20日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反発し、前日比890円37銭(1.36%)高の6万6216円79銭で終えました。米財務省が長期国債の買い戻し(バイバック)の規模を拡大すると発表したことで日米の長期金利が低下し、直前まで売られていた銘柄に買い戻しが広がりました。

指数 終値 前日比
日経平均株価 66,216.79円 +890.37円(+1.36%)
TOPIX 4,059.73 +47.42(+1.18%)
JPXプライム150指数 1,697.37 +18.51(+1.10%)
東証プライム(20日大引け) 数値
売買代金 約8兆6,034億円
値上がり銘柄 1,320
値下がり銘柄 204
変わらず 32
その他の市場データ 水準 備考
新発10年物国債利回り(15時13分時点) 2.845% 前日比0.045%低下
ドル円(20日13時時点) 158円43銭前後 前日17時時点比で73銭の円高・ドル安
前夜の米国市場(19日終値) 終値 前日比
NYダウ 53,463.05ドル +119.65ドル(+0.22%)
S&P500 7,707.98 +16.22(+0.21%)
ナスダック総合 26,331.09 +41.37

何があった?

材料は米国の債券市場から来ました。米財務省は19日、期間10〜30年の国債を対象とする買い戻しオペについて、1回当たりの上限額を少なくとも2倍超の40億ドル(約6300億円)に引き上げると発表しました。実施期間は9月9日から11月4日までで、長期金利の上昇を抑える狙いがあると伝えられています。

これを受けて米長期金利が低下し、19日の米国株は主要3指数がそろって反発しました。日本の債券市場でも新発10年物国債の利回りが2.845%と前日から0.045%低下しています。前日までの東京市場は「金利上昇が株の重荷になる」という構図で2日続けて大きく下げていたため、その前提が緩んだことがそのまま買い戻しの理由になりました。

18日の1759円安、19日の2134円31銭安と2日間で約3,900円下げた後だけに、戻りは幅広い銘柄に及びました。プライム市場では1,320銘柄が値上がりし、値下がりの204銘柄を大きく上回っています。自動車株は米国の関税引き下げ観測が伝えられたこともあってトヨタ自動車やホンダが買われ、ソフトバンクグループやキオクシアホールディングス、非鉄金属にも買いが入りました。前日に大きく売られた建設なども戻しています。

一方で、すべてが上がったわけではありません。金利低下は銀行株にとっては利ざや縮小の連想につながるため、銀行株は下落しました。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下げたことを受け、村田製作所や京セラといった電子部品、半導体製造装置の一角も上値が重い展開でした。売買代金は8兆6,034億円と、前日の商いの多さが続いています。

注目ポイント

この日の値動きで押さえておきたいのは、株が動いた理由が企業業績ではなく「金利」だったという点です。前日までの下げも金利上昇が理由として説明され、この日の反発も金利低下が理由でした。米財務省の買い戻し拡大は個別企業の収益に直接効く話ではありませんが、株式の評価に使う金利の水準を動かすため、市場全体に一斉に効きます。

もう一つは、金利低下の受け止め方が業種によって正反対だったことです。自動車や不動産のように借入コストや景気の影響を受けやすい業種には追い風として意識される一方、銀行にとっては貸出金利と預金金利の差(利ざや)が縮むという逆風の材料になります。この日は同じ「金利低下」というニュースで買われた業種と売られた業種が同居しました。

なお、円相場は米長期金利の低下で日米の金利差が縮まるとの見方から円高・ドル安に振れ、13時時点で1ドル=158円43銭前後と前日17時時点より73銭の円高でした。円高は輸出企業の採算にはマイナスに働くとされますが、この日は自動車株が買われており、為替の方向と株の方向が必ずしも一致しなかった格好です。

ひとこと解説

国債の「バイバック(買い戻し)」とは。 政府が過去に発行した国債を市場から買い取ることです。買い手が増えれば国債の価格は上がり、価格と反対に動く利回り(=長期金利)は下がります。今回、米財務省が1回当たりの買い戻し枠を2倍超に広げると発表したことで、金利上昇に歯止めがかかるとの見方が広がりました。中央銀行の金融政策とは別に、政府側の資金繰りの都合で市場の金利が動く例と言えます。

「買い戻し」という言葉には2つの意味がある。 上の国債の買い戻しとは別に、株式市場で「売られすぎた銘柄に買い戻しが入った」と言うときは、株価が下がると見て空売りしていた投資家が、株を買い戻して取引を手じまうことを指す場合が多くあります。相場が急落した翌日に反発しやすいのは、この動きが一因とされます。ただし買い戻しによる上昇は需給の反動という性格が強く、企業の業績が改善したことを示すものではない点は区別して見る必要があります。

利ざやとは。 銀行が貸出などで受け取る金利と、預金者に払う金利との差のことです。一般に金利水準が上がると利ざやは広がりやすく、下がると縮みやすいとされます。この日、市場全体が上げるなかで銀行株が下げた背景には、こうした収益構造の違いがあると説明されています。

出典