3日夜の米国市場は、経済指標と決算が同じ日に重なります。日本時間23時に7月のISM製造業景況指数が発表され、米国市場の取引終了後にはパランティア・テクノロジーズが四半期決算を出します。東京時間には日米協調介入の公表を受けて円が一時1ドル=155円台前半まで急伸しましたが、夕方には156円台半ばへ戻しました。米株価指数先物は日中を通じて上昇して推移しています。

米株価指数先物(3日13時30分時点) 水準 前日比
S&P500先物 7,565.00 +45.75
ナスダック100先物 28,675.00 +270.75
NYダウ先物 286ドル高
前回の米国市場(7月31日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,485.03 +276.97(+0.53%)
S&P500 7,489.72 +52.09(+0.70%)
ナスダック総合 25,373.85 +251.68(+1.00%)
今夜の注目日程(日本時間) 内容
22:45 米7月製造業PMI 改定値
23:00 米7月ISM製造業景況指数(市場予想53.9 / 6月53.3)
23:00 米6月建設支出
4日6:00頃 パランティア・テクノロジーズ 決算(米東部時間3日17時)
ドル円(3日) 水準
東京時間の高値 157円88銭前後
東京時間の安値 155円22銭前後(5月6日以来の円高水準)
夕方時点 156円台半ば
欧米時間の予想レンジ(外為どっとコム) 154円50銭〜157円50銭

何があった?

東京時間は「介入の日」だった — 片山さつき財務相が3日午前、米東部時間7月31日に米財務省と協調して円買い介入を実施したことを正式に公表しました。これを受けて円買いが加速し、ドル円は朝方の157円88銭前後から155円22銭前後まで、2円半以上の円高が進んでいます。5月6日以来の水準です。財務相が「さらなる協調介入をちゅうちょしない」と述べたことも、円の売りづらさにつながりました。

もっとも、その後は下げ一巡から156円台半ばへ戻しています。東京株式市場では日経平均株価が円高を嫌気して一時1600円を超える下げとなりましたが、大引けにかけて戻し、前週末比607円12銭安の6万3754円90銭で終えました。

米株価指数先物は堅調に推移 — 一方、米国株の先物市場は日中を通じて上げ幅を保ちました。株探は3日朝の時点で「上昇スタート」と伝えており、財経新聞によれば13時30分時点でS&P500先物が7,565.00と前日比45.75ポイント高、ナスダック100先物が28,675.00と同270.75ポイント高、NYダウ先物が286ドル高となっています。ハイテク株比率の高いナスダック100先物の上げが目立つ形です。

背景にあるのは、前週末の流れの継続です。7月31日の米国市場では、アマゾン・ドット・コムのクラウド部門AWSが高い伸びを示したことをきっかけにAI関連への見直し買いが広がり、アルファベットやマイクロソフトにも波及しました。一方でアップルは7〜9月期の売上見通しが市場予想に届かず下落しており、決算による明暗ははっきり分かれています。

注目ポイント

  • ISM製造業景況指数は「50超」の維持が前提の見方 — 今夜の最大の指標は23時発表の7月ISM製造業景況指数です。市場予想は53.9で、6月の53.3から改善する見通しとされています。財経新聞は「50を大きく上回って改善が予想される」と伝えています。景況感が良好なら景気の底堅さを示す材料になりますが、7月29日のFOMC後に9月以降の利上げ観測が意識されている局面でもあり、強い数字が長期金利の上昇につながれば株式の重荷にもなり得ます。指標の受け止め方が一方向にならない可能性がある点は意識しておきたいところです。

  • 決算はパランティアなど — 米国市場の取引終了後(日本時間4日朝)に、パランティア・テクノロジーズが四半期決算を発表します。同社は決算後の値動きが大きくなりやすい銘柄として知られ、Investing.comによると7月28日時点でオプション市場は決算発表後に9.6%程度の株価変動を織り込んでいました。同社の過去8回の決算では、うち2回で事前の想定変動幅を超える動きが出ています。このほかバーテックス・ファーマシューティカルズ、マリオット・インターナショナル、オン・セミコンダクターなども3日に決算を予定しています。

  • 為替は155円台前半が意識される水準に — 外為どっとコムは欧米時間の予想レンジを154円50銭〜157円50銭とし、4月30日の介入時の安値である155円03銭を下抜けるかどうかが焦点になると指摘しています。当局が追加介入の可能性に言及している以上、米指標で長期金利が動いた場合の反応も、通常より読みにくくなりやすい局面です。

  • 原油と中東情勢は引き続き変動要因 — 財経新聞は3日の米国株について「伸び悩みか、中東の不透明感は払拭されず」との見方を示し、原油価格の高止まりがインフレ圧力として意識されやすいと指摘しています。7月31日には北海ブレント原油が1バレル88ドル超まで上昇していました。

  • 今週は労働市場の指標が続く — 4日に米6月JOLTS求人件数、5日に米7月ADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日に米7月雇用統計と続きます。5日には日銀金融政策決定会合の議事要旨も公表されます。今夜のISMは、その一連の流れの入り口にあたります。

ひとこと解説

今夜の主役であるISM製造業景況指数の読み方を整理しておきます。

これは米国の供給管理協会(ISM)が、製造業の購買・供給管理の担当者に毎月アンケートを取ってつくる指標です。新規受注、生産、雇用、入荷遅延、在庫といった項目について「前月より良くなったか、変わらないか、悪くなったか」を聞き、その回答比率から算出します。このタイプの指標を**拡散指数(ディフュージョン・インデックス)**と呼びます。

拡散指数の特徴は、金額や数量そのものではなく「良くなったと答えた企業の広がり」を測るという点にあります。そのため50が分かれ目になります。50を上回れば「前月より改善したと答えた企業のほうが多い」、下回れば「悪化したと答えた企業のほうが多い」という意味です。今夜の市場予想である53.9は、拡大方向を示す水準ということになります。

ここで注意したいのが、「水準」と「方向」は別の話だということです。仮に発表値が52だった場合、50は上回っているので製造業は拡大していることになりますが、前月の53.3からは低下したことになり、「拡大しているが勢いは鈍った」という受け止め方になります。ニュースの見出しが「改善」なのか「悪化」なのかは、50との比較なのか前月との比較なのかで変わってくるため、両方を確認すると誤解が減ります。

もう一つ、市場が見ているのが内訳です。特に新規受注は先行きの生産につながるため注目されやすく、支払価格(仕入価格)の項目はインフレ圧力の手がかりとして見られます。総合指数が予想通りでも、支払価格が大きく上昇していれば金利の見通しに影響することがあります。指数の数字だけでなく、どの項目が動いたかまで報じられる理由はここにあります。

なお、同じ日に発表される「製造業PMI」は、S&P Globalという別の調査会社が同様の手法で作成している指標です。名前も対象も似ていますが集計方法や対象企業が異なるため、両者の数値が食い違うこともあります。日本のニュースで単に「PMI」と書かれているときは、どちらの指標なのかを確認すると混乱しにくくなります。


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