21日の米国市場は主要3指数がそろって反発し、ダウ工業株30種平均は517ドル80セント高の5万3277ドル1セントで引けました。良好な小売決算とイラン大統領の発言を受けた中東情勢への警戒後退が支えとなった一方、8月の総合PMI速報値が56.0と市場予想を大きく上回り、米10年債利回りは4.7%台へ再び上昇しています。週間では3指数そろって下落しました。日経225先物の夜間取引は80円安の6万6010円です。今日は国内の主要経済指標の発表予定がなく、日本時間25日未明に予定されるベッセント米財務長官のイラン制裁に関する記者会見が週の入り口の材料になります。
| 21日の米国市場 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 53,277.01ドル | +517.80(+0.98%) |
| S&P500種株価指数 | 7,674.37 | +33.21(+0.43%) |
| ナスダック総合指数 | 26,180.46 | +113.29(+0.43%) |
| フィラデルフィア半導体株指数(SOX) | 11,740.37 | -59.65(-0.51%) |
| VIX指数 | 15.13 | -0.88(-5.50%) |
| 今週(8/17〜8/21)の週間騰落率 | 騰落率 |
|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | -0.8% |
| S&P500種株価指数 | -1.4% |
| ナスダック総合指数 | -2.1% |
| 日経平均株価 | -3.93%(-2,697円44銭) |
| その他の指標(21日) | 水準 | 備考 |
|---|---|---|
| 米10年債利回り | 4.7334% | 前日比+0.0249(22日5時49分時点) |
| NY金(COMEX・中心限月) | 4,661.60ドル | +90.20(+1.97%)、レンジ4,565.51〜4,690.11 |
| NY原油(WTI・10月限) | 86.81ドル | -0.02(-0.02%)、レンジ85.81〜87.50 |
| ドル円 | 158円62銭→159円13銭 | — |
| 21日発表の米経済指標(8月PMI速報値) | 結果 | 市場予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 製造業PMI | 53.2 | 53.9 | 53.9 |
| サービス業PMI | 56.8 | 54.0 | 54.6 |
| 総合PMI | 56.0 | 54.0 | 54.5 |
| 今日の東京市場 | 内容 |
|---|---|
| 日経平均 前営業日終値(8/21) | 66,016.36円(-200.43円、-0.30%) |
| 同 高値/安値 | 66,125.88円/65,260.22円 |
| TOPIX 前営業日終値(8/21) | 4,067.29(+7.56、+0.19%) |
| 日経225先物(9月限)夜間取引終値 | 66,010円(前日清算値比 -80円、出来高6,098枚) |
| 日経225mini 夜間取引終値 | 65,980円(-110円) |
| TOPIX先物 夜間取引終値 | 4,077.5(+1.5) |
| 国内の経済指標 | 発表予定なし |
| 21時30分 | 米7月シカゴ連銀全米活動指数 |
| 25日3時 | ベッセント米財務長官の記者会見(イラン制裁) |
| 今週の主な日程 | 26日に米7月PCEデフレーターとエヌビディア決算、27〜29日にジャクソンホール会議、28日にウォーシュFRB議長の基調講演 |
何があった?
指数は反発したが、上げ方には偏りがあった — 財経新聞が伝えたフィスコの集計によると、21日の米国市場ではダウ工業株30種平均が前日比517.80ドル(0.98%)高の5万3277.01ドル、S&P500種が33.21ポイント(0.43%)高の7674.37、ナスダック総合が113.29ポイント(0.43%)高の2万6180.46となりました。ダウの上昇率がS&P500とナスダックの2倍以上という並びは、前日20日にダウが1.32%安と最も大きく下げたことの裏返しでもあります。トレーダーズ・ウェブはヘルスケアと金融株が相場をけん引したと伝えており、フィスコのセクター整理では自動車・自動車部品が上昇、不動産管理・開発が下落しています。一方でフィラデルフィア半導体株指数は0.51%安と、指数全体とは逆方向の小幅な下落でした。
小売決算が2日連続で主役になった — 前日20日はウォルマートの決算が9.15%安のきっかけとなりましたが、21日は逆方向に働きました。フィスコによると、BJ's ホールセール・クラブは第2四半期決算で食料品・電化製品・ガソリン販売がいずれも増益となったことが好感され上昇。ロス・ストアーズは来客数の増加による売上増と通期見通しの引き上げが評価されました。ブロードコムはAI半導体で1000億ドルを超える売上予想と、600億ドル超の資金調達協議が伝わったことで上昇しています。ヘルスケアではモデルナがmRNAがんワクチンの後期臨床試験で有効性を発表し、メルクも免疫療法薬の併用療法の有効性を確認したと伝わりました。下落した銘柄では、ボストン・ビアがCFOの退社発表を受けて下げ、アップルはAI戦略の見直しに伴う従業員削減計画が伝わっています。
8月のPMI速報値が予想を大きく上回った — 財経新聞が伝えたフィスコの記事によると、8月の総合PMI速報値は56.0と、市場予想の54.0と前回の54.5を大きく上回りました。内訳ではサービス業が56.8(予想54.0、前回54.6)と大幅に上振れした一方、製造業は53.2(予想53.9、前回53.9)と小幅に低下しています。この結果を受けてドル買いが強まり、長期金利も上昇しました。日本経済新聞のマーケットデータでは、米10年債利回りは22日5時49分時点で4.7334%と前日比0.0249ポイントの上昇です。ドル円は158円62銭から159円13銭へ上昇しました。
中東情勢への警戒はいったん和らいだ — フィスコによると、イラン大統領が戦闘継続を主張する勢力に反対する姿勢を示したことで、中東への脅威が緩和したとの見方が広がりました。VIX指数は5.50%低下の15.13と、前日の16.01から水準を切り下げています。原油はWTIの10月限が対イラン制裁強化観測から一時87.50ドルまで買われる場面がありましたが、通常取引終了後の時間外で利益確定売りに押され、前営業日比0.02ドル安の86.81ドルで引けました。一方でNY金は中心限月が90.20ドル(1.97%)高の4661.60ドルと続伸しています。株式が反発し警戒指数が下がった日に金が2%近く上昇したという組み合わせは、市場が中東リスクを完全に手放したわけではないことを示しています。時事通信によると、ベッセント財務長官はイランへの制裁を「歴史上最も厳しい」ものとし、同盟国と協調して24日に発表する方針を示しています。
週間で見ると、今週は下落した週だった — 財経新聞によると、週間ではS&P500が1.4%安、ナスダック総合が2.1%安、ダウ平均が0.8%安と主要3指数がそろって下落しました。日本株の下げはそれ以上で、外為どっとコムのまとめによれば日経平均は19日に2000円超下げ、21日も一時900円超下げる場面があり、週間では3.93%(2697円44銭)安の6万6016円36銭で引けています。21日の東京市場では日経平均が200円43銭安と反落した一方、TOPIXは7.56ポイント高と小幅に上昇し、指数によって方向が分かれました。同日朝に発表された7月の全国消費者物価指数は、第一生命経済研究所の集計で生鮮食品を除く総合が前年比1.8%上昇と、前月の1.6%から0.2ポイント伸びが拡大し、市場予想と一致しています。日銀が重視する生鮮食品及びエネルギーを除く指数も1.9%へ加速しました。
注目ポイント
夜間取引はほぼ横ばいで、東京市場は先週末の水準から始まる見込みです。 株探によると、日経225先物(2026年9月限)の夜間取引は前日清算値比80円安の6万6010円で終えました。21日の日経平均終値6万6016円36銭とほぼ同水準で、米国株の反発と長期金利の上昇が相殺された形です。日経225miniは110円安の6万5980円、TOPIX先物は1.5ポイント高の4077.5と、こちらも小幅な動きでした。先週のような1日で2000円動く展開のあとだけに、いったん値動きが落ち着いた状態で週明けを迎えることになります。
今日は国内外とも大きな指標が少なく、いわゆる「材料待ち」の日程です。 ザイ・オンラインがまとめたスケジュールによると、24日は日本の経済指標の発表予定がなく、米国も21時30分のシカゴ連銀全米活動指数にとどまります。今週の材料は26日の米7月PCEデフレーターとエヌビディア決算、27日から29日のジャクソンホール会議に集中しており、週の前半は様子見になりやすい日程です。株探も今週の二大イベントとしてジャクソンホール会議とエヌビディア決算を挙げています。
テクニカル上は、夜間終値が25日移動平均と雲の下限の間にあります。 株探のテクニカルポイントによると、夜間取引終値6万6010円に対して、上には5日移動平均6万6296円、一目均衡表の先行スパン2(雲の下限)6万6310円、75日移動平均6万6375円73銭が並び、下には25日移動平均6万5625円20銭、一目均衡表の基準線6万5085円があります。先週の下落を経て、株価は上向きの線をいくつか下に抜けた位置に移っています。あくまで現在地を測る目盛りとして押さえておきたいところです。
サービス業と製造業でPMIの方向が分かれた点は、今週のPCEを見るうえでの前提になります。 8月のサービス業PMIは56.8と予想を2.8ポイント上回った一方、製造業は53.2と予想をわずかに下回りました。米国の物価はサービス部門の粘り強さが焦点になりやすく、26日に発表される7月のPCEデフレーターがこの強さと整合するのかどうかが問われます。20日のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が+47.4と予想を大幅に上回ったあとで、21日の全国調査では製造業がやや軟化したという食い違いも残っています。
為替は159円台での推移が続いています。 21日のニューヨーク市場でドル円は158円62銭から159円13銭へ上昇しました。前日20日も159円09銭で引けており、指標を受けた金利上昇がドルを支える構図が2日続いた形です。国内では7月の全国コアCPIが1.8%へ加速しており、円安と物価の関係は引き続き見ておきたい組み合わせになります。
週明けの海外材料としては、日本時間25日未明のイラン制裁の発表内容が控えます。 時事通信によると、ベッセント財務長官はイランと取引を続ける国にも制裁を科す意向を示しており、同盟国との協調を前提とした措置になると説明しています。原油はWTIが86ドル台後半、一時は87.50ドルまで買われる水準にあり、発表の内容次第で振れやすい状態です。原油価格は輸送コストや電力コストを通じて幅広い業種の収益に影響し、同時に物価統計にも波及します。東京市場の取引時間中は発表前にあたるため、方向が出にくい時間帯になる可能性があります。
ひとこと解説
21日の相場で数字として最も目立ったのは、8月の総合PMI速報値が56.0という値でした。予想が54.0、前回が54.5でしたから、2ポイントの上振れです。この「PMI」という指標は、市況の記事でほぼ毎月登場するわりに、何を測っているのかが分かりにくい部類に入ります。
PMIは購買担当者景気指数(Purchasing Managers' Index)の略で、企業で仕入れを担当している人たちへのアンケートを集計した指数です。新規受注、生産、雇用、仕入価格、在庫といった項目について、「先月と比べて増えたか、変わらないか、減ったか」の3択で答えてもらいます。集計方法は単純で、「増えた」と答えた比率に、「変わらない」と答えた比率の半分を足します。つまり全員が「増えた」なら100、全員が「減った」なら0、全員が「変わらない」なら50になります。
ここから、PMIの読み方の基本が出てきます。50が景気の拡大と縮小の境目です。56.0という数字は「拡大している」ことを意味しますが、より正確には「拡大していると答えた企業のほうが多い」という意味にすぎません。金額の大小は一切反映されないので、たとえば売上が1%増えた企業も50%増えた企業も、同じ「増えた」の1票として扱われます。逆にいえば、規模の大小に左右されずに方向だけを取り出せるのが、この指標の長所です。
もう一つの特徴が速報性です。GDPや個人消費といった統計は、集計に1〜2カ月かかります。PMIはアンケートなので、その月のうちに集計できる。だから「速報値(フラッシュ)」が月の下旬に出て、確報値が翌月頭に出るという二段構えになっています。21日に発表されたのは8月分の速報値で、8月がまだ終わっていない時点の景況感です。市場が注目するのは、この「いま何が起きているか」に最も近い数字だからです。
そして、ここに今回の相場の論点があります。総合PMIが予想を大きく上回ったのに、株式市場の反応は限定的で、S&P500とナスダックの上昇率は0.43%にとどまりました。同時に米10年債利回りは4.73%台へ上昇し、ドルも買われています。景気が強いという情報が、株にとっては素直な追い風にならなかったわけです。
理由は金利にあります。景気が強ければ企業の売上は伸びますが、同時に物価も上がりやすくなり、中央銀行が金融を引き締める理由も強まります。金利が上がると、将来の利益を現在の価値に置き直すときの割引率が上がるため、遠い将来の利益に価値の大半を置いている銘柄ほど評価が下がります。この日、SOX指数が0.51%安と指数に逆行して下げ、金融株やヘルスケア株が相場をけん引したという並びは、この理屈をそのままなぞった形です。
だから、経済指標を読むときには「良い数字か悪い数字か」だけでは足りません。その数字が金利にどう作用し、金利が銘柄ごとにどう効くかという二段階を挟む必要があります。同じ「強い経済」が、金融株には追い風に、高PER(株価収益率)の成長株には向かい風になる。今週26日に発表されるPCEデフレーターは、この経路をさらに直接的に動かす指標です。物価そのものを測る統計なので、金利への作用がPMIより明確に出やすくなります。
なお、PMIには国ごと・調査ごとの癖もあります。米国のPMIにはS&Pグローバルが公表するものとサプライマネジメント協会(ISM)が公表するものの2種類があり、対象企業も算出方法も異なるため、同じ月でも数字がずれることがあります。21日に話題になったのはS&Pグローバルの調査で、月末から翌月初にはISM版が発表されます。同じ「PMI」という名前でも別の調査だという点は、記事を読むときの注意点です。
出典:
- 21日の米国株は反発、金利上昇による売り一巡―週間では主要3指数下落(財経新聞/フィスコ)
- NY株式:NYダウは517.80ドル高、良好な小売り決算や経済指標を好感(財経新聞/フィスコ)
- NY為替:米8月総合PMIが予想を上回る(財経新聞/フィスコ)
- 8月21日のNY為替概況(財経新聞/フィスコ)
- 【市場反応】米8月総合PMI速報値は過去最高、ドル買い強まる(財経新聞/フィスコ)
- NY原油先物:小反落、対イラン制裁強化観測での上昇分を時間外で削る展開(財経新聞/フィスコ)
- NY金先物は続伸、米長期金利上昇下でも株安・地政学リスクを背景に質への逃避買い優勢(ザイ・オンライン)
- NY市場概況-ダウ 517.8ドル高 ヘルスケア、金融株の上昇が相場をけん引(トレーダーズ・ウェブ)
- ダウ工業株30種平均(NYダウ)の株価・基本情報(株探 米国株)
- S&P500種株価指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- ナスダック総合指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の株価・基本情報(株探 米国株)
- VIX指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- 米国10年債利回り 金利・チャート・推移(日本経済新聞 マーケットデータ)
- 日経225先物:22日夜間取引終値=80円安、6万6010円(株探)
- 日経225先物テクニカルポイント(22日夜間取引終了時点)(株探)
- 日経平均大引け:前日比200.43円安の66016.36円(財経新聞)
- 消費者物価指数(全国・2026年7月)〜食料・日用品で値上げの動き(第一生命経済研究所)
- 来週の日経平均見通し|65,000円割れに警戒?米金利・エヌビディア決算に注目(外為どっとコム)
- 【8月24日〜の週】為替相場の注目材料スケジュールと焦点(ザイ・オンライン)
- 国内株式市場見通し:ジャクソンホール会議とエヌビディア決算が二大イベントに(株探)
- イラン制裁「歴史上最も厳しい」 同盟国と協調、24日発表へ 米財務長官(時事通信)