6日の米国市場は主要3指数がそろって下落し、NYダウは前日比464ドル安と6営業日ぶりに反落しました。中東情勢をめぐる不透明感から原油相場が上昇し、米長期金利の上昇が株式の重荷となっています。日本時間の今夜21時30分には7月の米雇用統計が発表されます。

指数(8月6日終値) 終値 前日比
NYダウ 53,885.10 -464.02(-0.85%)
S&P500 7,709.96 -13.59(-0.18%)
ナスダック総合 26,348.35 -15.09(-0.06%)
前日の東京市場(8月6日終値) 終値 前日比
日経平均株価 65,683.26円 -617.18(-0.93%)
TOPIX 4,055.85 +9.68(+0.24%)
今夜の注目(7月米雇用統計・市場予想) 数値
非農業部門雇用者数 +8万5000人程度(予想レンジ +4万〜+15万7000人)
失業率 4.2%(横ばい見通し)
平均時給(前月比) +0.3%
参考:7月ADP全米雇用リポート(発表済み) +4万4000人

何があった?

上値を抑えたのは原油と金利 — NYダウは6営業日ぶりに反落し、前日比464ドル02セント安の5万3885ドル10セントで取引を終えました。背景として伝えられたのは中東情勢です。イランとオマーンの間で進むホルムズ海峡の開放交渉が難航しているとされ、イラン議会が同海峡の通航制限に関する法案を審議していることも報じられました。これを受けてWTI原油先物9月物は一時4%を超えて上昇しています。原油高は米長期金利の上昇につながり、金利が上がると株式の相対的な割高感が意識されやすくなります。ダウは直前の5営業日で2700ドル超上昇していたこともあり、セールスフォースなど主力株には利益確定売りが出ました。

決算をめぐる明暗が大きい — 指数の下げ幅は小さかった一方、個別銘柄の値動きは荒くなりました。決算を発表したウエスタンデジタルは13%安、サンディスクは6.8%安と記憶装置(メモリー)関連が売られ、アップラビンは売上高が市場予想に届かなかったとして19.7%安、データドッグも成長率の鈍化見通しが嫌気され19%安となりました。半面、前日に13%超下落したスペースXは6.1%高と反発しています。S&P500とナスダック総合の下げ幅がいずれも0.2%未満にとどまったのは、下げた銘柄と上げた銘柄が入り混じったためで、「指数はほぼ動かなかったが中身は大きく動いた」一日でした。

東京市場は日経平均とTOPIXが逆方向に — 6日の日経平均は617円18銭安の6万5683円26銭と3日ぶりに反落しました。前日の米ハイテク安と韓国市場の軟調を受け、AI・半導体関連の一角に利益確定売りが出た形です。午前には下げ幅が1300円を超え6万5000円を割り込む場面もありましたが、その後は徐々に水準を戻しました。一方でTOPIXは9.68ポイント高の4055.85と小幅ながら上昇しています。日経平均は値がさの半導体株の影響を受けやすく、TOPIXは時価総額で重みづけされた幅広い銘柄で構成されるため、こうしたねじれが起きることがあります。半導体関連ではキオクシアが、米同業の売上高見通しが市場予想を下回ったことを受けて急反落しました。

ソフトバンクグループの決算が引け後に — 6日の取引終了後に発表された2026年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比18%減の3473億円でした。投資利益は1兆8594億円と前年同期の3.8倍に拡大しましたが、傘下の英半導体設計アームでの人員増などによる費用増加や、円安に伴う為替差損が利益を圧迫しました。出資する米オープンAIの評価額は3月末から変わらず、今期の利益には貢献していません。

注目ポイント

  • 今夜21時30分の米7月雇用統計 — 市場予想は非農業部門雇用者数が8万5000人程度の増加、失業率は4.2%で横ばい、平均時給は前月比0.3%上昇です。ただし予想レンジは4万人増から15万7000人増まで開きがあり、見方は割れています。すでに発表済みのADP全米雇用リポートが4万4000人増と予想を下回っていたため、政府統計でも減速が確認されるかが焦点です。結果は米金利と為替を通じて、来週の日本株にも影響しうるポイントになります。

  • 国内は決算発表がピーク — 7日はフジクラ、川崎重工業、シスメックス、商船三井などが取引時間中に、リクルートホールディングス、KDDI、三井不動産、ゆうちょ銀行などが引け後に決算を発表する予定で、合計679社にのぼります。指数全体の方向感より、個別企業の内容と株価の反応が目立ちやすい一日になりそうです。

  • 為替は介入後の落ち着きどころを探る展開 — 8月上旬には日米の協調介入が実施され、ドル円は3日のアジア時間に一時155円台前半まで円高が進んだあと、4日には157円台後半を回復するなど、荒い値動きが続いています。輸出関連企業の想定為替レートとの差は業績見通しに影響するため、決算シーズンの今は特に意識されやすい要素です。

ひとこと解説

今夜発表される米雇用統計は、月に一度、世界中の市場関係者が同じ時刻に注目する指標です。今週は5日にADP全米雇用リポート、7日に雇用統計と、似た名前の指標が続きました。この2つは何が違うのでしょうか。

ADP全米雇用リポートは、給与計算サービスを手がける民間企業ADPが、自社が処理している給与データをもとに集計する民間統計です。対象は民間部門の雇用に限られます。一方、雇用統計は米労働省労働統計局が発表する政府統計で、企業への調査(事業所調査)と世帯への調査(家計調査)の2本立てで作られています。非農業部門雇用者数は前者から、失業率は後者から算出されるため、実は出どころの違う数字が同じ日に並んでいます。

ADPは雇用統計より2日ほど早く出るため「前哨戦」として見られますが、両者の数字はしばしば食い違います。集計対象も方法も違うので、ADPが弱いから雇用統計も弱いとは限りません。今回もADPは4万4000人増と市場予想を下回りましたが、政府統計がどう出るかは別の話です。

もう一つ押さえておきたいのが、失業率は下がれば良い、上がれば悪いとは限らないという点です。失業率は「働く意思のある人(労働力人口)のうち、仕事を探しているが就けていない人の割合」です。景気が明るいと、これまで求職をあきらめていた人が労働市場に戻ってくることがあり、そうすると分母が増えて一時的に失業率が上がります。逆に、求職自体をやめた人が増えれば分母が減り、雇用が弱くても失業率は下がって見えます。だから市場は失業率だけでなく、労働参加率(働ける年齢の人のうち、働いているか仕事を探している人の割合)も合わせて確認します。

指標発表の直後は数字だけが一人歩きしやすい時間帯です。雇用者数・失業率・平均時給の3つを並べ、さらに前月分が修正されていないかまで見ると、労働市場の姿がだいぶ違って見えることもあります。今夜も、最初に流れる見出しの数字だけで判断が固まる前に、中身が確認されていく展開になりそうです。


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