10日の東京株式市場は、日経平均株価が前週末比1363円51銭(2.08%)高の6万6970円22銭と、3営業日ぶりに大幅反発しました。前週末に発表された米雇用統計を受けて米国の早期利上げ観測が後退し、7日の米国市場が上昇した流れを引き継いだ形です。日経平均は7月15日以来、約4週間ぶりの高値水準となりました。

東京市場(8月10日終値) 終値 前週末比
日経平均株価 66,970.22円 +1,363.51(+2.08%)
TOPIX 4,100.61 +25.68(+0.63%)
東証プライム市場 8月10日
売買代金 8兆388億円
売買高 21億2,532万株
値上がり銘柄の比率 58.8%
値下がり銘柄の比率 38.7%
業種別(東証33業種) 主な顔ぶれ
上昇が目立った業種 サービス業、精密機器、非鉄金属
下落が目立った業種 石油・石炭製品、保険業、不動産業

何があった?

前週末の米国市場の流れをそのまま引き継いだ — 7日に発表された7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外の減少となり、市場が織り込む早期の利上げ確率が低下しました。これを受けて同日の米国市場ではS&P500種株価指数が終値の最高値を更新し、金利低下を追い風にナスダック総合指数が1.3%高となっています。週末を挟んだ東京市場はこの流れを引き継ぎ、朝方から買いが優勢となりました。

日経平均は寄り付きから上げ幅を広げ、前場には一時1400円を超える上昇となって6万7000円台を回復する場面がありました。日本経済新聞によると、上値の抵抗線として意識されていた25日移動平均を上回ったことも買いを促す材料となっています。ただし午後は高値圏でほぼ横ばいの推移となり、上げ幅を一段と広げる動きにはなりませんでした。

指数を押し上げたのは半導体・AI関連と、決算が評価された銘柄 — フィスコによると、アドバンテストや東京エレクトロンといった半導体関連に買いが入り、指数を押し上げました。信越化学工業、TDK、テルモなども上昇しています。一方でKDDI、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、東京海上ホールディングスは下落し、値がさ株の中でも方向が分かれました。業種別ではサービス業、精密機器、非鉄金属の上昇が目立った半面、石油・石炭製品、保険業、不動産業は下落しています。

個別で最も目立ったのはリクルートホールディングスです。制限値幅の上限(ストップ高)まで買われ、前週末比3000円(22.78%)高の1万6165円で引けました。同社は7日に2027年3月期の通期業績見通しを上方修正しており、純利益の見通しを52%引き上げています。同時に発表された第1四半期の営業利益は2542億円と前年同期比66.1%増で、市場の事前予想を大きく上回る内容でした。

もっとも、市場全体が一様に買われたわけではありません。値上がり銘柄は58.8%、値下がり銘柄は38.7%と、4割近くが下落しています。フィスコは、期待に届かなかった決算への売りが出るなど銘柄の選別色が強く、急ピッチの上昇に対する利益確定売りも出やすかったと指摘しています。決算シーズンの最終盤にあたり、指数の上昇率ほどには個別銘柄の値動きが揃わなかった一日でした。

日銀の「主な意見」は利上げに前向きな内容だった — 日銀は10日、7月30〜31日に開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表しました。共同通信や日本経済新聞によると、政策委員から「金融緩和度合いの調整をペースアップする必要がある」「利上げペースが市場の想定よりも早まることも考えられる」といった、利上げに前向きな意見が複数示されています。物価上昇率が目標の2%を上回り続けることへの警戒感が背景にあります。この会合では政策金利が1.0%で据え置かれ、高田創審議委員が1.25%への利上げを提案しましたが、反対多数で否決されていました。

為替は円安方向に振れた — 10日朝の東京外国為替市場では、前週末の米雇用統計を受けたドル売りの流れが残り、8時30分時点で1ドル=157円83〜85銭と前週末17時時点に比べて57銭の円高・ドル安でした。ただしその後は円が上げ幅を縮め、15時ごろには158円30銭台で推移しています。

注目ポイント

  • 明日11日は「山の日」で東京市場は休場 — 今週の東京市場は10日・12日・13日・14日の4営業日で、明日が祝日で分断されます。お盆の時期と重なって市場参加者が減りやすく、売買代金が細ると同じ材料でも値動きの振れ幅が大きくなりやすい点は意識されやすいところです。今日のプライム市場の売買代金は8兆円台と、指数の大幅高を伴うだけの商いは入りました。

  • 決算発表は後半に向けて増える — 今週の決算予定は12日が207社、13日が218社、14日が360社と、休場明けに集中します。今日のリクルートホールディングスのように、上方修正が株価に大きく反映される例が出る一方、増益でも売られる銘柄もあり、内容と事前の期待との差が値動きを左右しやすい局面が続いています。

  • 株高と日銀の「利上げに前向きな意見」が同居している — 今日の株高は米国の利上げ観測の後退が起点でしたが、日本国内では日銀の「主な意見」が利上げに前向きな内容でした。日米で金融政策の向きが逆方向に意識される構図は、為替や金利を通じて株価にも影響しうるため、どちらの材料が優勢になるかは今後の指標次第です。なお今週最大の注目は12日発表の米7月消費者物価指数(CPI)で、雇用の弱さに物価の数字が加わることになります。

ひとこと解説

今日の日経平均について、日本経済新聞は「上値抵抗線として意識されていた25日移動平均を突破した」と伝えています。この移動平均線とは何でしょうか。

移動平均線とは、過去一定期間の終値の平均値を毎日計算し、それを線でつないだグラフのことです。 25日移動平均線であれば、「その日を含む直近25営業日の終値の平均」を毎日プロットしていきます。1日ごとの終値は上下に細かく動きますが、平均をとることでその凸凹がならされ、相場の大きな方向が見えやすくなります。25日は約1カ月強、75日は約3カ月半、200日は約1年弱に相当し、期間が長いほど線はなだらかになります。

なぜ「25日移動平均を上回った」ことがニュースになるのか。25日移動平均線の水準は、ざっくり言えば「直近1カ月ほどの間に株を買った人の平均的な買値」に近い意味を持つからです。 株価がその線を下回っている間は、直近に買った人の多くが含み損を抱えている状態にあたります。すると株価が戻ってきたときに「せめて買値で売りたい」という売り注文が出やすく、その水準が上値を抑える壁のように働きます。これが「上値抵抗線」と呼ばれる状態です。逆に株価がその線を上回ると、この売り圧力を消化したと受け止められ、相場の地合いが変わったと見る参加者が増えます。

ここで注意しておきたいのは、移動平均線は過去の株価を加工しただけのもので、将来を予測する道具ではないという点です。平均をとる以上、必ず実際の株価より遅れて動きます。株価が急に動いた日には、移動平均線はまだ前の水準に取り残されています。また「25日を超えたから上がる」といった因果関係があるわけでもありません。多くの市場参加者が同じ線を見ているために、その水準の前後で注文が集まりやすい、という程度のものです。

それでも移動平均線が広く使われるのは、「今の株価が、最近の平均と比べて高いのか安いのか」を一目で確認できるからです。ニュースで「25日移動平均を突破」「75日線を割り込んだ」といった表現に出会ったときは、株価の絶対値ではなく直近の平均との位置関係を語っているのだ、と読み替えると、記事の意味が取りやすくなります。


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