20日の米国市場は主要3指数がそろって下落し、ダウ工業株30種平均は703ドル84セント安と大幅に反落しました。中東情勢を背景とした原油高と長期金利の再上昇に加え、ウォルマートの決算が嫌気されて生活必需品株が売られた一日です。一方でフィラデルフィア半導体株指数は0.53%高と逆行して上昇しました。日経225先物の夜間取引は850円安の6万5510円で終えています。今朝8時30分には7月の全国消費者物価指数が発表されます。
| 20日の米国市場 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 52,759.21ドル | -703.84(-1.32%) |
| S&P500種株価指数 | 7,641.16 | -66.82(-0.87%) |
| ナスダック総合指数 | 26,067.17 | -263.92(-1.00%) |
| フィラデルフィア半導体株指数(SOX) | 11,800.01 | +61.79(+0.53%) |
| VIX指数 | 16.01 | +1.12(+7.52%) |
| 目立った個別銘柄(20日) | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ウォルマート | 103.84ドル | -10.46(-9.15%) |
| マイクロン・テクノロジー | 974.33ドル | +37.22(+3.97%) |
| その他の指標(20日) | 水準 | 備考 |
|---|---|---|
| 米10年債利回り | 4.706% | 前日比+0.0643(21日5時49分時点) |
| NY金(COMEX・9月限) | 4,574.76ドル | +29.46(+0.65%)、レンジ4,506.21〜4,596.85 |
| NY原油(WTI・10月限) | 86.47ドル | +2.08(+2.46%) |
| ドル円 | 158円47銭→159円18銭、159円09銭で引け | — |
| ユーロドル | 1.1695ドル→1.1678ドル | — |
| ユーロ円 | 185円27銭→185円84銭 | — |
| 20日発表の米経済指標 | 結果 | 市場予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 前週分 新規失業保険申請件数 | 20.6万件 | 21.0万件 | 20.9万件 |
| 前週分 継続受給者数 | 179.9万人 | 179.0万人 | 177.7万人 |
| 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 | +47.4 | +25.0 | +41.4 |
| 今日の東京市場 | 内容 |
|---|---|
| 日経平均 前営業日終値(8/20) | 66,216.79円(+890.37円、+1.36%) |
| 同 高値/安値 | 66,325.32円/65,652.25円 |
| 日経225先物(9月限)夜間取引終値 | 65,510円(前日清算値比 -850円、出来高10,545枚) |
| 日経225mini 夜間取引終値 | 65,505円(-855円) |
| TOPIX先物 夜間取引終値 | 4,042(-20.5) |
| 8時30分 | 7月 全国消費者物価指数(市場予想は前年比+2.0%、前回+1.6%) |
| 9時30分 | 8月 日本の製造業・サービス業PMI速報値 |
| 13時 | 7月 食品スーパー売上高 |
| 16時30分/17時 | 独8月PMI速報値/ユーロ圏8月PMI速報値 |
| 22時45分 | 米8月PMI速報値(製造業は予想53.7、前回53.9) |
| 23時 | ユーロ圏8月消費者信頼感指数(予想-16.6、前回-15.9) |
何があった?
下げを主導したのは半導体ではなく「生活必需品」だった — 株探によると、20日の米国市場ではダウ工業株30種平均が前日比703.84ドル(1.32%)安の5万2759.21ドル、S&P500種が66.82ポイント安の7641.16、ナスダック総合が263.92ポイント安の2万6067.17と大幅反落しました。ここで前日までとの違いがはっきり出ています。株探のセクター別の整理では、上昇したのは不動産管理・開発とエネルギー、下落したのは小売と食品・生活必需品小売でした。18日にはSOX指数が4.98%安と下げを主導していましたが、20日はそのSOX指数が0.53%高と逆行して上昇しています。下げ幅の順番がダウ(1.32%安)>ナスダック(1.00%安)>S&P500(0.87%安)となったのも、値がさのディフェンシブ銘柄を多く含むダウの構成を映した並びです。
ウォルマートの決算が引き金になった — 株探によると、ウォルマートは前日比10.46ドル(9.15%)安の103.84ドルと急落しました。5〜7月期決算で米国既存店売上高が市場予想に届かず、7〜9月期の見通しも失望を誘った形です。株探は、国内の売上高の伸びが6年ぶりの低水準に落ち込み、競争激化が意識されたと伝えています。なお通期の見通しについては、ニューズウィーク日本版が売上高の伸びを4〜5%、調整後1株利益を2.80〜2.87ドルへ引き上げたと報じており、会社側は年間の計画を上方修正しています。それでも株価が9%超下げたところに、この銘柄が「米国の消費の体温計」として見られていることが表れています。
原油高と長期金利の上昇が地合いを重くした — 株探によると、トランプ大統領が「一国に対して行われた中で最も破壊的な経済作戦」を実施すると述べたことが警戒され、中東情勢の緊張から原油先物が上昇しました。WTIの10月限は2.08ドル(2.46%)高の86.47ドルです。これに伴って長期金利も再び上昇し、日本経済新聞のマーケットデータでは米10年債利回りが21日5時49分時点で4.706%と、前日比0.0643ポイントの上昇となっています。ベッセント財務長官は24日にイランへの措置を協議する方針を示すとともに、長期債の買い戻しについて既に発表した40億ドルを上回る規模もあり得ると述べました。株探によると、この発言でいったんドル売りが出たものの、その後「強いドル政策」を改めて確認したことでドル買いが戻っています。
半導体には個別の買い材料があった — 株探によると、マイクロン・テクノロジーはメモリーとAI研究に100億ドルを投資すると発表したことが好感され、前日比37.22ドル(3.97%)高の974.33ドルとなりました。ディアは5〜7月期決算が市場予想を上回り、AIデータセンター需要が農業機械の販売につながるとの見方も加わって6.94%高。ノードソンは電子機器向け需要の強さを受けて8.00%高となっています。一方でウルフスピードは決算を受けて9.42%安、コティは移行期への懸念から9.24%安、クラウドストライク・ホールディングスはCTOの退任発表を受けて下落しました。
米指標は強く、金利上昇を後押しした — Myforexがまとめた指標一覧によると、前週分の新規失業保険申請件数は20.6万件と市場予想の21.0万件を下回り、労働市場の底堅さを示しました。8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は+47.4と、市場予想の+25.0を大きく上回っています。株探は、これらの指標を受けた金利上昇がドル買いにつながり、ドル円は158円47銭から159円18銭まで上昇して159円09銭で引けたと伝えています。金融政策を巡っては、20日午前3時に公表された7月FOMCの議事要旨について、株探が「利上げを支持したのは少数派にとどまった」と整理する一方、セントルイス連銀総裁は21日、自身が7月会合で利上げを提言していたことを明らかにしています。COMEXの金9月限は先行き不透明感からの買いで29.46ドル(0.65%)高の4574.76ドルと続伸しました。
注目ポイント
今朝の東京市場は、前日の大幅高からの反落で始まる可能性が高い水準です。 20日の日経平均は890円37銭高の6万6216円79銭と3日ぶりに大幅反発していました。日本経済新聞は、売られすぎた銘柄への買い戻しに加え、米財務省が国債の買い戻しオペ拡大を発表して長期金利が低下したことが追い風になったと伝えています。しかし株探によると、日経225先物(2026年9月限)の夜間取引は前日清算値比850円安の6万5510円で終えており、現物終値からは706円79銭低い水準です。前日の上昇分のうち8割ほどを夜間のうちに戻した計算になります。
8時30分の全国消費者物価指数が、今日いちばんの国内材料です。 株探の経済スケジュールによると、7月の全国CPIの市場予想は前年比+2.0%、前回は+1.6%です。財経新聞が紹介したフィスコの解説では、先行指標にあたる7月の東京都区部のコアCPIが前年比+1.9%へ加速していたこと、そして7月分から2025年基準の指数へ本格的に移行することが指摘されています。予想どおりなら物価上昇率が再び2%台に乗ることになり、日銀の政策を巡る見方にも影響しうる数字です。18日には新発10年物国債利回りが一時2.945%と1996年9月以来の水準を付けており、国内金利にも目が向きやすい状況が続いています。
テクニカル上は、夜間終値が複数の線の間に位置しています。 株探のテクニカルポイントによると、夜間取引終値6万5510円に対して、25日移動平均が6万5635円20銭、一目均衡表の基準線が6万5085円と、上下を挟む位置に線が並んでいます。75日移動平均は6万6329円60銭、5日移動平均は6万6836円、一目均衡表の先行スパン2(雲の下限)は6万6195円で、いずれも現在の水準より上です。ボリンジャーバンドの-1σは6万3705円09銭。あくまで「どのあたりの水準にいるか」を測る目盛りとして押さえておきたいところです。
半導体が上げた日の翌朝という点は、東京市場の物色を見るうえで手がかりになります。 18日には半導体主導で世界的に売られ、19日も株探によるとオープンAIの決算を受けて半導体に売りが出ていました。20日はその流れが変わり、SOX指数が0.53%高、マイクロンが3.97%高となっています。日本経済新聞は、20日の東京市場ではSOX指数の続落を受けて国内の半導体関連が重しになっていたと伝えていました。今日はその前提が変わることになりますが、指数全体は先物が示すとおり水準を切り下げて始まる見込みなので、指数の方向と個別セクターの方向が食い違う展開になるかどうかが見どころです。
為替は159円台に戻して東京の朝を迎えています。 20日の東京時間には一時158円40銭前後まで円高が進んでいましたが、ニューヨーク時間に米指標を受けた金利上昇でドルが買い戻され、159円09銭で引けました。円安方向への動きは輸出関連の追い風になりますが、同時に原油高と重なると輸入物価を通じた物価上昇要因にもなります。8時30分のCPIと合わせて見ておきたい組み合わせです。
今夜は日米欧のPMI速報値が並びます。 株探の経済スケジュールによると、16時30分にドイツ、17時にユーロ圏、22時45分に米国の8月PMI速報値が発表されます。米国は製造業が予想53.7(前回53.9)、サービス業が予想53.9(前回54.6)です。20日のフィラデルフィア連銀の景況指数が+47.4と予想を大幅に上回ったあとだけに、全国レベルの調査でも同じ強さが確認されるのかどうかが焦点になります。強い指標がさらに金利を押し上げるのか、それとも景気の底堅さとして受け止められるのか、市場の反応の向きは事前には決めつけられません。
ひとこと解説
20日の相場でいちばん考えさせられるのは、「安全なはず」の銘柄がいちばん下げたという点です。教科書的には、株式市場が不安定なときに買われるのは生活必需品や医薬品といったディフェンシブ株とされています。景気が悪くなっても人は食べ物や日用品を買うのをやめないので、業績のブレが小さい。だから相場が荒れる局面では相対的に選ばれやすい、という理屈です。
ところが20日の米国市場では、下落したセクターの筆頭が小売と食品・生活必需品小売でした。同じ日にSOX指数は0.53%上昇しています。ディフェンシブが売られ、値動きの荒いはずの半導体が買われる。ここには、理屈の前提が崩れる瞬間が表れています。
きっかけはウォルマートの決算でした。注目された数字は既存店売上高です。これは「1年以上前から営業している店舗だけ」を取り出して売上高を比べる指標で、新規出店の効果を除いた、いわば店の実力を測る物差しになります。新しい店をたくさん開けば会社全体の売上高は増えますが、それは規模が大きくなっただけかもしれません。既存店売上高は、同じ店が去年より多く売れているかどうかだけを見ます。この数字が市場予想に届かず、しかも国内の伸びが6年ぶりの低水準だったと伝えられました。
ここで重要なのは、ウォルマートが通期の見通しをむしろ引き上げていたことです。売上高の伸びも1株利益の見通しも上方修正されている。それでも株価は9%以上下げました。会社の数字そのものより、「米国の消費者がいま何を買っているか」という情報として読まれたからです。全米に店舗を持ち、低価格帯の商品を大量に扱うウォルマートは、消費の実態がもっとも早く表れる企業の一つと見られています。その既存店が伸び悩んだという事実は、ウォルマート1社の話にとどまらず、生活必需品を扱う企業全体の評価に波及しました。
もう一つ、この日は原油が2.46%上昇しています。ガソリンや輸送コストが上がると、家計が食料品や日用品に回せるお金は減ります。同時に、小売企業にとっては仕入れや物流のコストが上がる。原油高は、消費者の側からも企業の側からも生活必需品セクターを圧迫する材料になります。中東情勢が背景にある原油高が、地球の反対側のスーパーマーケットの株価を動かすのは、こうした経路をたどってのことです。
では、なぜ半導体は上げたのでしょうか。この日はマイクロンが100億ドルの投資計画を発表し、ディアの決算でもAIデータセンター需要への言及がありました。つまりセクター固有の材料があった。相場全体が下がっている日でも、個別の材料が強ければ株価は上がります。逆にいえば、18日にSOX指数が5%近く下げたときも、それは半導体という業種に固有の事情(長期金利の上昇と将来利益の割引)が効いていたわけです。
ここから読み取れるのは、「リスクオフだからディフェンシブ」という単純な図式は、いつでも成り立つわけではないということです。ディフェンシブ株が買われるのは、下落の原因が景気全体への不安であるときです。今回のように、下落の原因の一つが「消費そのものの鈍さ」だった場合、消費に近い銘柄ほど直撃を受けます。安全とされる資産や銘柄は、何に対して安全なのかをセットで考える必要がある、というのが20日の相場が示した論点でした。
今日は8時30分に日本の7月全国CPIが発表されます。市場予想は前年比+2.0%。物価が上がるとき、企業がその分を価格に転嫁できるのか、それとも数量が減って売上が伸び悩むのか。ウォルマートの既存店売上高が問いかけたのは、まさにそこでした。日本の小売企業の決算を見るときにも、同じ物差しが使えます。
出典:
- ダウ平均は大幅反落 米国債利回りが再上昇 ウォルマートが決算受け下落=米国株概況(株探)
- NY株式:NYダウは703.84ドル安、原油や金利上昇懸念が再燃(株探)
- 20日の米国市場ダイジェスト:米国株式市場は大幅反落、原油や金利上昇懸念が再燃(株探)
- NY為替:米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数などが予想を上回る(株探)
- NY金:続伸で4,574.76ドル、FOMC議事要旨消化も金融政策の不透明感で買い優勢(株探)
- ダウ工業株30種平均(NYダウ)の株価・基本情報(株探 米国株)
- S&P500種株価指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- ナスダック総合指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の株価・基本情報(株探 米国株)
- VIX指数の株価・基本情報(株探 米国株)
- ウォルマート(WMT)の株価・基本情報(株探 米国株)
- マイクロン・テクノロジー(MU)の株価・基本情報(株探 米国株)
- ニューヨーク株式市況(野村證券)
- 米国10年債利回り 金利・チャート・推移(日本経済新聞 マーケットデータ)
- 【指標】前週分の米新規失業保険申請件数 20.6万件、予想 21.0万件ほか(Myforex)
- 米ウォルマート株8%安、既存店売上高が予想未達 通期見通しは上方修正(ニューズウィーク日本版)
- 日経225先物:21日夜間取引終値=850円安、6万5510円(株探)
- 日経225先物テクニカルポイント(21日夜間取引終了時点)(株探)
- 本日の経済スケジュール ─ ★全国消費者物価指数に注目(株探)
- 今日の注目スケジュール:欧ユーロ圏製造業PMI速報値、米サービス業PMI速報値、欧ユーロ圏消費者信頼感指数など(株探)
- セントルイス連銀総裁 最大の懸念はインフレ 7月FOMCで利上げを提言(株探)
- 日経平均890円高、「売られすぎ」銘柄に買い戻し 円高でも車に食指(日本経済新聞)
- 日経平均株価 チャート・時系列(日本経済新聞)
- 国内外の注目経済指標:全国CPIでも物価上昇率が再び+2.0%に近づくかに注目(財経新聞)
- 【恐怖指数】警戒感は大きく上昇(株探/MINKABU PRESS)