28日の東京株式市場で日経平均株価は反発し、前日比273円58銭(0.41%)高の6万6405円56銭で取引を終えました。前日の米国市場でAI・半導体関連が大幅高となった流れを受け、前場から後場の入り口にかけて上げ幅は一時700円を超えましたが、今夜のジャクソンホール会議でのFRB議長講演を前に伸び悩みました。TOPIXは29.49ポイント(0.72%)高の4146.71と7日続伸しています。

28日の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 66,405.56円 +273.58(+0.41%、反発)
TOPIX 4,146.71 +29.49(+0.72%、7日続伸)
日経平均の日中の値動き 水準・時刻 前日終値(66,131.98円)比
始値 66,104.49円(9時00分) -27.49
高値 66,842.82円(12時30分) +710.84
安値 66,012.20円(9時00分) -119.78
終値 66,405.56円 +273.58
東証プライム市場の商い 内容
出来高 約21億7,790万株
売買代金 約8兆1,223億円(前日比+3.20%)
値上がり銘柄数 873
値下がり銘柄数 631
変わらず 49
主な個別銘柄の動き 方向
アドバンテスト、東京エレクトロン、太陽誘電 上昇
三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ 上昇
任天堂、リクルートホールディングス、ソニーグループ 上昇
キオクシアホールディングス、フジクラ、イビデン、ディスコ、古河電気工業 下落
ファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、HOYA、オリックス 下落
28日朝に発表された経済指標 結果 前月
8月の東京都区部CPI(生鮮食品を除く、中旬速報値、2025年=100) 102.3、前年同月比+1.8% +1.7%
同(生鮮食品を含む総合) 前年同月比+1.9%
同(生鮮食品及びエネルギーを除く総合) 前年同月比+2.0%
7月の完全失業率(季節調整値) 2.4% 2.5%
7月の有効求人倍率(季節調整値) 1.18倍 1.18倍
為替(東京時間) 水準
ドル円 1ドル=159円20〜40銭台での推移(朝方は159円41銭→159円29銭)

何があった?

この日の東京市場は、前日のニューヨーク市場でナスダック総合指数が1.57%高となり、エヌビディアが8.7%高、セールスフォースが22%高と、AI・ソフトウエア関連が全面高となった流れを引き継ぐ形で注目を集めました。ただし寄り付きは27円49銭安の6万6104円49銭と小幅安で始まり、9時台にはこの日の安値となる6万6012円20銭を付けています。前日の海外市場で原油先物が上昇し、米長期金利が高止まりしていたことが重荷になったとみられます。

その後は買い戻しが優勢となり、指数は着実に水準を切り上げました。後場が始まった12時30分には6万6842円82銭まで上昇し、前日終値からの上げ幅は710円84銭に達しています。株探は、この日の相場について「AI・半導体関連が買われるも上値は重い」と伝えました。上昇をけん引したのは半導体・電子部品関連で、アドバンテストや東京エレクトロン、太陽誘電が買われたほか、NECや富士通などソフトウエア関連も堅調に推移しています。米国でセールスフォースやクラウドストライクが2割を超えて上昇した流れが、日本のソフトウエア関連にも波及した格好です。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループといった銀行株、リクルートホールディングスや任天堂、ソニーグループも上げています。東証業種別では、サービス業が上昇率トップとなりました。

もっとも、後場は上げ幅を徐々に縮める展開でした。日本時間の今夜23時に予定されるFRB議長のジャクソンホール会議での基調講演を控え、週末をまたいで持ち高を維持することに慎重な投資家が多かったとみられます。半導体関連の中でもキオクシアホールディングスやフジクラ、イビデン、ディスコ、古河電気工業は下落し、小売ではファーストリテイリングやセブン&アイ・ホールディングスが軟調でした。前日の米国市場でエヌビディアがメモリー価格の上昇に触れたことも意識されやすく、同じ半導体でも銘柄によって方向が分かれた1日でした。

一方、TOPIXは29.49ポイント高の4146.71と7営業日続けて上昇しました。8月19日の4012.31を起点に、20日以降は一貫して上昇が続いています。日経平均の上げ幅が0.41%にとどまったのに対しTOPIXが0.72%上昇したことは、上昇が値がさの半導体関連だけでなく幅広い業種に及んだことを示しています。東証プライム市場の値上がり銘柄数は873、値下がりは631でした。売買代金は約8兆1,223億円と前日から3.20%増え、8兆円台に乗せています。

注目ポイント

朝8時30分には、注目度の高い経済指標が2つ発表されました。1つは8月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)です。生鮮食品を除く総合指数は102.3(2025年=100)と前年同月比1.8%の上昇で、日銀が目標とする2%を下回るのは7カ月連続となりました。もっとも上昇率自体は7月の1.7%から拡大しており、伸びは緩やかに強まっています。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.7%で、結果はこれを上回りました。生鮮食品を含む総合指数は1.9%上昇、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は2.0%上昇です。日本経済新聞によると、コメ類の価格が在庫の積み上がりや値引き拡大を背景に14.2%下落したほか、政府の補助を受けてエネルギーが2.0%下落(電気代2.4%下落、都市ガス代1.6%下落)し、全体の伸びを抑えました。一方で鉄道運賃は9.1%上昇しています。

もう1つは7月の雇用関連統計です。完全失業率(季節調整値)は2.4%と前月から0.1ポイント低下し、1年ぶりの低水準となりました。有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で前月から横ばいです。就業者数は前月比15万人減の6831万人、完全失業者数は8万人減の167万人でした。物価が2%に届かない一方で雇用は引き締まった状態が続いており、9月18日の日銀金融政策決定会合に向けて、両方の材料をどう読むかが引き続き論点になりそうです。

為替は東京時間を通じて1ドル=159円台での推移でした。朝方は159円41銭から159円29銭まで下げたあと持ち直し、その後も159円台前半から半ばのレンジで方向感の乏しい動きが続いています。FRB議長の講演待ちで、積極的にどちらかに傾ける動きが出にくい地合いでした。

そして今夜の最大の注目は、日本時間23時に予定されるウォーシュFRB議長のジャクソンホール基調講演です。議長就任後としては初めての講演にあたり、CNBCは金融政策の枠組みに関する発言に市場の関心が集まっていると伝えています。27日には3人のFRB高官がそろってインフレへの警戒を示しており、議長の表現がそれに沿うかどうかで、来週の東京市場のスタート地点も変わり得る局面です。

ひとこと解説

東京都区部消費者物価指数は、東京23区の物価動向を示す指標で、全国の消費者物価指数より約3週間早く公表されるのが特徴です。全国CPIの先行指標として扱われるため、日銀の政策判断を占ううえで市場の注目度が高くなっています。物価指数には、値動きの激しい生鮮食品を除いた「コア」、さらにエネルギーも除いた「コアコア」といった複数の系列があり、どの数字を見るかで印象が変わります。今回のようにコアが1.8%でコアコアが2.0%という場合、エネルギー価格の下落(政府補助を含む)が全体の伸びを押し下げていることを意味します。

有効求人倍率は、公共職業安定所(ハローワーク)に登録された求人数を求職者数で割った値です。1倍を超えていれば求職者1人あたり1件以上の求人がある状態で、数値が高いほど人手が足りない=労働市場が引き締まっていることを示します。今回の1.18倍は、求職者100人に対して求人が118件ある計算になります。完全失業率とあわせて見ると、失業率が低下しても求人倍率が横ばいなら「新たな採用の勢いは強まっていない」といった読み方ができます。ただし、いずれも景気に対して遅れて動く「遅行指標」に分類される点には注意が必要です。

出典