今週(7月27日〜31日)の東京株式市場を振り返ります。週前半はAI・半導体関連株の急落で日経平均が約2カ月ぶりの安値まで沈み、週末の金曜日は一転して2,494円高の急反発。さらに木曜夜には政府・日銀によるものとみられる円買い介入があり、日米の金融政策決定も重なりました。値動きも材料も密度の濃い1週間でしたが、週間の騰落率でみるとほぼ横ばいで着地しています。まずは数字から見ていきます。

日付 日経平均終値 前日比 TOPIX終値 前日比
7/27(月) 64,931.19円 +320.04(+0.50%) 4,066.07 +54.76(+1.37%)
7/28(火) 62,364.92円 -2,566.27(-3.95%) 3,963.59 -102.48(-2.52%)
7/29(水) 61,434.19円 -930.73(-1.49%) 3,974.03 +10.44(+0.26%)
7/30(木) 61,867.43円 +433.24(+0.71%) 3,952.50 -21.53(-0.54%)
7/31(金) 64,362.02円 +2,494.59(+4.03%) 4,003.30 +50.80(+1.29%)

週間では、日経平均は前週末(7月24日)の終値64,611.15円から**249円あまり安い64,362.02円(-0.39%)で1週間を終えました。TOPIXも4,012.79から4,003.30へ9.49ポイント安(-0.24%)**と、いずれも小幅な下落にとどまっています。週の途中では日経平均が一時61,434円まで下げていたことを考えると、金曜日の急反発がほぼすべてを取り戻した形です。

何があった?

週の入り口となった**27日(月)**は落ち着いた始まりでした。中東情勢の緊張がいったん和らいだとの見方から原油先物が下落し、空運や輸送用機器といった燃料コストに敏感なセクターに買いが戻りました。東証プライムでは値上がり銘柄が1,397と全体の約7割に達し、TOPIXは1.37%高。指数の上げ幅こそ限定的でしたが、市場の広がりは強い一日でした。

流れが変わったのが**28日(火)**です。前日の米半導体株安と、この日の韓国KOSPIの急落が重なり、AI・半導体関連株に売りが集中しました。日経平均は下げ幅が一時3,000円を超え、終値でも2,566円27銭安。キオクシアがストップ安となるなど、下げは特定の銘柄群に集中しました。

**29日(水)**も半導体株への売りが続きます。韓国SKハイニックスの決算が「四半期としては好調だが市場の期待には届かない」と受け止められ、KOSPIは取引時間中に一時8%超の下落となってサーキットブレーカーが発動。東京市場でも東京エレクトロン1銘柄で日経平均を約559円分押し下げたと伝えられました。ただし東証プライムの値上がり銘柄数はこの日も多く、TOPIXは小幅高。指数によって方向が分かれる展開でした。

**30日(木)**は3日ぶりの反発です。日本時間未明に結果が出たFOMCは政策金利(3.50〜3.75%)を5会合連続で据え置き。ウォーシュFRB議長は会見でインフレ抑制への姿勢を強調する一方、先行きのガイダンスは示しませんでした。投票権を持つ12人のうち3人が利上げを支持する異例の分裂もありました。東京市場ではアドバンテストの決算を好感した買いが入って日経平均は433円高となりましたが、イランが米軍基地へミサイルを発射したとの報道で中東情勢が再び緊迫し、上値は重い一日でした。

そして30日の夜、為替市場が大きく動きます。ドル円は1ドル=162円台から5円近く急落して157円台をつけ、5月以来の円高水準となりました。政府・日銀による円買い・ドル売り介入が実施されたとの観測が報じられ、市場推計では6〜7兆円規模とも伝えられています。米ニューヨーク連銀によるレートチェックが行われたことも報じられました。片山財務相は31日、介入の有無について「お答えできない」と述べています。

**31日(金)**は今週最大の上昇となりました。前日の米国市場でマイクロソフトの好決算などを背景にフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が8.19%高と急反発した流れを引き継ぎ、東京市場でもAI・半導体関連に海外投資家の買いが集まりました。前日に決算を発表した東京エレクトロンが上期見通しを上方修正し、株式分割と自社株買いも発表したことも支えとなり、日経平均は一時3,400円を超える上げ幅に。昼休み中に発表された日銀の金融政策決定会合の結果は政策金利1.0%の据え置きで、展望レポートでは成長率見通しが上方修正されました。植田総裁は会見で、金融環境が緩すぎると判断されれば利上げペースの加速もありうるとの考えを示しています。後場は円高進行で輸出関連株が重荷となり、上げ幅を縮めて引けました。

なお週末の米国市場(31日)は、NYダウが276ドル97セント高の52,485ドル03セント、ナスダック総合指数が251.67ポイント高の25,373.85と、いずれも続伸で7月を終えています。原油は、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡でタンカー2隻を攻撃したと伝わったことでWTIが1.08ドル高の1バレル=84.67ドルまで上昇しました。

注目ポイント

  • 「指数の上げ下げ」と「市場の広がり」がずれた週でした。 28日・29日の下落も、31日の急騰も、いずれも値がさの半導体株が指数を大きく動かした結果です。31日は日経平均が4.03%上昇した一方、構成する225銘柄のうち値上がりは96、値下がりは129だったと伝えられています。指数の数字だけを見ると市場全体の姿を取り違えることがあり、TOPIXや値上がり・値下がり銘柄数と合わせて眺めると実像がつかみやすくなります。

  • 為替が株式市場の材料として前面に出てきました。 今週の東京市場は、円安が輸出関連株を支える構図から、介入をきっかけとした急激な円高が輸出関連株の重荷になる構図へと、わずか1日で切り替わりました。日銀の利上げ姿勢と政府の為替対応がともに意識される局面が続いており、来週以降も為替の水準と株価の関係は注目材料となりそうです。

  • 日米ともに金融政策は「据え置き」でしたが、中身は対照的です。 FRBは5会合連続の据え置きながら3人が利上げを支持する分裂を抱え、日銀は据え置きつつ成長率見通しを上方修正して追加利上げの可能性に含みを残しました。どちらも「動かなかった」という結果は同じでも、次の一手をめぐる市場の見方は分かれやすい状態にあります。

ひとこと解説

今週のキーワードとなった**為替介入(かわせかいにゅう)**について整理しておきます。

為替介入とは、正式には「外国為替平衡操作」といい、通貨当局が為替相場の急激な変動をならすために自ら市場で通貨を売買することです。日本では、実施を判断するのは財務省(財務大臣)で、実際の売買を担当するのは日本銀行という役割分担になっています。「日銀が決めている」と誤解されやすい点なので、覚えておくと報道が読みやすくなります。

今回のような円買い・ドル売り介入は、政府が持つ外貨準備のドルを売って円を買う操作です。円を売ってドルを買う「円売り介入」が円の発行によっていくらでも実施できるのに対し、円買い介入は手元の外貨準備という上限があります。「無制限には続けられない」という性質が、円買い介入の効果をめぐる議論でよく指摘される理由です。

介入の有無は当局からその場で公表されないのが通例です。財務相が「お答えできない」と述べるのはこのためで、実績は毎月末に財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」として公表します。市場では、それまでの間、日銀当座預金の増減などから規模を推計する動きが出ます。今回報じられた「6〜7兆円規模」という数字も、こうした市場推計にもとづくものです。推計と確定値は別のものとして区別しておくと、来月の公表時に落ち着いて数字を確認できます。


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