27日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反落し、前日比130円18銭(0.20%)安の6万6131円98銭で取引を終えました。エヌビディアの好決算を受けて朝方は6万6954円69銭まで上昇する場面がありましたが、買いは続かず、半導体関連株を中心に売りに押されました。日銀の氷見野良三副総裁が講演で追加利上げに含みを持たせたことも、市場の関心を集めています。

27日の東京市場 終値 前日比
日経平均株価 66,131.98円 -130.18(-0.20%、3日ぶり反落)
TOPIX 4,117.22 +6.20(+0.15%)
日経平均の日中の値動き 水準 前日終値(66,262.16円)比
始値 66,775.78円 +513.62
高値 66,954.69円 +692.53
安値 65,782.59円 -479.57
終値 66,131.98円 -130.18
その他の市場データ 内容
出来高(時事通信報道) 約19億6,100万株
アドバンテスト 一時、前日比1,180円(3.30%)安の3万4,520円
ドル円 159円台前半で推移(東京時間)
米10年債利回り(26日NY) 4.66%台に上昇
27日の日銀関連 内容
氷見野良三副総裁 埼玉県の金融経済懇談会で講演・記者会見
利上げについての発言 「毎回の金融政策決定会合において、しっかりと議論する」
物価認識 基調的な物価上昇率は「これまで以上に上振れリスクを意識する必要がある」
市場の9月利上げ織り込み 金利スワップ市場で21日時点、9月までの利上げ確率が約82%(7月会合直前は約23%)

何があった?

この日の東京市場は、前日の米国市場の取引終了後に発表されたエヌビディアの5〜7月期決算を出発点に始まりました。売上高は前年同期比で2倍を超え、次期の売上高見通しも市場予想を上回る内容だったため、寄り付きの日経平均は513円62銭高の6万6775円78銭と3日続伸のスタートを切っています。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が前日に続伸していたことや、円安基調が続いていたことも支えとなりました。

しかし、上昇は長続きしませんでした。日経平均は取引開始直後に6万6954円69銭の高値を付けたあと失速し、前引けにかけて下げに転じています。日本経済新聞は、この日の相場を「エヌビディア祭りは不発」と表現しました。決算説明でエヌビディアの経営陣がメモリー価格の上昇に言及したことから、AI関連の設備投資がコスト増の重荷を抱えるのではないかという警戒感が広がったとみられています。実際、次期の粗利益率見通しは5〜7月期の75.0%から74.0%へ低下する見込みが示されていました。

売りは半導体関連に集中しました。日経平均への寄与度が大きいアドバンテストは、朝方の上昇後に売りに押され、一時は前日比1,180円(3.30%)安の3万4,520円まで下落しています。同社は日経平均の値動きを左右しやすい銘柄の一つで、この失速が指数全体の重荷となりました。安値は6万5782円59銭と、前日終値から約480円下回る水準まで沈んでいます。ただ、後場には下げ幅を縮め、終値では130円18銭安にとどまりました。

一方、TOPIXは6.20ポイント(0.15%)高の4117.22と、日経平均とは異なりプラスで引けています。日経平均は値がさの半導体関連株の影響を受けやすい構成であるのに対し、TOPIXは東証プライム市場全体の時価総額の動きを映すため、半導体以外の幅広い銘柄に買いが入ると両指数の方向が食い違うことがあります。この日はその典型的な形となりました。

注目ポイント

もう一つの焦点は、日銀の氷見野副総裁が埼玉県で行った講演でした。副総裁は、一時的な変動要因を除いた基調的な物価上昇率について「これまで以上に上振れリスクを意識する必要がある」と述べ、今後の利上げについては「毎回の金融政策決定会合において、しっかりと議論する」と語りました。現在の金融環境は緩和的であるとの認識を示したうえで、引き続き政策金利を引き上げて緩和の度合いを調整する方針にも触れています。

市場では9月の利上げ観測がすでに強まっていました。ブルームバーグによると、金利スワップ市場が織り込む9月までの利上げ確率は21日時点で約82%と、7月会合の直前の約23%から3倍以上に高まっています。27日朝の時点では、9割近くを織り込んでいるとの見方も出ていました。今回の講演は、この観測を明確に否定するものではなかったため、9月会合への注目度は下がっていません。

為替は東京時間を通じて1ドル=159円台前半で推移しました。前日のニューヨーク市場では、7月の米PCE価格指数が前年比3.7%と市場予想を上回ったことを受けて米10年債利回りが4.66%台まで上昇し、ドル円は159円44銭前後まで上昇していました。日米ともに利上げ観測がくすぶるという構図のなかで、金利差の動きが為替を通じて日本株にも影響しやすい状況が続いています。

今後は、日本時間28日23時に予定されるウォーシュFRB議長のジャクソンホール会議での基調講演が控えています。議長就任後としては初めての講演にあたるため、金利と為替の両面で値動きが大きくなる可能性があり、東京市場も影響を受けやすい局面といえます。

ひとこと解説

日経平均とTOPIXの違いは、指数の計算方法にあります。日経平均は225銘柄の株価を平均する「株価平均型」で、株価水準の高い銘柄(値がさ株)の影響を強く受けます。一方のTOPIXは東証プライム市場などの銘柄を時価総額で加重する「時価総額加重型」で、規模の大きい企業の動きが反映されやすくなっています。この日のように半導体関連の一部が大きく下げると日経平均だけがマイナスになる、といったねじれが起きるのはこのためです。両方を見比べると、下げが一部の銘柄によるものか市場全体のものかを判断しやすくなります。

金利スワップ市場が織り込む利上げ確率とは、将来の金利を交換する取引の値動きから逆算した、市場参加者の予想を数値化したものです。「9月までの利上げ確率82%」といった表現は、公式の予測ではなく、あくまで市場の価格に表れた見方を示す目安です。この数値が高い状態で中央銀行が政策を据え置くと、織り込みの巻き戻しによって金利や為替が大きく動くことがあるため、中央銀行側も事前に方向性を示す発言を重ねる傾向があります。

出典