3日の米国株式市場は主要3指数がそろって上昇し、ダウ工業株30種平均は前週末比693ドル38セント(1.32%)高の5万3178ドル41セントと過去最高値を更新しました。トランプ米大統領がイランへの攻撃を取りやめて協議に入ると表明したことで原油価格が急落し、リスクを取る動きが広がっています。東京市場は今日、トヨタ自動車をはじめ90社が決算発表を予定しています。

指数(8月3日終値) 終値 前週末比
NYダウ 53,178.41ドル +693.38(+1.32%)
S&P500 7,600.50 +110.78(+1.47%)
ナスダック総合 25,913.90 +540.04(+2.12%)
参考指標 数値
米7月ISM製造業景況指数 55.6(6月53.3 / 市場予想54)
─ 生産指数 58.5(+6.3ポイント)
─ 新規受注 56.7(+0.7ポイント)
─ 支払価格 71.1(-1.9ポイント)
WTI原油先物 1バレル78ドル台(7%超下落)
NY円相場(3日終値) 1ドル=157円15〜25銭(前週末比20銭の円高)
日経平均株価(3日終値) 63,754.90円(-607.12)

何があった?

原油急落が株高の起点になった — 相場を動かしたのは中東情勢でした。トランプ大統領はイランへの攻撃計画を取りやめ、ホルムズ海峡の再開を巡る交渉に入ると表明しました。これを受けてWTI原油先物は7%を超えて下落し、1バレル78ドル台まで水準を切り下げています。原油安はエネルギーコストの低下を通じてインフレ圧力の後退につながると受け止められやすく、幅広い銘柄に買いが入りました。

上昇を主導したのはハイテク大手でした。マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コムが買われ、エヌビディアも上昇しています。7月31日の決算でアマゾンのクラウド部門が市場の期待を上回る伸びを示したことから、AI関連投資の投資収益率(ROI)に対する過度な懸念が後退したとの見方が出ていました。個別では、737MAX7が米連邦航空局(FAA)の型式証明を取得したと伝わったボーイングが大きく上昇しています。一方、原油安を受けたシェブロンや、メルク、アップルは下落しました。

ISM製造業は約4年ぶりの高水準 — 日本時間3日23時に発表された7月の米ISM製造業景況指数は55.6と、6月の53.3から2.3ポイント上昇しました。市場予想の54を上回り、2022年5月以来およそ4年ぶりの高水準です。好不況の分かれ目である50を7カ月連続で上回りました。内訳では生産指数が58.5と6.3ポイント上昇し約5年ぶりの高さ、新規受注も56.7と改善しています。日本経済新聞によれば、AI関連の設備投資が製造業の活動を押し上げ、電子機器メーカーからは「AI市場の成長が引き続き強い需要を支えている」との声が出ていました。ただし支払価格は71.1と1.9ポイント低下したものの、依然として高い水準にとどまっています。

パランティアは市場予想を上回る決算 — 米国市場の取引終了後には、注目されていたパランティア・テクノロジーズが4〜6月期決算を発表しました。売上高は19億3500万ドルで前年同期比92.8%増、調整後1株利益は0.41ドルでした。米国商用部門の売上高が7億6400万ドルと同149%増と伸び、GAAPベースの純利益は10億6200万ドル(利益率55%)となっています。2026年通期の売上高見通しは81億5000万〜81億5800万ドル(前年比82%増)へ引き上げられました。同社株は時間外取引で上昇して推移したと伝えられています。

注目ポイント

  • 今日はトヨタ自動車の決算 — トヨタ自動車が4日午後2時に2026年4〜6月期決算を開示します。QUICKコンセンサスによる営業利益の市場予想は前年同期比9%減の1兆628億円です。日本経済新聞は、中東情勢の混乱や熊本地震が生産・販売に影を落とす一方、円安による採算改善やハイブリッド車(HV)の堅調さがどこまで補うかが焦点だと伝えています。なお足元では日米協調介入を受けて円高方向に振れており、通期の為替前提をどう置くかも見どころになります。

  • 決算発表は今日も90社 — 4日は三菱重工業、イビデン、日本製鉄、日清食品ホールディングス、住友化学、AGCなど90社が決算を予定しています。決算シーズンのピークにあたり、指数全体の方向感よりも個別の業績反応が目立ちやすい日程です。

  • 為替は介入警戒が続く局面 — 3日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸したものの、上げ幅は前週末比20銭にとどまり、1ドル=157円15〜25銭で終えました。東京時間に155円22銭前後まで急伸した後、海外時間では円買いの勢いが限られた形です。日米が協調介入を公表し、片山財務相が追加介入も辞さない姿勢を示している以上、当面は水準に応じた警戒が続きやすい状況です。米株高は輸出関連の支えになりやすい一方、円高は逆方向に働くため、今日の東京市場は両者の綱引きになります。

  • 今夜は米6月JOLTS求人件数 — 日本時間4日23時に6月の米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が発表されます。5月は759万4000件でした。今週は5日にADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日に7月の雇用統計が控えており、労働市場の指標が続きます。ISM製造業が強く出た後だけに、労働市場のデータが米金利の見通しにどう影響するかが、為替を通じて日本株にも波及しやすい週です。

ひとこと解説

昨夜のパランティアと、今日のトヨタ。この2つに共通するキーワードが**「市場予想(コンセンサス)」「ガイダンス」**です。決算のニュースを読むときに、この2語の意味が分かると理解がぐっと楽になります。

コンセンサスとは、証券会社のアナリストが出している業績予想の平均値のことです。「QUICKコンセンサス」「ファクトセット予想」などと表記されます。決算発表前の株価には、すでにこの予想水準がある程度織り込まれていると考えられています。だから、決算で利益が前年より増えていても株価が下がることがありますし、逆に減益でも上がることがあります。株価が反応するのは「増えたか減ったか」ではなく、**「事前の予想と比べてどうだったか」**だからです。昨日のファナックが好例で、営業利益は前年同期比26%増でしたが、市場予想を10億円程度下回ったことで大きく売られました。

もう一つのガイダンスは、会社自身が示す今後の業績見通しのことです。日本企業では「通期予想」、米国企業では「ガイダンス」と呼ばれることが多く、中身は同じ性質のものです。株価は将来の利益を見て動くため、実績の数字よりもガイダンスのほうが株価を動かす、というのは決算発表ではよくあることです。パランティアが通期見通しを引き上げたことがニュースの見出しになっているのは、そのためです。

ここで整理しておくと、決算のニュースは次の4点を順に見ると読み解きやすくなります。**①実績が予想に対してどうだったか、②会社の見通し(ガイダンス)が引き上げられたか据え置きか引き下げか、③その理由は何か(数量なのか、価格なのか、為替なのか)、④株価がすでにどこまで織り込んでいたか。**とくに④は数字に表れないため難しいのですが、「良い決算なのに株価が下がった」という現象の多くはここで説明がつきます。

そしてトヨタのような輸出企業の場合、もう一つ見るべきなのが為替前提です。会社は「1ドル=◯◯円」という前提を置いて通期予想を作ります。前提より円安が進めば上振れ要因、円高が進めば下振れ要因になります。今は協調介入で円高方向に振れた直後という特殊な局面なので、各社がどの水準を前提に置くかは、業績予想の数字そのものと同じくらい注目されやすいところです。


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