12日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し、前営業日(10日)比553円84銭(0.83%)高の6万7524円06銭で取引を終えました。6万7000円台を回復し、7月15日以来およそ1カ月ぶりの高値水準です。TOPIX(東証株価指数)は6日続伸し、38.39ポイント(0.94%)高の4139.00と、7月6日に付けた最高値を更新しました。「山の日」の休場明けで2日分の海外材料を消化する場面でしたが、半導体関連株への買いが相場を押し上げています。

東京市場(8月12日終値) 終値 前営業日比
日経平均株価 67,524.06円 +553.84(+0.83%)
TOPIX 4,139.00 +38.39(+0.94%)
東証プライムの売買動向(8月12日) 数値
売買代金(概算) 9兆4,421億円
売買高 25億2,278万株
値上がり銘柄数 983
値下がり銘柄数 530
変わらず 43
東京時間の為替(8月12日12時) 水準 前営業日17時比
ドル円 159円40〜41銭 92銭の円安・ドル高
ユーロ円 183円91〜93銭 68銭の円安・ユーロ高

何があった?

寄り付きは方向感を欠き、後場に上げ幅を広げた — 株式新聞によると、日経平均の寄り付きは前営業日比23円83銭高の6万6994円05銭と小幅高で始まりました。株探によると10時時点では6万6969円と前営業日比0.91円安まで押し戻される場面もあり、前場は方向感に乏しい展開でした。日本経済新聞によると午前の終値は69円高の6万7040円にとどまっています。相場が明確に上を向いたのは後場に入ってからで、最終的に553円高まで上げ幅を広げて引けました。

けん引したのは半導体関連 — 財経新聞によると、11日の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が反発したことを受け、東京市場では朝方から半導体関連の主力株が物色されました。日本経済新聞によると、東京エレクトロンやキオクシアホールディングス、フジクラといった銘柄に買いが入っています。フィスコによると、前引け時点で東京エレクトロン1銘柄が日経平均を約76円分押し上げていました。ウエルスアドバイザーによると、後場もアドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアが日経平均へのプラス寄与の上位に並んでいます。

背景にあるのは、米エヌビディアが10日に発表したAIインフラ向けの資金調達計画です。日本経済新聞によると、同社はアポロ・グローバル、ブラックストーン、ブラックロック、ブルックフィールド・アセット・マネジメント、ゴールドマン・サックス、KKRの金融大手6社と組み、5000億ドル(約80兆円)超の外部資本を動員してAIデータセンター建設を支援する枠組みをつくると発表しました。発表直後の10日はエヌビディア株が売られましたが、11日にかけて半導体セクター全体では見直しの動きが出た形です。

指数の上昇はハイテクだけの話ではなかった — 値上がり銘柄が983と値下がり(530)の1.8倍にのぼり、TOPIXの上昇率(0.94%)が日経平均(0.83%)を上回りました。日本経済新聞によると、リクルートホールディングスが上場来高値を更新しています。同紙は10日の記事で、中東情勢の緊迫を受けて期初は保守的だった企業の業績見通しが決算発表を経て上方修正されていることが、TOPIXを押し上げる要因になっていると伝えていました。12日は日本経済新聞が銀行株への買い意欲にも触れており、AI・半導体一辺倒ではない広がりのある上昇となっています。一方でファーストリテイリングやダイキン工業は下落しました。

重荷となったのは原油高 — 日本経済新聞によると、12日の東京時間にWTI原油先物9月物が一時1バレル84.61ドルと約2週間ぶりの高値を付けました。エネルギーの大半を輸入に頼る日本の貿易収支の悪化が意識され、為替市場では円売り・ドル買いが優勢となっています。12時時点のドル円は1ドル=159円40〜41銭と、10日17時に比べ92銭の円安・ドル高でした。みんかぶFXによると東京午前には159円43銭付近まで今週の高値を更新しましたが、夏季休暇シーズンで参加者が少なく、値幅は限定的だったと伝えられています。

注目ポイント

  • 今夜21時30分に米7月消費者物価指数(CPI) — 今週最大の材料が日本時間の今夜に控えます。ブルームバーグによると市場予想は総合が前月比0.1%上昇、コア(食品・エネルギーを除く)が同0.2%上昇で、コアの前年同月比は6月の2.6%から2.5%へ鈍化する見込みです。今日の東京市場の上昇は、この結果を確認する前の段階での動きという点は押さえておきたいところです。

  • 7月の統計に足元の原油高は入っていない — 発表されるのは7月分のデータで、8月に入ってからの原油の急伸は反映されません。今日も東京時間にWTIが約2週間ぶりの高値を付けており、統計の数字と足元のエネルギー価格には時間差があります。

  • 国内の決算発表は後半にかけてピーク — 株探によると、12日は東京海上ホールディングスやTOPPANホールディングスなど205社が決算を発表しました。13日は218社、14日は360社と件数が増えていきます。決算シーズンは最終盤で、指数全体の方向より個別銘柄の値動きが目立ちやすい局面です。

  • お盆で薄商いになりやすい時期 — 12日の東証プライムの売買代金は9兆4421億円と決して薄くはありませんでしたが、為替市場では夏季休暇による参加者の少なさが指摘されていました。参加者が減ると、同じ材料でも値動きが大きくなりやすい点は例年意識されるところです。

ひとこと解説

12日の相場について、日本経済新聞は日経平均が日足チャート上で「ゴールデンクロス」を形成していることが投資家の安心感につながっていると伝えました。財経新聞も朝の時点で、日経平均が10日に25日移動平均線(6万5857円)を上回ったことを支えとして挙げています。聞き慣れない言葉が続きますが、中身はとてもシンプルです。

移動平均線とは、過去一定期間の終値の平均を、毎日計算し直してつないだ線です。25日移動平均線なら「直近25営業日の終値の平均」。8月12日の値は、7月上旬から8月11日までの終値をならした数字ということになります。1日ごとの株価はニュース一つで大きく振れますが、平均をとるとその凸凹がならされ、相場が全体としてどちらを向いているかが見えやすくなります。25日線(約1カ月)のほかに、75日線(約3カ月)や200日線(約1年)がよく使われます。

ここから2つの見方が出てきます。1つは、株価が移動平均線の上にあるか下にあるか。上にあれば「直近1カ月に買った人の平均は含み益」という状態で、下にあればその逆です。もう1つがゴールデンクロスで、短い期間の線(例:25日線)が長い期間の線(例:75日線)を下から上に抜ける形を指します。短期の平均が長期の平均を追い越すということは、直近の値動きがそれまでより高い水準に移ってきたことを意味します。逆に上から下に抜けると「デッドクロス」と呼ばれます。

注意したいのは、これらが将来を予言する道具ではないという点です。移動平均線は過去の終値を計算しただけのもので、新しい情報は何も含んでいません。にもかかわらず市場で頻繁に話題になるのは、多くの参加者が同じ線を見ているからです。「25日線あたりまで下がったら買い注文を置いておこう」と考える人が多ければ、その水準で実際に買い注文が集まりやすくなります。財経新聞が12日朝に「押し目待ち狙いの買い意欲は強そう」と書いていたのは、こうした需給の話です。

そしてこの性質は、裏返せば弱点でもあります。平均は過去のデータからつくられるため、線が形を変えるのは値動きが起きたです。相場が方向を変えた直後には、線はまだ前の方向を向いたままになります。実際にゴールデンクロスが出た後で下落に転じる、いわゆる「だまし」も珍しくありません。決算や経済指標といったニュースを読むのが「なぜ動いたか」の分析だとすれば、移動平均線は「今どのあたりにいるか」を測る物差しです。片方だけを見るのではなく、両方を並べて眺めるのが現実的な付き合い方といえます。


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