月28日 8時30分 8月の東京都区部消費者物価指数(速報)、7月の完全失業率・有効求人倍率
8月28日 23時(米東部時間10時) ウォーシュFRB議長のジャクソンホール基調講演
9月16日 次回FOMC(米連邦公開市場委員会)
9月18日 次回の日銀金融政策決定会合

何があった?

27日の米国市場は、前日夕に発表されたエヌビディアの決算内容を市場が消化し、AI関連への見方が一気に前向きに傾いた1日でした。決算発表直後の時間外取引では粗利益率の低下見通しが嫌気されて株価が下げる場面もありましたが、決算説明会で示された「2028年1月期に70%の増収」という1年先の見通しのほうが最終的に重くみられました。エヌビディア株は8.74%高で引けています。

上昇はエヌビディア1社にとどまりませんでした。同じく前日に決算を発表したセールスフォースが22.58%高、クラウドストライクが20.50%高と、いずれも2割を超える上昇です。オクタは28.63%高とこの日の上昇率上位に並びました。ソフトウエア関連のETFは6%を超えて上昇しており、AIが既存のソフトウエア企業の収益を奪うのではないかという「SaaS終焉論」への警戒が、決算を受けていったん後退した形です。セールスフォースの経営陣は決算説明の場で、こうした懸念をはっきり否定したと伝えられています。半導体ではフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2.33%高の1万1882.17と大幅高になりました。

もっとも、上昇は業種によってかなり偏っていました。ハイテク比率の高いナスダック総合が1.57%高となる一方、ダウ工業株30種平均の上げ幅は0.20%にとどまり、小型株のラッセル2000も0.28%高と限定的です。S&P500の業種別では、上昇したのはテクノロジーのみだったと報じられており、指数全体の上げは実質的に一部のハイテク銘柄が担ったことになります。個別ではヘルスエクイティが10.56%安、ホーメル・フーズが10.25%安となりました。

株式が買われる一方で、金融政策をめぐる空気はむしろ引き締め寄りでした。27日に開幕したジャクソンホール会議では、3人のFRB高官がそろってインフレへの警戒を示しています。カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は、インフレは「まだしぶとく、粘着質だ」と述べ、現在の政策金利は景気を抑制する水準には見えないとの認識を示しました。クリーブランド連銀のハマック総裁は「今こそ行動する時だと考えている」と述べ、インフレが目標を5年以上超え続けていることでFRBの信認が損なわれるリスクに言及しています。同総裁は2026年末のインフレ率が3%程度、2027年でも「よくて2%台半ば」との見方を示しました。シカゴ連銀のグールズビー総裁は、最大の懸念はインフレが抑え込めなくなることだとしつつ、直近3カ月の傾向は「そこまでひどくはない」とも語っています。現在の政策金利の誘導目標は3.50〜3.75%です。

債券市場では長期ゾーンの利回りがおおむね横ばいで推移しました。株式が上昇したにもかかわらずVIX指数が4.6%低下して14.51まで下がっており、市場全体としては警戒感が和らいだ状態で27日の取引を終えています。

注目ポイント

今日の東京市場は、まず朝8時30分に発表される8月の東京都区部消費者物価指数(速報)からのスタートになります。東京都区部のCPIは全国の消費者物価に約3週間先行して公表されるため、日銀の政策判断を占ううえで注目度の高い指標です。同時刻には7月の完全失業率と有効求人倍率も発表されます。次回の日銀金融政策決定会合は9月18日で、市場では9月の利上げがかなりの確度で織り込まれているとの見方が伝えられており、今日の物価指標がその見方をどう動かすかが焦点になりそうです。

株式では、米国でエヌビディアやソフトウエア関連が大幅高となった流れを、東京市場の半導体関連やAI関連がどこまで引き継ぐかが注目されます。前営業日27日の東京市場は、寄り付き直後に日経平均が6万6954円69銭まで上昇して一時700円近い上げ幅となったものの、その後は伸び悩んで130円18銭安の6万6131円98銭と3日ぶりに反落しました。ジャクソンホール会議の内容を見極めたいとする持ち高調整の売りが上値を抑えた格好です。ただしTOPIXは6.20ポイント高の4117.22と小幅ながらプラスを確保しており、指数寄与度の大きい半導体関連が下げた一方で、幅広い銘柄はしっかりしていたことがうかがえます。

そして今夜の最大のイベントが、日本時間23時に予定されるウォーシュFRB議長の基調講演です。議長就任後としては初めてのジャクソンホール講演にあたり、市場はFRBがどのような条件で金利を動かすのか、その考え方の枠組みが示されるかどうかに注目しています。初日の3高官がそろってタカ派寄りの発言をしたあとだけに、議長がどこまでそれに沿った表現を使うかが、金利・為替・株式のいずれにも影響しやすい局面です。為替は28日3時時点で1ドル=159円40〜41銭と、前日からほぼ横ばいの水準で推移しています。講演は日本時間の深夜にあたるため、東京市場の取引時間中はその前の様子見が意識されやすい点にも留意が必要です。

ひとこと解説

**SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)**は、米国に上場する半導体関連の主要銘柄で構成される株価指数です。エヌビディアやインテル、台湾積体電路製造(TSMC)のADRなどが含まれます。日本の半導体関連株はこの指数と連動しやすい傾向があるため、東京市場の関係者が前夜の米国市場を確認するときによく見る指標の一つになっています。ただし構成銘柄が数十社に限られるうえ値動きの大きい銘柄が多いため、指数全体の変動幅もS&P500などに比べて大きくなりやすい性質があります。

VIX指数は、S&P500種株価指数のオプション価格から算出される「今後30日間に想定される変動の大きさ」を示す指標です。「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家が先行きの値動きを大きいと見込むほど数値が上がります。一般に20を超えると警戒感が強い状態、10台前半まで下がると落ち着いた状態と説明されることが多い指標です。株価が上がるとVIXが下がるという逆相関の関係が見られやすいものの、あくまで「変動の予想」を測るものであって、株価の方向を予測するものではない点には注意が必要です。

出典