11日の米国市場は主要3指数がそろって続落しました。米国とイランの交渉を巡る楽観論が後退し、原油先物は4営業日続伸しています。ハイテク株の下げが目立ち、アルファベットは3.8%安となりました。今日12日の東京市場は「山の日」の休場明けで、2日分の海外材料をまとめて受け止める形になります。日本時間の今夜21時30分には、今週最大の注目材料である米7月消費者物価指数(CPI)が発表されます。

米国市場(8月11日終値) 終値 前日比
NYダウ工業株30種 53,791.85ドル -184.13(-0.34%)
S&P500種株価指数 7,728.20 -24.91(-0.32%)
ナスダック総合指数 26,445.45 -159.91(-0.60%)
VIX(変動性指数) 15.28 -0.18
商品(8月11日終値) 終値 前日比
WTI原油先物9月物 83.20ドル +1.07(+1.3%)
金先物12月物 4,441.1ドル +21.4(+0.5%)
債券・為替(12日早朝時点) 水準
米10年債利回り 4.686%(12日4時台)
米2年債利回り 4.218%(12日4時台)
ドル円 159.27円(12日2時)
前回の東京市場(8月10日終値) 終値 前営業日比
日経平均株価 66,970.22円 +1,363.51(+2.08%)
TOPIX 4,100.61 +25.68(+0.63%)
シカゴ日経平均先物9月物 67,005円 大証終値比 -155円(12日4時台)

何があった?

中東を巡る楽観論が一段と後退した — ロイターによると、11日の米国市場では米国とイランの交渉進展への期待がさらに薄れ、株価の重荷となりました。イランの最高安全保障委員会事務局長は「米国が条件を受け入れなければ、ホルムズ海峡の封鎖は解除されない」と述べています。前日10日にはトランプ米大統領がイランの賠償要求を拒否し、逆に賠償を求める姿勢を示しており、交渉の膠着(こうちゃく)が意識される展開が続いています。

原油はこの状況を受けて4営業日続伸しました。日本経済新聞によると、ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI原油先物9月物は前日比1.07ドル(1.3%)高の1バレル83.20ドルで取引を終えています。リビアの石油施設がドローン攻撃を受けたと伝わったことも、供給途絶のリスクとして意識されました。北海ブレント原油は1バレル89ドル近辺と、約1週間ぶりの高値圏で推移しています。

下げをけん引したのは大型ハイテク株 — ロイターによると、アルファベットが3.8%安、アマゾン・ドット・コムが2.1%安となり、指数を押し下げました。スペースXも約4%下落しています。ヤフー・ファイナンスは、アルファベット、アップル、アマゾンといった大型テック株がそろって下げたと伝えており、ナスダック総合の下落率(-0.60%)がダウ(-0.34%)を上回ったのは、この構図を映したものです。

一方、原油高の恩恵が意識されるエネルギー株は堅調でした。S&P500のエネルギー株指数は1.1%上昇しています。指数全体では下げたものの、業種によって方向が分かれる展開は前日から続いています。

金利は落ち着き、金は続伸 — 米10年債利回りは12日4時台の時点で4.686%と、前日終値付近から上昇一服となりました。ザイFX!によると、金利の上昇が一巡したことでドル買いの勢いはやや後退し、ドル円は12日2時時点で159円27銭と小動きにとどまっています。日本経済新聞によると、金先物12月物は前日比21.4ドル(0.5%)高の1トロイオンス4,441.1ドルと続伸しました。米国の早期利上げ観測が後退していることが、引き続き買い材料として意識されています。

東京市場は休場明け — 11日の東京市場は「山の日」で休場でした。日経平均株価の直近の終値は10日の6万6970円22銭です。シカゴ日経平均先物9月物は12日4時台の時点で6万7005円と、大阪取引所の終値比で155円安の水準で推移していました。

注目ポイント

  • 今夜21時30分に米7月CPIが発表される — ブルームバーグによると、市場予想は総合が前月比0.1%上昇、コア(食品・エネルギーを除く)が同0.2%上昇です。コアの前年同月比は2.5%と、6月の2.6%から鈍化する見込みとなっています。7日の米雇用統計で雇用の減速が確認された直後だけに、物価の数字が加わることで9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を巡る見方がどう動くかが焦点です。

  • 7月の統計に足元の原油高は含まれない — 今夜発表されるのは7月分のデータで、8月に入ってからの原油急伸は反映されません。統計が示す物価と、足元のエネルギー価格の間には時間差がある点は意識しておきたいところです。仮に7月の数字が落ち着いた内容でも、原油高が続けば8月以降の統計に影響が出てくる可能性があります。

  • 休場明けの東京市場は2日分の材料を消化する — 11日が祝日だったため、今日の東京市場は10日夜と11日夜の2日分の海外の動きをまとめて織り込むことになります。この間、米国株は2日続けて小幅安、原油は上昇、ドル円は159円台での推移が続きました。加えて今夜のCPI発表を控えるため、積極的に持ち高を傾けにくい面もあります。

  • 国内は決算発表がピークに向かう — 株探によると、今週の決算発表は12日が207社、13日が218社、14日が360社と後半にかけて増えていきます。決算シーズンは最終盤で、指数全体の方向よりも個別銘柄の値動きが目立ちやすい局面が続いています。お盆の時期にあたり市場参加者が減りやすいため、売買が細ると同じ材料でも株価の振れ幅が大きくなりやすい点も、例年意識されるところです。

ひとこと解説

11日の米国市場では、株価が3指数そろって下げたにもかかわらず、**VIX(ブイアイエックス)**が15.28へ0.18ポイント低下しました。VIXは「恐怖指数」とも呼ばれる指標です。株が下がったのに恐怖指数も下がる。一見すると逆のように思えるこの動きから、VIXの正体を整理しておきましょう。

まず押さえたいのは、VIXは株価の方向を測る指標ではないという点です。VIXが測っているのは、S&P500のオプション取引の値段から逆算した「今後30日間で株価がどれくらい大きく動くと投資家が見込んでいるか」という変動の大きさの予想です。上がるか下がるかではなく、揺れ幅の見込みを数値化したものだと考えると分かりやすくなります。

なぜ「恐怖指数」と呼ばれるかというと、相場が急落する局面では値動きが荒くなりやすいという経験則があるからです。市場が動揺すると、投資家は下落に備える保険としてオプションを買う動きを強めます。保険の値段が上がればVIXも上がる。だから暴落時にVIXが跳ね上がり、「恐怖」の名前が付いたわけです。一般に20を超えると警戒感が高まっている、30を超えるとかなり不安定、といった目安で語られることが多い指標です。

ここから、11日のような動きの読み方が見えてきます。株価は下げましたが、下落率はいずれも1%未満でした。**小幅な下げは、市場にとって「想定内の値動き」**です。むしろ、大きく荒れることなく2日続けて小幅安で収まったことで、当面の変動見込みはやや落ち着いた、という受け止めになります。15前後という水準は、歴史的に見れば比較的低い部類に入ります。

覚えておきたいのは、株価とVIXは「反対に動きやすい」だけで、常に逆向きになるわけではないということです。株価が下げてもVIXが下がる日はありますし、株価が上がってもイベントを控えてVIXが上がる日もあります。今夜のCPIのように結果が読みにくい材料を前にすると、株価の方向とは関係なくVIXが高止まりすることもあります。株価指数と一緒にVIXを眺めると、その日の下げが「市場が身構えている下げ」なのか「淡々とした調整」なのかを見分ける手がかりになります。


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