前日5日の米国市場は主要3指数がまちまちで、NYダウが3営業日連続で終値の最高値を更新した一方、ナスダック総合は5営業日ぶりに反落しました。今夜6日は日本時間21時30分に4〜6月期の労働生産性・単位労働コストの速報値と週間の失業保険統計が、23時に6月の卸売在庫が発表されます。あす7日の7月米雇用統計を前にした最後の労働関連データという位置づけです。

指数(8月5日終値) 終値 前日比
NYダウ工業株30種 54,349.12ドル +263.24(+0.49%)
ナスダック総合 26,363.44 -221.55(-0.83%)
S&P500種 7,723.55 -12.97(-0.17%)
フィラデルフィア半導体株指数(SOX) 12,008.88 -170.38(-1.40%)
VIX指数 15.81 -0.69(-4.18%)

何があった?

中東の緊張緩和期待が原油安を通じてダウを押し上げた — 米国、イラン、オマーンの3カ国がホルムズ海峡の航行正常化に向けた暫定合意に近づいているとの報道が伝わり、NY原油先物は3日続落しました。エネルギー価格の低下はインフレ警戒を和らげる方向に働き、景気敏感株やディフェンシブ株が広く買われる展開となっています。個別ではアムジェンが4.6%高、イーライリリーが4.9%高、ウォルト・ディズニーが3.6%高と、決算を受けた買いが目立ちました。ダウ構成銘柄ではこのほかエヌビディア、シャーウィン・ウィリアムズ、マクドナルドが買われています。

一方でハイテクは戻り売りに押された — 相場を先導してきたIT・ハイテク株には利益確定の売りが出ました。スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズが13.6%安、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が7.0%安と大きく下げ、ダウ構成銘柄でもアルファベット、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、シェブロン、キャタピラーが売られています。SOX指数は1.40%安と3指数より下げがきつく、この流れが6日の東京市場にも波及しました。日経平均株価は617円18銭安の6万5683円26銭と3営業日ぶりに反落しています(TOPIXは上昇)。

今夜は雇用統計の「前哨戦」 — 21時30分発表の週間新規失業保険申請件数は、直近では7月11日週が20万9000件、18日週が18万8000件、25日週が19万7000件と、20万件前後で推移してきました。同時刻には4〜6月期の非農業部門労働生産性と単位労働コストの速報値も出ます。23時には6月の卸売在庫が控えます。

注目ポイント

  • あす7日の7月米雇用統計に市場の関心が集中している — 事前の市場予想は非農業部門雇用者数が前月比8万人増(6月は5万7000人増)、失業率が4.2%で横ばい、平均時給が前月比0.3%上昇・前年同月比3.5%上昇となっています。予想には幅があり、モルガン・スタンレーが7万人増・失業率4.3%、野村証券が13万人増・失業率4.2%と、方向感が分かれている状況です。

  • 今週の先行指標は強弱まちまちだった — 7月のADP雇用統計は4万4000人増と予想の6万5000人増を下回り、1月以来の低い伸びでした。ISM製造業の雇用指数は52.8と予想の50.0を上回った半面、ISM非製造業の雇用指数は47.4と予想外に50を割り込み、3月以来の低水準となっています。6月のJOLTS求人件数も735万9000件と5月の753万7000件から減少しました。強い指標と弱い指標が混在しており、雇用統計の結果次第で金利観が振れやすい地合いです。

  • 為替は雇用統計待ちで動きが乏しい — 6日の東京市場でドル円は1ドル=157円台後半を中心にもみ合いました。三菱UFJ銀行の公表仲値は157円59銭でした。米金利の見方が変われば為替を通じて日本株にも影響が及ぶため、今夜から明日にかけての一連の統計は日本の投資家にとっても無関係ではありません。

ひとこと解説

今夜21時30分に出る労働生産性(ろうどうせいさんせい)単位労働コストは、名前が地味なわりに市場が気にする統計なので、意味を整理しておきましょう。

労働生産性とは、働いた1時間あたりでどれだけの生産(付加価値)を生み出したかを示す指標です。同じ人数・同じ時間で去年より多くのモノやサービスを生み出せていれば、生産性は上がったことになります。設備投資やIT化、業務の効率化などが効いてくる部分です。

単位労働コストは、その裏返しで、製品やサービスを1単位つくるのに必要な人件費を表します。計算のイメージとしては「賃金の伸び ÷ 生産性の伸び」です。ここが重要で、賃金が上がっても、それ以上に生産性が上がっていれば、単位労働コストは下がることもあります。逆に賃金の伸びに生産性が追いつかないと、企業は増えた人件費を製品価格に転嫁しやすくなります。

だから中央銀行は単位労働コストを見ています。賃金上昇がインフレにつながるかどうかの分かれ目が、生産性で吸収できているかどうかにあるからです。「賃金が上がっている=インフレ圧力」と単純には言えず、生産性とセットで見る必要がある、というのがこの統計の伝えていることです。

もっとも、この統計は速報値の段階では改定幅が大きいことでも知られています。GDPや雇用のデータが後から修正されると、それに合わせて生産性も書き換わるためです。発表直後の数字だけで結論を出すのではなく、数四半期の流れとして眺めるほうが実態に近づきます。今夜は同じ時刻に失業保険統計も出るため、市場の反応がどちらの数字に対するものなのか、見分けにくい点にも注意が必要です。


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