18日の米国市場は主要3指数がそろって3日続落し、なかでもフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4.98%安と大きく下げました。世界的な長期金利の上昇が警戒されるなかでAI・半導体関連への売りが強まった形です。日経225先物の夜間取引は1480円安の6万6060円で終えており、今朝の東京市場は安く始まる見通しです。8時50分には6月の機械受注が発表されます。

18日の米国市場 終値 前日比
ダウ工業株30種平均 53,343.40ドル -116.38(-0.22%)
S&P500種株価指数 7,691.76 -53.30(-0.69%)
ナスダック総合指数 26,289.71 -355.20(-1.33%)
ナスダック100 29,490.95 -504.42(-1.68%)
フィラデルフィア半導体株指数(SOX) 11,992.46 -628.54(-4.98%)
VIX指数 15.84 +0.65(+4.28%)
主な半導体関連銘柄(18日) 終値 前日比
マイクロン・テクノロジー 940.76ドル -70.99(-7.02%)
インテル 96.69ドル -6.81(-6.58%)
AMD 484.39ドル -21.61(-4.27%)
エヌビディア 219.74ドル -5.27(-2.34%)
その他の指標(18日) 水準 備考
米10年債利回り 4.7056% 前日比-0.0178。日中は一時4.74%まで上昇
NY金(COMEX・9月限) 4,399.76ドル -73.94(-1.65%)、レンジ4,393.25〜4,492.65
NY原油(WTI・10月限) 84.14ドル +0.40(+0.48%)
ドル円 159円72銭→159円43銭
ユーロドル 1.1571ドル→1.1588ドル
18日発表の米経済指標 結果 市場予想 前回
7月住宅着工件数 123.9万件 134.2万件 142.7万件
同(前月比) -12.4% -6.1% +19.0%
7月建設許可件数 144.3万件 137.5万件 137.4万件(改)
7月輸入物価指数(前月比) -0.4% +0.1% +0.3%
今日の東京市場 内容
日経平均 前営業日終値(8/18) 67,460.73円(-1,759.52円、-2.54%)
日経225先物(9月限)夜間取引終値 66,060円(前日清算値比 -1,480円)
日経225mini 夜間取引終値 66,045円(-1,500円)
TOPIX先物 夜間取引終値 4,088(-56)
8時50分 6月 機械受注(コア、市場予想は前月比7.8%増)
16時15分 7月 訪日外国人客数(前回314.86万人)
15時/18時 英7月CPI/ユーロ圏7月CPI確報値
20日3時 米FOMC議事要旨(7月28〜29日会合分)

何があった?

半導体株が相場の下げを主導した — 株探によると、18日の米国市場ではダウ工業株30種平均が前日比116ドル38セント(0.22%)安の5万3343ドル40セント、S&P500種が53.30ポイント安の7691.76、ナスダック総合が355.200ポイント安の2万6289.711と、いずれも3日続落しました。下げが目立ったのはハイテク、とりわけ半導体です。SOX指数は628.54ポイント安の1万1992.46と4.98%下落しました。個別ではマイクロン・テクノロジーが7.02%安、インテルが6.58%安、AMDが4.27%安、エヌビディアが2.34%安。ダウの下げ幅が0.22%にとどまる一方でナスダックが1.33%下げたのは、この物色の偏りを反映したものです。医薬品やエネルギーは堅調で、ホーム・デポは第2四半期の既存店売上高が予想を上回り買われました。アップルは1.45%高でした。

引き金は「世界的な長期金利の上昇」への警戒だった — 株探は、リスク回避的な雰囲気が広がった背景として、長期金利が世界的に上昇し、米30年債利回りが2007年以来の水準へ上昇したことを挙げています。日本経済新聞も、中東情勢の先行き不透明感に加え、インフレ懸念と財政悪化、AI関連企業の資金調達コスト増が売りを促したと伝えています。ここで注意したいのは、米10年債利回りそのものは日中に一時4.74%まで上昇したあと押し戻され、日本経済新聞のマーケットデータでは19日5時49分時点で4.7056%と前日比0.0178ポイントの低下で引けている点です。つまり短期の金利水準が切り上がったというより、より年限の長い債券の利回りが上がったことが意識された一日でした。

米経済指標は弱めの内容が並んだ — Myforexがまとめた指標一覧によると、7月の住宅着工件数は年率123.9万件と市場予想の134.2万件を下回り、前月比では12.4%減(予想は6.1%減)でした。中日新聞は2か月ぶりのマイナスと伝えています。一方で先行指標にあたる建設許可件数は144.3万件、前月比5.0%増と予想を上回りました。7月の輸入物価指数は前月比0.4%低下で、市場予想の0.1%上昇に反するマイナスです。株探によると、これらの低調な結果を受けて長期金利の低下に伴うドル売りが優勢となり、ドル円は159円72銭から159円43銭まで下げて引けています。

商品市況は金の下落が目立った — 株探によると、COMEXの金9月限は前営業日比73.94ドル(1.65%)安の4399.76ドルと反落しました。取引レンジは4393.25〜4492.65ドルです。米国債利回りの上昇と原油高が重しになったと伝えられています。原油はWTIの10月限が0.40ドル(0.48%)高の84.14ドルと、前日の2.5%高に続いて小幅ながら上昇しました。中東情勢を背景とした原油高がインフレ再加速への警戒につながり、それが金融引き締め的な環境の長期化観測を通じて金の重荷になった、という連想の連鎖です。

個別ではメタの下落が話題になった — 株探によると、メタ・プラットフォームズは未成年ユーザーの安全性を巡る大型訴訟の冒頭陳述が伝わったことで25.30ドル(4.44%)安となりました。このほか、原油コストへの懸念と投資判断の引き下げでノルウェージャン・クルーズ・ホールディングスが下落しています。引け後にはトールブラザーズが第3四半期決算を発表し、売上高は10%減の26.5億ドル、営業利益は26%減の3.59億ドル、EPSは2.97ドルでした。

注目ポイント

  • 今朝の東京市場は、まず先物が示す水準からの出発になります。 株探によると、日経225先物(2026年9月限)の夜間取引は前日清算値比1480円安の6万6060円で終えました。18日の日経平均の現物終値6万7460円73銭と比べると1400円73銭低い水準です。日経225miniは1500円安の6万6045円、TOPIX先物は56ポイント安の4088で終えています。18日の東京市場はすでに1759円52銭安と6日ぶりの大幅反落となっていたので、そこからさらに水準を切り下げた形で朝を迎えることになります。

  • テクニカル上は、いくつかの線が重なる水準に差しかかっています。 株探のテクニカルポイントによると、夜間取引終値の6万6060円の近辺には、一目均衡表の先行スパン2(雲の下限)が6万6195円、75日移動平均が6万6165円07銭、25日移動平均が6万5850円と、複数の線が集まっています。5日移動平均は6万7968円、一目均衡表の転換線は6万7165円で、いずれも現在の先物水準より上にあります。相場の位置を確認する材料としては見やすい局面ですが、線に触れたからどうなる、という話ではありません。あくまで「どのあたりの水準にいるか」を測る目盛りとして押さえておきたいところです。

  • 8時50分の機械受注が、寄り付き前の唯一の国内材料です。 内閣府が6月の機械受注を発表します。株探がまとめた市場コンセンサスは、変動の大きい船舶・電力を除いたいわゆるコア機械受注で前月比7.8%増、前回は12.4%減でした。前月の大きな落ち込みからの反動をどこまで取り戻せるかが見どころになります。ただし18日の相場が半導体関連中心に動いたことを踏まえると、今朝の値動きの主因は国内指標より前夜の米国株と先物の水準になりそうです。

  • 今夜は米20年国債入札とFOMC議事要旨が控えます。 株探の経済スケジュールによると、今夜は米国で20年国債の入札が予定され、20日3時にはFOMC(7月28〜29日会合)の議事要旨が公表されます。18日の下落理由が「長期金利の上昇」だったことを考えると、年限の長い国債の入札が需要をどれだけ集められるかは、そのまま同じテーマの続きになります。議事要旨は、7月会合時点で参加者が物価と景気のどちらをより重く見ていたかを読む材料です。いずれも日本時間では東京市場の取引時間外なので、反応が出るのは明日の相場になります。

  • 海外決算もアナログ半導体に関係する銘柄が並びます。 今夜は米国でアナログ・デバイセズ、TJX、ロウズ・カンパニーズ、ターゲットが決算を発表する予定です。18日に半導体セクターが売られた直後だけに、アナログ・デバイセズの内容と見通しは、同じセクターの評価を確かめる材料として意識されやすいでしょう。TJX、ロウズ、ターゲットは小売で、14日に発表された7月の小売売上高が前月比0.6%減と弱かったこともあり、消費の実態を企業側から確認する機会になります。

  • 為替は159円台での推移が続いています。 18日のニューヨーク市場ではドル円が159円72銭から159円43銭へと小幅に下げて引けました。弱い米指標を受けた長期金利の低下がドル売りにつながった形です。18日の東京市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.945%と1996年9月以来の高水準を付けており、日米双方で金利が動きやすい状況が続いています。

ひとこと解説

昨夜の相場を読み解くうえで鍵になるのが、「長期金利」と一口に言っても年限によって意味が違うという点です。18日の米国市場では、10年債利回りが前日比でわずかに低下して引けた一方、30年債利回りは2007年以来の水準へ上昇したと伝えられました。同じ「金利上昇の警戒」でも、どこが上がったのかで話が変わってきます。

国債にはさまざまな償還期限があります。2年、5年、10年、20年、30年といった具合です。それぞれの利回りを期間の短い順に並べてつないだ線を**イールドカーブ(利回り曲線)**と呼びます。通常は、お金を長く貸すほど不確実性が増すぶん利回りが高くなるので、右肩上がりの形になります。

このカーブは、年限ごとに違う要因で動きます。2年債など短い年限は、中央銀行の政策金利がこの先どうなるかという見通しをほぼそのまま映します。利上げが近いと思われれば上がり、利下げ観測が出れば下がる。これに対して30年債など長い年限は、政策金利の予想だけでは説明しきれません。10年後、20年後の物価がどうなっているか、国の財政が持続可能か、そして「そんな先まで貸すリスクを引き受ける見返り」がどれだけ必要か、といった要素が重なります。この見返りの部分を専門的にはタームプレミアムと呼びます。

18日に起きたのは、短い年限が落ち着いている一方で、長い年限だけが上がるという動きでした。これは「近いうちに利上げがある」という話ではなく、「遠い将来の物価や財政に対する不安が意識された」という読み方になります。実際、報道では財政悪化への懸念や国債入札の増加が背景として挙げられていました。カーブでいえば、短い側が動かず長い側が上がって、傾きが急になった格好です。

では、なぜこれが半導体株の下落につながるのでしょうか。企業の価値は、その企業が将来生み出すお金を現在の価値に割り引いて評価する、という考え方で捉えられます。このとき使う割引率のもとになるのが長期金利です。長期金利が上がると割引率が上がり、遠い将来の利益ほど、現在の価値に換算したときの目減りが大きくなります

半導体やAI関連の企業は、いま出ている利益よりも「これから何年もかけて広がる需要」への期待で評価されている部分が大きい銘柄群です。つまり価値の重心が将来側にある。だから長い年限の金利が上がる局面では、目先の業績が変わっていなくても評価が下がりやすくなります。18日にダウが0.22%安にとどまる一方でSOX指数が4.98%も下げたのは、この感応度の差が表れた結果と整理できます。生活必需品や医薬品のように、いま安定して稼いでいる企業の株価が相対的に底堅かったことも、同じ理屈の裏返しです。

もう一点、AI関連企業の資金調達コストという論点も報道で挙がっていました。データセンターや製造設備への大型投資は、社債発行や借り入れで賄われる部分があります。長期金利が上がれば、その調達コストも上がる。将来の利益の割引率という間接的な経路だけでなく、企業が実際に支払う金利という直接的な経路でも効いてくるわけです。

今夜は米20年国債の入札があります。長い年限の国債にどれだけ買い手が集まるかを確かめる場なので、18日のテーマがそのまま試される機会になります。金利のニュースを見るときは、「金利が上がった/下がった」だけでなくどの年限の話なのかを確認する。それだけで、株式市場の反応がずいぶん読み解きやすくなるはずです。


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