3日の東京株式市場で日経平均株価は3日ぶりに反落し、前週末比607円12銭(0.94%)安の6万3754円90銭で取引を終えました。片山さつき財務相が午前に日米の協調介入を正式に公表したことで円が一時1ドル=155円台前半まで急伸し、輸出関連を中心に売りが優勢となりました。ただし一時1600円を超えていた下げ幅は、後場にかけて大きく縮まっています。

指数 終値 前週末比
日経平均株価 63,754.90円 -607.12(-0.94%)
TOPIX 3,960.03 -43.27(-1.08%)
参考 数値
日経平均の日中安値 62,703円
日経平均の日中高値 63,900円台
前引け 63,240.51円(-1,121.51)
東証プライム売買代金 概算11兆7,800億円
値上がり / 値下がり銘柄数 464 / 1,060
ドル円(大引け時点) 156.79円

何があった?

円高が主役の一日 — 前週末の米国市場は主要3指数がそろって上昇していましたが、東京市場の関心は株価より為替に集まりました。片山財務相は3日午前、米東部時間7月31日に米財務省と協調して円買い介入を実施したと大臣談話で公表し、「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処した」と説明しています。さらに「今後、さらなる協調介入を実施することもちゅうちょしない」とも表明しました。ベセント米財務長官も、円の著しい過小評価を是正するための日本の措置を強く支持する姿勢を示しています。

これを受けて円買いが加速し、東京市場では一時155円20銭近辺と5月上旬以来の円高・ドル安水準を付けました。円高は輸出企業の採算にとって逆風と受け止められやすく、トヨタ自動車やスズキなど自動車株に売りが広がりました。業種別でも輸送用機器の下落が目立っています。

決算と反動安が重なった — 個別では、前週末に第1四半期決算を発表したファナックが急落しました。営業利益は535億円と前年同期比26.1%増、受注高も2819億円と同36.9%増で市場予想を上回りましたが、営業利益は市場予想を10億円程度下回りました。通期の営業利益予想は2122億円から2180億円へ引き上げられたものの、増額幅が小幅にとどまったことが物足りないと受け止められた形です。株価は一時19%安と、ブルームバーグによれば1986年9月以来およそ40年ぶりの日中下落率となりました。

指数への影響ではアドバンテストの下落も大きく、前引け時点でアドバンテストとファナックの2銘柄だけで日経平均を約460円押し下げました。前週末に日経平均が2494円高と急伸した反動で、利益確定売りが出やすい地合いだったことも重なっています。

一方で上昇した銘柄もあり、第1四半期が大幅な増収増益となったマクセルはストップ高となりました。逆に通期見通しを下方修正した日本電気硝子は急落しています。業種別では精密機器、空運、金属製品が上昇し、不動産、輸送用機器、陸運が下落しました。

注目ポイント

  • 後場の戻りが示したもの — 日経平均は一時6万2703円まで下げましたが、そこから1000円以上戻して引けました。売り一巡後に押し目買いが入った形で、円高を嫌気した売りが一方通行にはならなかった点が特徴です。ただし東証プライムの売買代金は概算11兆7800億円と膨らんでおり、方向感を巡って売買が交錯した一日だったことがうかがえます。

  • 介入は「効果の持続」が論点に — 7月30日の単独介入、31日の日米協調介入と続き、3日には正式な公表と追加介入への言及が加わりました。ドル円は日中に155円台前半を付けた後、大引け時点では156円79銭まで戻しています。当局が「ちゅうちょしない」と明言している以上、市場は当面この水準帯で介入警戒を意識しながらの取引になりそうです。

  • 決算発表がピークを迎える — 3日は83社が決算を発表し、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事、日産自動車などが含まれます。今週はトヨタ自動車やソフトバンクグループの発表も控えており、円高が進んだ局面で各社が通期の為替前提をどう置くかが、業績見通しの読み方を左右します。

  • 今夜の米国指標 — 日本時間23時に7月の米ISM製造業景況指数が発表されます。前回は53.3で、市場予想は53.9とされています。今週は5日のADP雇用統計とISM非製造業景況指数、7日の雇用統計と労働市場関連の指標が続き、米金利の動きを通じて為替にも影響しやすい日程です。

ひとこと解説

今日の値動きを読むうえで役に立つのが、**寄与度(きよど)**という考え方です。ニュースで「アドバンテストとファナックの2銘柄で日経平均を約460円押し下げた」と書かれていましたが、これがまさに寄与度の話です。

日経平均は、対象225銘柄の株価を足して特殊な除数で割る「株価平均型」の指数です。時価総額の大きさではなく株価の水準そのものが効いてくるため、株価の高い銘柄(値がさ株)が1社動くだけで指数が大きく振れます。今日のように、値がさ株であるファナックが決算を受けて2桁の下落率になると、それだけで指数が数百円単位で下がるわけです。

一方のTOPIXは、東証の対象銘柄を時価総額で加重平均した指数です。株価が高いか安いかではなく、会社の規模(発行済み株式数×株価)が反映されます。今日は日経平均が-0.94%、TOPIXが-1.08%と、TOPIXのほうが下落率が大きくなりました。日経平均の下げが値がさ株に集中していた一方で、市場全体では値下がり銘柄が1060、値上がりが464と、幅広く売られていたことが背景にあると考えられます。

「日経平均が大きく下げた」というニュースを見たときは、指数全体が売られたのか、それとも特定の値がさ株の急落が指数を押し下げただけなのかを分けて見ると、相場の実態が見えやすくなります。その手がかりになるのが、TOPIXとの比較や、値上がり・値下がり銘柄数です。今日のように日経平均とTOPIXの下落率が逆転している日は、両方を並べて確認する価値があります。


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