4日夜の米国市場は、労働市場の指標と半導体大手の決算が重なります。日本時間23時に6月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数が発表され、米国市場の取引終了後にはアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が四半期決算を出します。前日3日の米国市場は中東情勢の緊張緩和を受けて主要3指数がそろって大幅高となり、ダウ平均は最高値を更新しました。ドル円は東京時間に157円台後半まで戻しています。

前回の米国市場(8月3日終値) 終値 前日比
NYダウ 53,178.41 +693.38(+1.32%)
S&P500 7,600.50 +110.78(+1.48%)
ナスダック総合 25,913.90 +540.05(+2.13%)
米株価指数先物(4日夕方時点・フィスコ) 水準 前日比
S&P500先物 7,645.50 +17.25
ナスダック100先物 29,011.25 +119.50
今夜の注目日程(日本時間) 内容
21:30 米6月貿易収支 / カナダ6月貿易収支
22:30頃〜 寄り前決算:キャタピラー、マクドナルド、メルク、ファイザー、デュポン
23:00 米6月JOLTS求人件数(市場予想7.4M / 5月7.594M)
23:00 米6月製造業新規受注
5日朝 引け後決算:AMD(米東部時間4日引け後)
ドル円(4日) 水準
東京時間の高値 157円84銭前後
夕方時点 157円台後半
欧米時間の予想レンジ(外為どっとコム) 156円00銭〜158円50銭

何があった?

中東情勢の緩和で3指数そろって大幅高 — 3日の米国市場は、トランプ大統領がイランへの攻撃を見送り交渉に入る方針を示したことから、中東情勢の緊迫化への懸念が後退しました。米国債利回りが低下したことも追い風となり、ダウ平均は前週末比693.38ドル(1.32%)高の53,178.41ドルと約1カ月ぶりに最高値を更新しています。S&P500は7,600.50(+1.48%)、ナスダック総合は25,913.90(+2.13%)でした。

けん引したのは大型ハイテクです。オラクルが9.22%高、メタ・プラットフォームズが6.02%高、マイクロソフトが4.93%高、アルファベットが4.88%高、アマゾン・ドット・コムが4.58%高となり、アマゾンの時価総額は3兆ドルを超えました。セクター別ではコミュニケーション・サービスが4.30%高、一般消費財が2.68%高、資本財・サービスが1.86%高と続いています。一方で原油安を映してエネルギーが1.23%安、生活必需品が0.31%安、ヘルスケアが0.17%安と、上昇に乗り切れないセクターもありました。イーライ・リリーやアッヴィ、メルクといった医薬品株は売られています。

東京市場は反発、円は157円台後半へ戻す — 4日の東京市場では日経平均株価が前日比202円63銭(0.32%)高の6万3957円53銭と3営業日ぶりに反発しました。為替は、3日に公表された日米協調介入を受けて一時1ドル=155円台前半まで円高が進んだ後、買い戻しが優勢となり、4日の東京時間には157円84銭前後まで戻しています。外為どっとコムは200日移動平均線が位置する158円00銭近辺が上値の節目として意識されたと指摘しており、欧米時間の予想レンジを156円00銭〜158円50銭としています。4営業日連続の介入への警戒は残ったままです。

注目ポイント

  • JOLTSは「減少」が見込まれている — 今夜23時発表の6月JOLTS求人件数は、市場予想が7.4M(744万件との集計もあり)で、5月の7.594Mから減少する見通しです。フィスコは「減少が予想される今晩のJOLTS求人件数は売り材料となる可能性がある」との見方を示しています。もっとも今週は5日にADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日に7月の雇用統計と労働市場の指標が続くため、今夜の1本だけで方向感が定まるとは限りません。

  • 決算は寄り前にCAT・MCD、引け後にAMD — 寄り前にはキャタピラー(市場予想1株利益6.17ドル)、マクドナルド(同3.33ドル)、メルク、ファイザーなどが決算を発表します。フィスコはキャタピラーとマクドナルドについて「好業績なら、指数を押し上げる見通し」としています。取引終了後のAMDは、市場予想が調整後1株利益1.61〜1.62ドル前後、売上高113億ドル前後(前年同期比47%増)で、データセンター部門の伸びが焦点とされています。集計元によって想定が分かれる点には注意が必要です。TipRanksによれば、オプション市場は決算発表後に12%程度の株価変動を織り込んでいました。

  • 買い材料の「持続性」に疑問も — 中東情勢の緩和は相場を押し上げましたが、フィスコは和平協議の行方に対する市場の疑念から「過度な買いは抑制されるだろう」として、本日は伸び悩む展開を予想しています。前日の上昇が大きかった分、指標や決算の内容次第で反動が出やすい局面でもあります。

  • 原油安はセクター間で明暗を分ける — 中東リスクの後退は原油価格の低下につながり、エネルギー株には逆風となりました。一方でインフレ圧力の緩和という面では、金利の見通しを通じて株式全体には追い風になり得ます。同じニュースがセクターごとに逆向きに効く典型的な例です。

ひとこと解説

今夜の主役であるJOLTS(ジョルツ)求人件数の読み方を整理しておきます。

JOLTSは「Job Openings and Labor Turnover Survey(雇用動態調査)」の略で、米労働統計局が毎月公表しています。よく話題になる雇用統計が「実際に何人雇われたか」という結果を示すのに対し、JOLTSは企業が「人を採りたい」と考えている数、つまり求人の在庫を示す指標です。労働需要の温度を測るものだと考えると分かりやすくなります。

注意したいのは、発表される月がひと月古いという点です。今夜出るのは6月分で、7日に発表される雇用統計は7月分です。同じ週に新旧の月が混ざって出てくるため、ニュースを追うときは「これは何月のデータか」を確認する習慣をつけると混乱が減ります。

市場が実際に見ているのは、求人件数の絶対数そのものよりも方向と比率です。とくによく使われるのが、求人件数を失業者数で割った求人失業者比率で、1を上回れば「仕事の口のほうが職を探している人より多い」状態、下回ればその逆を意味します。この比率が下がってくると、労働市場の逼迫がやわらぎ、賃金の伸びも落ち着きやすいと解釈されます。

もう一つ注目されるのが、報告書に含まれる**自発的離職率(クイッツ・レート)**です。自ら仕事を辞める人の割合を示すもので、「今より良い条件の転職先が見つかりそうだ」と働き手が感じているときに上がりやすい性質があります。求人件数が減っていても離職率が高止まりしていれば労働市場はまだ強い、という読み方もできるため、総合の数字だけで判断されるわけではありません。

そして最も重要なのが、同じ数字が正反対に解釈され得るということです。求人件数の減少は、企業の採用意欲が落ちているというニュースなので、景気の観点からは悪材料になります。一方で労働市場の過熱がやわらぐことは、インフレ圧力の低下や金融政策の見通しを通じて株式にとって好材料と受け取られることもあります。フィスコが今夜のJOLTSについて「売り材料となる可能性がある」と見ているのは前者の読み方ですが、実際にどちらの解釈が優勢になるかは、その日の相場が何を気にしているかで変わります。指標発表後に「なぜこの数字でこう動いたのか」が腑に落ちないときは、市場の関心が景気側にあるのか金利側にあるのかを考えてみると、整理しやすくなります。


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