週末(7月31日)の米国市場は主要3指数がそろって上昇し、荒れた7月を続伸で終えました。ただし今朝の東京市場にとって、より大きな材料は株価ではなく為替です。日米両政府が7月31日に円買いの協調介入に踏み切り、円は一時1ドル=157円台前半まで急伸しました。3日には日米共同声明の発表に向けた調整も伝えられています。

米国市場(7月31日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,485.03 +276.97(+0.53%)
S&P500 7,489.72 +52.09(+0.70%)
ナスダック総合 25,373.85 +251.68(+1.00%)
ラッセル2000 2,931.34 -14.76(-0.5%)
参考 数値
米10年債利回り(7月31日) 4.73%(一時4.745%前後と昨年1月以来の高水準)
シカゴ日経平均先物(円建て清算値) 63,270円(大阪取引所終値比 450円安)
ドル円(3日午前7時) 157円47銭〜157円51銭
ユーロ円(同) 181円88銭〜181円92銭
日経平均(7月31日終値) 64,362.02円(+2,494.59、+4.03%)
米国市場の週間騰落(7月27日〜31日) 騰落
S&P500 +77.74(+1%)
NYダウ +537.78(+1%)
ナスダック総合 +398.03(+1.6%)

何があった?

米国株は決算で明暗が分かれたまま上昇 — 31日の米国市場は、前日引け後に発表されたアマゾンの決算が相場を支えました。クラウド部門AWSの売上高が前年同期比で約37%増と2021年以来の高い伸びとなったことが好感され、株価は15%を超える上昇となりました。アルファベット(+6.73%)、マイクロソフト(+3.02%)、エヌビディア(+2.93%)にも買いが波及しています。

一方でアップルは7%台の下落となりました。7〜9月期の売上見通しが市場予想に届かなかったことが嫌気された形です。半導体ではマイクロン(-5.90%)、AMD(-1.90%)が下げており、AI・クラウド関連が買われる一方で半導体の一角が売られるという、方向のそろわない相場でした。指数の上げ幅が小さくとどまったのは、アマゾンの急騰とアップルの急落が打ち消し合ったためです。

債券市場では長期金利が上昇しました。7月29日のFOMCで政策金利は据え置かれたものの声明のトーンが引き締め寄りと受け止められ、9月以降の利上げ観測が意識されています。中東情勢の緊迫化で原油先物が上昇したこともインフレ懸念につながり、10年債利回りは4.73%と昨年1月以来の高い水準まで上げました。北海ブレント原油は1.5%以上上昇して1バレル88ドル超、WTI原油も1.36%上昇しています。なお日本経済新聞は、ナスダック総合が月間ベースでは2カ月連続の下落だったと伝えています。

日米が15年ぶりの協調介入 — 為替では、7月30日に政府・日銀が約3カ月ぶりの円買い・ドル売り介入を実施しました。介入前の1ドル=162円台後半から157円台へ、5円近い円高が進んでいます。時事通信は30日の介入規模を6兆円超との推計と伝えました。

続く31日(米東部時間)には、日米両当局が断続的に円買い介入を実施したことが日本政府関係者への取材で明らかになっています。英紙フィナンシャル・タイムズは、米財務省がユーロを売って円を買う形で介入したと報じました。米当局は事前に複数の金融機関へ介入の可能性を伝え、レートチェックも行ったとされています。ロイター通信は、閣議中に撮影されたベセント米財務長官のメモ帳に50億〜100億ドル(約7,900億〜1兆6,000億円)の円買いを示唆する記載があったと報じました。この日、円は一時1ドル=157円24銭と、5月中旬以来およそ2カ月半ぶりの円高水準を付けています。

日米の協調介入は、東日本大震災後の円高にG7で対応した2011年以来15年ぶりです。円買い方向での協調介入としては、アジア通貨危機の波及が警戒されていた1998年6月以来、約28年ぶりとなります。

注目ポイント

  • 今日の最大の材料は日米共同声明 — 日米両政府は円安・ドル高の阻止に向けた共同声明を発出する方向で調整しており、片山さつき財務相が3日にも一連の介入を踏まえた対応を表明する見通しと報じられています。狙いは「実需に基づかない投機的な円安を両政府として許容しない」という姿勢を示すことにあるとされます。声明の文言がどこまで踏み込むかで、円相場の反応は変わりやすい局面です。

  • 円高と輸出関連への影響 — 7月31日の日経平均はAI・半導体株の見直し買いで2,494円高と急伸しましたが、その後に円高が進みました。シカゴ日経平均先物の円建て清算値は63,270円と大阪取引所終値比で450円安となっており、寄り付きは重い展開が意識されます。ただしドル円は3日午前7時時点で157円台後半まで戻しており、介入の効果がどこまで持続するかは見極めが必要です。外為どっとコムは今週のドル円の予想レンジを157円台後半〜164円台後半としています。

  • 国内は決算ピークの初日 — 3日は三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、日産自動車、いすゞ自動車、三菱自動車工業、大和証券グループ本社、日本航空、日本ハムなど、指数への影響が大きい企業の決算が集中します。円高が進んだ局面での為替前提や通期見通しの扱いに注目が集まりそうです。

  • 今夜は米ISM製造業景況指数 — 日本時間23時に7月のISM製造業景況指数が発表されます。市場予想は53.9で、前回は53.3でした。同22時45分には7月の製造業PMI確報値、23時には6月の建設支出も出ます。米国では引け後にパランティア・テクノロジーズなどの決算が予定されています。

  • 週末には米雇用統計 — 今週は4日に米6月JOLTS求人件数、5日に米7月ADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日に米7月雇用統計と、労働市場の指標が続きます。5日には日銀金融政策決定会合の議事要旨も公表されます。利上げ観測と為替介入が同時に意識される週で、金利と円相場の両方に材料が並びます。

ひとこと解説

先週のキーワードだった為替介入から一歩進んで、今回の**協調介入(きょうちょうかいにゅう)**を整理しておきます。

通常の為替介入は、一国の通貨当局が単独で行います。日本の場合、実施を判断するのは財務省(財務大臣)で、実際の売買を担うのは日本銀行です。これに対して協調介入は、複数の国の通貨当局が足並みをそろえて同じ方向の売買を行うことを指します。

なぜわざわざ足並みをそろえるのかというと、効果の出方が違うからです。単独介入は「一国が自国の都合で相場を動かそうとしている」と受け止められやすく、市場に反対方向の思惑が残ります。一方で協調介入は、相手国も同じ相場水準を問題視しているというメッセージになります。今回のように米国側がユーロを売って円を買えば、日本が持つドル資金の量とは関係なく円買いの力が加わるため、「日本の外貨準備が尽きるまで待てばよい」という見方も取りにくくなります。

歴史的には、1985年のプラザ合意後のドル高是正、1998年のアジア通貨危機時の円買い、2011年の東日本大震災後の円高是正などが知られています。いずれも「相場が一方向に行き過ぎている」という認識が国際的に共有された場面で、頻繁に起きるものではありません。今回が15年ぶりと報じられているのは、そのためです。

もっとも、協調介入をしても為替の方向が必ず変わるわけではありません。相場の背景に日米の金利差のような構造的な要因がある場合、介入は水準を一時的に戻すことはできても、流れそのものを反転させるとは限らないためです。今回も、介入直後に157円台を付けた円が3日朝には157円台後半まで戻しています。介入のニュースを読むときは、「その日どれだけ動いたか」だけでなく、「数日後にどの水準に落ち着いたか」まで追うと、効果の見え方が変わってきます。


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