25日の米国市場は、ダウ工業株30種平均が160ドル24セント高の5万3577ドル40セント、S&P500種が0.32%高、ナスダック総合が0.66%高と、主要3指数がそろって上昇しました。イランをめぐる緊張の緩和観測からWTI原油が4%超下落し、米長期金利も低下したことが株式の支えとなっています。前日まで7営業日続落していたエヌビディアは2.17%高と反発しました。今日の東京市場は、日本時間27日早朝に発表されるエヌビディアの決算を前に様子見が続きやすい地合いです。

25日の米国市場 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 53,577.40ドル +160.24(+0.30%)
S&P500種株価指数 7,677.28 +24.42(+0.32%)
ナスダック総合指数 26,151.30 +171.11(+0.66%)
VIX指数 15.45 -2.52%
その他の指標(25日) 水準 備考
米10年債利回り 4.66%前後 前日の4.70%から低下
米30年債利回り 5.17% 低下
NY原油(WTI) 81ドル台 約4.5%下落
北海ブレント 88.58ドル 下落
金(12月限) 4,718.49ドル +0.44%
ドル円 159円19銭 +0.05%
25日の主な個別株の動き 騰落率
メルク +3.84%(156.45ドル)
ゴールドマン・サックス +2.18%
エヌビディア +2.17%(7営業日ぶり反発)
マクドナルド -1.63%
セールスフォース -1.61%
ナイキ -3.12%(39.48ドル)
アカデミー・スポーツ -5.80%
ディックス・スポーティング・グッズ -30.67%(124.32ドル)
市場の中身(25日) 上昇 下落 変わらず
ニューヨーク証券取引所 1,527銘柄 1,172銘柄 104銘柄
ナスダック市場 2,036銘柄 1,380銘柄 179銘柄
25日発表の米経済指標 結果 前回・備考
8月消費者信頼感指数(コンファレンスボード) 89.4 7月改定90.2、7カ月ぶりの低水準
同・期待指数 68.2 -5.8ポイント
同・現況指数 121.2 +6.8ポイント、4カ月ぶりの改善
7月新築住宅販売件数 60.7万件(年率) 前月比-10.5%、前年比-6.3%
同・販売価格の中央値 39万3,800ドル 前月比-2.3%
今日の東京市場 内容
日経平均 前営業日終値(8/25) 65,856.43円(+328.34円、+0.50%、3日ぶり反発)
TOPIX 前営業日終値(8/25) 4,093.67(+20.38、+0.50%)
東証プライムの売買代金(8/25) 約7兆円、約4カ月ぶりの低水準
8時50分(発表済み) 7月の企業向けサービス価格指数(前年比+3.6%、前月比+0.4%)
今夜の主な日程(日本時間) 予想 前回
20時 米MBA住宅ローン申請指数(前週比) -0.4%
21時30分 米7月個人所得(前月比) +0.2% +0.2%
21時30分 米7月個人消費支出(前月比) +0.2% +0.3%
21時30分 米7月PCE価格指数
21時30分 米7月耐久財受注(速報、前月比) +0.5% +0.5%
21時30分 米4-6月期実質GDP(改定値)
23時30分 米週間石油在庫統計
米国市場の取引終了後 エヌビディアの5-7月期決算

何があった?

25日の米国市場を動かした最大の材料は、原油価格の急落でした。WTI原油は4%を超えて下落し81ドル台となり、北海ブレントも88.58ドルまで水準を切り下げています。背景にあるのはイランをめぐる緊張の緩和観測です。パキスタン軍のトップがテヘランを訪問し、カタールが仲介を続けていると表明したほか、米国が退避させた外交官を近く現地に戻す可能性が報じられました。24日に発表された対イラン制裁も、事前に警戒されていたほどの厳しさではなかったとの受け止めが広がっています。

原油安はインフレ圧力の後退につながるとみなされ、債券が買われました。米10年債利回りは前日の4.70%から4.6%台へ、30年債利回りは5.17%へと低下しています。金利の低下は、将来の利益を現在価値に割り引いて評価される成長株にとって追い風とされ、ナスダックが3指数のなかで最も上げ幅を広げる形になりました。前日まで7営業日続落していたエヌビディアが2.17%高と反発したのも、26日(米国時間)の決算発表を前に持ち高を整える動きが出たためとみられます。

一方、通商面では緊張が続いています。カナダは米国からの約200億ドル相当の輸入品に報復関税を課すと発表しました。9月8日から発動し、鉄鋼、乳製品、家電、電子機器などを対象に15〜50%の税率を適用する内容です。カナダ財務省は自国の労働者や農家、漁業者、家計、企業を守るための的を絞った対応だと説明しています。ただし米加双方とも原油は対象から除外しており、エネルギー分野への波及は当面回避された形です。

個別では、ディックス・スポーティング・グッズが30.67%安の124.32ドルと急落しました。5-7月期の1株利益が3.53ドルと市場予想の3.78ドルに届かず、売上高も予想の56.5億ドルをわずかに下回りました。昨年買収したフット・ロッカー事業の既存店売上高が3.6%減となり、通期見通しを引き下げたことが嫌気されています。同社株の下落率は2023年以来の大きさで、同業のアカデミー・スポーツも5.80%安となりました。

注目ポイント

米国の景気指標には弱さも見えています。8月の消費者信頼感指数は89.4と7月の改定値90.2から0.8ポイント低下し、7カ月ぶりの低水準となりました。内訳をみると、現在の景況感を示す現況指数は121.2と6.8ポイント上昇して4カ月ぶりに改善した一方、6カ月先の所得・景況・雇用の見通しを示す期待指数が68.2と5.8ポイント低下しています。足元より先行きへの慎重さが強まっている構図です。

住宅市場も鈍っています。7月の新築住宅販売件数は年率60.7万件と、6月の67.8万件から10.5%減少しました。前年同月比でも6.3%減で、こちらも1月以来の低水準です。販売価格の中央値は39万3,800ドルと前月比2.3%下がっており、住宅ローン金利の高止まりが需要を抑えている状況がうかがえます。

今日の東京市場では、朝8時50分に7月の企業向けサービス価格指数が発表されました。総平均は前年比3.6%上昇と、6月の改定値3.4%から伸びが加速し、事前予想と一致しています。国際運輸を除いたベースでは前年比3.1%の上昇でした。サービス分野の価格転嫁が続いていることを示す内容です。

需給面では、東証プライムの売買代金が25日まで4営業日連続で10兆円を大きく下回り、25日は約7兆円と約4カ月ぶりの低水準にとどまりました。日本経済新聞は「夏枯れ」ムードと表現しており、日経平均については前日終値の6万5856円を挟んで前後500円程度の動きを想定するとの見方を伝えています。エヌビディアの決算が日本時間27日早朝に控えるため、方向感の出にくい一日になりそうです。

ひとこと解説

**PCE価格指数(個人消費支出物価指数)**は、家計が実際に支出した財やサービスの価格を集計した物価指標で、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を判断する際に最も重視する指標とされています。消費者物価指数(CPI)と似ていますが、対象品目の構成比が実際の支出動向に応じて毎月更新されるため、消費者が値上がりした商品から安いものへ乗り換えた影響を反映しやすいという特徴があります。生鮮食品ではなくエネルギーと食品を除いた「コアPCE」が特に注目されます。今夜21時30分に7月分が発表されます。

期待指数と現況指数は、消費者信頼感指数を構成する2つの下位指数です。現況指数は「今の景気や雇用をどう感じているか」、期待指数は「6カ月後をどう見ているか」を示します。今回のように現況が改善する一方で期待が悪化する場合、消費者が足元の生活実感は悪くないと感じつつ、先行きに不安を抱えていることを意味します。両者のズレは、景気の転換点を探る手がかりとして参照されることがあります。

出典