4日の米国株式市場は主要3指数がそろって大幅高となり、ダウ工業株30種平均は史上初めて5万4000ドル台で取引を終えました。ホルムズ海峡の再開に向けた米国とイランの協議進展への期待から原油価格が急落し、好調な企業決算と重なって幅広い銘柄に買いが入っています。
| 指数(8月4日終値) | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| ダウ工業株30種平均 | 54,085.88ドル | +907.47(+1.71%) |
| S&P500種株価指数 | 7,736.52 | +136.02(+1.79%) |
| ナスダック総合指数 | 26,584.99 | +671.10(+2.59%) |
| その他の指標(4日) | 数値 |
|---|---|
| 米10年債利回り | 4.61%(前日比0.07%低下) |
| WTI原油先物 | 一時1バレル=75.70ドル前後(約3.9%安) |
| 米6月JOLTS求人件数 | 735.9万件(予想747.0万件、前回759.4万件) |
何があった?
ホルムズ海峡の協議期待で原油が急落 — 相場を動かした最大の材料は中東情勢でした。ベッセント米財務長官がCNBCのインタビューで、ホルムズ海峡の再開をめぐるイランとの合意が「早ければ4日か5日にもあり得る」と述べたことを受け、供給不安の後退から原油価格が下落しました。WTI原油先物は取引時間中に1バレル=75.70ドル近辺、約3.9%安と1週間ぶりの安値水準まで売られています。原油高はエネルギーコストを通じてインフレ再燃の懸念につながるため、その巻き戻しは株式市場では歓迎される形になりました。
ハイテク株に買いが戻る — ナスダック総合指数の2.59%高が示す通り、上昇率ではハイテク株が最も大きくなりました。S&P500種株価指数は1.79%高の7,736.52と、約2カ月ぶりに最高値を更新しています。ダウは907ドル高の5万4085.88ドルで、5万4000ドル台に乗せたのは史上初です。取引時間中には一時1,000ドルを超える上げ幅となる場面もありました。
AMDは記録的な決算も時間外で下落 — 半導体大手のAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は、4日の取引終了後に2026年4〜6月期(第2四半期)決算を発表しました。売上高は前年同期比50%増の115億ドルと四半期として過去最高、非GAAPベースの1株利益は1.66ドルでした。事前の市場予想(売上高113億ドル、非GAAP EPS1.62ドル)をいずれも上回っています。とくにデータセンター部門が前年同期比107%増の67億ドルと2倍以上に伸び、全社売上高の58%を占めました。7〜9月期の売上高見通しも127億〜133億ドルと、市場予想の125億ドル程度を上回る水準を示しています。それでも株価は時間外取引で8%超下落しました。AMD株は4日の通常取引で8%上昇しており、年初来でも大きく値上がりしていました。
求人件数は市場予想を下回る — 日本時間4日夜に発表された6月の米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は735.9万件で、市場予想の747.0万件を下回りました。前回の759.4万件からも減少しています。一方でレイオフ率は1.1%と横ばいで、直近のレンジ内にとどまりました。米10年債利回りは0.07%低下の4.61%となっています。
注目ポイント
東京市場は米国株高を受けた展開に — 4日の日経平均株価は202円63銭高の6万3957円53銭で引けています。前夜の米国市場が3指数そろって大幅高となったことは、5日の東京市場にとって支えとなる材料です。ただし4日の東京市場では、円高への警戒から自動車・商社株が売られ、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。米国株高がどこまで日本株に波及するかは、為替の動き次第という面が残ります。
為替介入の警戒感は続く — 円相場は7月下旬の1ドル=163円台から、日米の協調介入とみられる動きを経て一時155円台まで円高方向に振れる場面がありました。4日は157円台後半まで戻していますが、片山財務相が「さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と述べており、市場の警戒は解けていません。輸出企業の想定為替レートとの距離が意識されやすい局面です。
今夜は米ADP雇用統計とISM非製造業景況指数 — 日本時間5日夜には7月のADP全米雇用リポートとISM非製造業景況指数の発表が控えます。7日には7月の米雇用統計が予定されており、今週は労働市場に関する指標が集中します。JOLTSが予想を下回ったことで、市場は労働市場の減速度合いにいっそう注目しやすくなっています。
決算発表シーズンは継続中 — 東京市場では4〜6月期決算の発表がピークを迎えています。指数全体の方向感よりも、各社の内容に対する反応が個別の値動きを決めやすい時期です。
ひとこと解説
今回のAMDは、「予想を上回る決算を出して、見通しも引き上げたのに株価は下がった」という反応でした。初心者がいちばん納得しにくいパターンなので、背景を整理しておきます。
鍵になるのが**「織り込み済み」**という考え方です。株価は今の業績ではなく、将来の業績への期待を先取りして動きます。AMD株は4日の通常取引だけで8%上がり、年初来でも大きく値上がりしていました。つまり発表前の株価には、すでに「相当良い決算が出るはずだ」という期待が含まれていたわけです。この場合、実際に良い決算が出ても、それが「期待どおり」であれば新しい買い材料にはなりません。むしろ、事実が判明したところで利益を確定させる売りが出やすくなります。市場でよく言われる「Sell the fact(事実で売る)」がこれです。
もう一つ知っておきたいのが、**アナリスト予想の裏にある「もう一段高いハードル」**です。決算の良し悪しを測る基準として公表されているのはアナリストの平均予想(コンセンサス)ですが、株価が大きく上昇している局面では、市場参加者の本音の期待値はそれより高いところにあることがよくあります。これは「ウィスパーナンバー(囁きの予想値)」と呼ばれます。コンセンサスは超えたのにウィスパーには届かなかった、という状態だと、数字の上では「予想超え」でも株価は下がります。
ですから決算のニュースを読むときは、①実際の数字がどうだったかに加えて、②発表前に株価がどれだけ動いていたかをセットで確認すると、値動きの理由が見えやすくなります。上昇が続いた銘柄ほど、良い決算に対して求められる水準も上がっている、というのが基本的な関係です。なお、時間外取引の値動きは参加者が限られるため振れが大きく、翌日の通常取引で方向が変わることもあります。時間外の数字は「速報値」くらいに受け止めておくのが無難です。
出典:
- Stock Market Today, Aug. 4: S&P 500 and Dow Set New Highs on Easing Geopolitical Tensions(The Motley Fool)
- Dow surges 900 points, S&P 500 closes above 7,700 for first time in booming Wall Street rally(CNBC)
- The S&P 500 is back at a record high and the Dow just hit 54,000(CNN Business)
- Stock Market Today (Aug. 4, 2026): Record closes for S&P 500, Dow as tech comeback continues(TheStreet)
- 米S&P500が2カ月ぶり最高値、ダウ907ドル高 好業績と中東不安後退(日本経済新聞)
- WTI Oil slides as Iran Strait of Hormuz deal hopes hit prices(FXStreet)
- AMD Reports Second Quarter 2026 Financial Results(AMD IR)
- AMD Q2 2026 earnings: record revenue as data center sales double(Yahoo Finance)
- AMD Earnings Beat Estimates and Stock Falls 8%: Was the Bar Too High?(BeInCrypto)
- 【指標】6月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数 735.9万件、予想 747.0万件ほか(トレーダーズ・ウェブ/Yahoo!ファイナンス)
- June 2026 JOLTS Report: The Labor Market is a Duck on a Pond(Indeed Hiring Lab)
- 東証大引け 日経平均は反発 米ハイテク株高支え、円高警戒で売りも(日本経済新聞)
- 【ドル/円、今夜の見通し】ドル/円、157円台後半を回復…4日連続で為替介入はあるのか!?(外為どっとコム)
- ドル/円見通し:ドル円は円高で157円台前半|日米財務相は再度の協調介入の可能性を示唆(OANDA証券)
- 今週の【重要イベント】米ISM製造業、景気動向指数、米雇用統計(8月3日〜9日)(株探ニュース/Yahoo!ファイナンス)