4日の東京株式市場で日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比202円63銭(0.32%)高の6万3957円53銭でした。前日の米国市場でハイテク株が大幅高となった流れが支えになった一方、円高への警戒から自動車や商社には売りが出て、上げ幅は限られています。決算発表がピークを迎え、指数の動き以上に個別銘柄の値動きが目立つ一日となりました。

指数(8月4日終値) 終値 前日比
日経平均株価 63,957.53円 +202.63(+0.32%)
TOPIX 3,961.78 +1.75(+0.04%)
東証プライム市場 数値
売買代金 10兆2837億円
売買高 26億200万株
値上がり / 値下がり銘柄数 629 / 902
円相場(4日午前10時) 1ドル=157円49〜50銭(前日比73銭の円安)

何があった?

米ハイテク株高と円高警戒の綱引き — 前日の米国市場ではダウ工業株30種平均が693ドル高と過去最高値を更新し、ナスダック総合指数は2.12%上昇しました。この流れを受けて東京市場でもAI・半導体・データセンター関連に買いが入り、東京エレクトロンやキオクシアホールディングスが値を上げています。個別ではイビデン、京セラ、レーザーテックが上昇しました。

一方で重荷になったのが為替です。円相場は7月下旬の1ドル=163円台から、日米の協調介入を経て足元では157円前後まで円高方向に振れています。海外で稼いだ利益を円に換算する際の目減りが意識され、トヨタ自動車や日産自動車、三菱自動車といった自動車株、三菱商事や丸紅などの商社株に売りが出ました。値下がり銘柄数(902)が値上がり銘柄数(629)を上回っており、指数の上昇ほど市場全体に買いが広がったわけではありません。ソフトバンクグループ、アドバンテスト、ファーストリテイリングは下落しています。円相場は4日の東京市場では持ち高調整の円売りが先行し、午前10時時点で1ドル=157円49〜50銭と前日比73銭の円安でしたが、市場では4営業日連続の介入への警戒が残り、値動きは限られました。

トヨタは通期予想を上方修正 — 注目されていたトヨタ自動車は4日午後、2026年4〜6月期の決算を発表しました。営業収益は前年同期比10.4%増の13兆5254億円、営業利益は8.8%減の1兆634億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は75.6%増の1兆4770億円でした。同時に27年3月期の通期予想を引き上げ、売上収益を51兆円から54兆円(前期比7%増)へ、営業利益を3兆円から3兆4000億円(同10%減)へ、純利益を3兆円から3兆2500億円(同16%減)へそれぞれ修正しています。想定為替レートを1ドル=160円、1ユーロ=181円と円安方向に見直したことや、ハイブリッド車(HV)需要の堅調さが寄与するとしています。株価は決算発表を挟んで軟調に推移し、終値は前日比31円(1.05%)安の2932円50銭でした。

三菱重工は大幅増益で急伸 — 三菱重工業が4日の後場に発表した4〜6月期決算は、売上高が前年同期比15.5%増の1兆1942億円、純利益が97.4%増の1346億8000万円でした。エネルギー、航空・防衛・宇宙の各セグメントがけん引した形で、通期予想は据え置いています。株価は発表後に上昇へ転じて一時4118円(前日比319円高)まで買われ、終値は7.7%高の4091円となりました。日本製鉄は4〜6月期の最終損益が752億円の黒字(前年同期は1958億円の赤字)に転じ、通期の最終利益予想を2200億円から2900億円へ引き上げています。イビデンも今期の経常利益予想を41%上方修正し、最高益見通しとしました。

注目ポイント

  • 上方修正の背景に「円安」が並ぶ — この日開示された上方修正には、想定為替レートの見直しを理由に挙げるものが目立ちました。トヨタも従来より円安方向の前提に置き換えています。ただし会社の前提は期初からの実績と今後の想定を踏まえたもので、足元の介入後の水準がそのまま反映されているわけではありません。為替がここからどちらに振れるかで、修正後の数字にも上下双方の振れが生じ得る点は押さえておきたいところです。

  • 指数より個別が動く局面 — プライム市場の売買代金は10兆円超と厚みがある一方、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。決算集中日は、市場全体の方向感よりも各社の内容に対する反応が値動きを決めやすくなります。三菱重工の7.7%高とトヨタの1.05%安が同じ日に同居しているのは、その典型です。

  • 今夜は米6月JOLTS求人件数 — 日本時間4日23時に6月の米雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が発表されます。5日にADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日に7月の雇用統計と、今週は労働市場に関する指標が続きます。米金利の見通しを通じて為替に影響しやすく、その為替が日本株の重荷にも支えにもなっている、というのが足元の構図です。

ひとこと解説

今日のトヨタは「通期予想を引き上げたのに株価は下がった」という、初心者がいちばん戸惑いやすいパターンでした。ここを読み解く鍵が想定為替レートです。

自動車や電機のような輸出企業は、海外で稼いだドルやユーロを円に換算して決算をつくります。そのため通期の業績予想を出すときに、「今期は1ドル=◯◯円と想定します」という前提を必ず置きます。これが想定為替レートです。トヨタは今回この前提を1ドル=160円に見直し、それが上方修正の理由の一つになりました。前提より実際が円安になれば利益は上振れ、円高になれば下振れる、という関係です。

ここで押さえておきたいのが、株価が見ているのは「発表された数字」だけではないという点です。株価は将来を先取りして動くため、市場はすでに「このくらいの上方修正はあるだろう」と織り込んでいることがあります。その場合、実際に上方修正が出ても新しい材料にはなりません。さらに今回は、修正の前提となった160円という水準に対し、足元の相場は協調介入を受けて157円前後の円高方向にあります。「前提より円高な状態が続けば、この上方修正分は削られるのでは」という見方が働けば、good newsが株価を押し上げないことは十分に起こり得ます。

反対に三菱重工は、為替の前提よりも受注や需要そのものが評価されたケースです。エネルギーや防衛は円安・円高の影響を受けないわけではありませんが、需要の増加という説明のほうが分かりやすく、しかも通期予想を据え置いたままの大幅増益でした。「据え置き」は一見おとなしい情報ですが、四半期でこれだけ稼いで予想を変えていないなら今後の上振れ余地がある、という読み方もされます。

決算記事を読むときは、①実績の数字、②通期予想を変えたか、③その理由(数量・価格・為替のどれか)、④想定為替レートと今の相場の距離、この4点を順に確認すると、株価の反応が理解しやすくなります。とくに④は、今のように為替が大きく動いている局面ほど効いてきます。


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