今夜(日本時間22:30〜)の米国市場の注目点を整理します。前日30日の米国市場は3指数がそろって上昇し、ナスダック総合は2.78%高となりました。取引終了後に発表されたアマゾンとアップルの決算は市場の受け止めが分かれ、時間外ではアマゾンが買われアップルが売られる展開になっています。今夜は7月最終営業日にあたり、雇用コスト指数などの発表も控えます。

指数(前営業日・7月30日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,208.06 +613.92(+1.19%)
S&P500 7,437.63 +121.48(+1.66%)
ナスダック総合 25,122.18 +679.24(+2.78%)
東京市場(7月31日終値) 終値 前日比
日経平均株価 64,362.02円 +2,494.59(+4.03%)
TOPIX 4,003.30 +50.80(+1.29%)
参考(7月31日) 数値
S&P500先物(13時30分時点) 7,503.00(+30.50)
ナスダック100先物(同) 28,511.25(+273.50)
NYダウ先物(同) 210ドル高
ドル円(ロンドン時間) 一時160円割れ、その後160円40銭付近

何があった?

30日の米国市場は、インフレ指標が波乱にならなかったことが支えになりました。同日発表の6月のPCE価格指数は、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前年比3.3%上昇と市場予想通りで、総合の指数は前年比3.7%上昇でした。同時に発表された4〜6月期のGDP速報値は前期比年率1.5%増と市場予想を下回っています。物価の再加速が確認されず、成長の鈍化も示されたことで、早期の追加利上げへの警戒がいったん後退しました。前日29日にFOMCを受けて急伸した長期金利が落ち着き、株式市場では売られていたハイテク株の買い戻しが優勢になっています。マイクロソフトはクラウド事業アジュールの伸びと設備投資計画の維持が好感され、スターバックスも1株利益が予想を上回り通期見通しを引き上げたことで上昇しました。

そして取引終了後、日本時間31日の朝に大型ハイテク2社の決算が出ています。

アマゾンは4〜6月期の売上高が前年同期比20%増の2,006億600万ドルとなり、四半期として初めて2,000億ドルを超えました。純利益は約3.4倍の626億4,700万ドルで、AI企業アンソロピックへの投資に伴う評価益が押し上げています。注目されたクラウド部門AWSの売上高は422億ドルで前年同期比36.7%増。5四半期連続で伸びが加速し、18四半期ぶりの高い伸び率となりました。AWSの営業利益は166億ドル、営業利益率は39%です。一方で2026年通期の設備投資は約2,200億ドルと、従来見込みの約2,000億ドルから引き上げられました。メモリーなどの調達コスト上昇が理由とされています。7〜9月期の見通しは売上高1,970億〜2,020億ドル、営業利益225億〜265億ドルです。時間外取引では9%を超える上昇となり、一時は12%以上の上げを記録したと伝えられています。

アップルは4〜6月期の売上高が16%増の1,094億1,700万ドル、純利益が27%増の297億8,900万ドル、希薄化後の1株利益が2.02ドルでした。売上高・1株利益とも市場予想(それぞれ1,088.5億ドル、1.89ドル)を上回り、6月を含む四半期としては過去最高です。製品別ではiPhoneが22%増の542億5,200万ドル、Macが29%増の103億5,200万ドル。ところがサービス部門が12%増の307億3,900万ドルと予想の313.6億ドルに届かず中華圏も22%増の188億1,600万ドルで予想の195.8億ドルを下回りました。この2つが成長の柱とみられていたため、時間外では売りが優勢となり、株探の集計では一時320.02ドル(-4.02%)、日本経済新聞は終値比で一時8%下げたと伝えています。メモリー価格の高騰が今後の利益率の重荷になるとの見方も出ています。

31日の東京市場は前日の米半導体株の急反発を受けて日経平均が2,494円高と大幅続伸しました。ただし日銀の金融政策決定会合の結果公表と植田和男総裁の記者会見をはさみ、ドル円はロンドン時間に一時160円を割り込んだ後、160円40銭付近に買い戻される不安定な動きとなっています。

今夜の注目ポイント

  • 決算を受けた2社の値動き — 時間外で大きく動いた両社が、通常取引でどこに落ち着くかが焦点です。アマゾンについては設備投資の引き上げをどう評価するか、アップルについてはサービスと中国の減速をどう見るかで、評価が分かれやすい内容でした。米株先物は米東部時間5時42分時点でダウ先物が261ポイント高(+0.5%)、S&P500先物が35ポイント高(+0.5%)、ナスダック100先物が317ポイント高(+1.1%)と買いが先行しています。
  • 経済指標は3本 — 日本時間21:30に4〜6月期の雇用コスト指数、22:45に7月のシカゴ購買部協会景気指数(シカゴPMI)、23:00に7月のミシガン大学消費者態度指数が発表される予定です。雇用コスト指数は賃金と福利厚生を合わせた人件費の動きを示すもので、サービス価格の先行きを見るうえで参照されます。
  • 7月最終営業日 — 今夜は月末の取引にあたります。月末は運用資産の配分を目標比率に戻す売買(リバランス)が出やすい日とされ、値動きの理由が材料と結びつきにくくなることがあります。財経新聞は「週末に向け、いったん手仕舞う動きも予想される」と、伸び悩む展開を見込んでいます。
  • 寄り前にエネルギー2社の決算 — 米東部時間の寄り付き前に、エクソンモービルとシェブロンが決算を発表する予定です。インベスティング・ドットコムは、決算を受けた株価の変動幅をエクソンモービルで3.3%、シェブロンで2.9%と試算しています。
  • 来週は雇用統計まで指標が続く — 8月3日にISM製造業景況指数、4日にJOLTS求人件数、5日にADP雇用統計とISMサービス業景況指数、7日に7月の米雇用統計が控えます。外為どっとコムは来週のS&P500の予想レンジを7,250〜7,600ポイントとしています。

ひとこと解説

決算のニュースでよく見かける**設備投資(せつびとうし)**という言葉を整理しておきます。英語の頭文字からCAPEX(キャペックス)と呼ばれることもあります。

設備投資とは、工場や機械、サーバーやデータセンターのように、長く使い続ける資産にお金を払うことです。文房具や電気代のようにその期に使い切る費用とは区別されます。アマゾンが「2026年の設備投資は約2,200億ドル」と示したのは、この長期資産への支出の見込みという意味です。

ここでややこしいのが、支出した年に全額が費用になるわけではないという点です。長く使う資産は、使う年数にわたって少しずつ費用として計上します。これが**減価償却(げんかしょうきゃく)**です。10年使うデータセンターなら、その費用も長い期間に分けて計上されていきます。そのため、設備投資を増やした直後は現金は大きく出ていくのに利益はすぐには減らず、あとから減価償却費が重くなる、という時間差が生まれます。

投資家が設備投資の発表に反応するのは、この時間差の読み方が人によって違うからです。「需要が強いから増やすのだ」と受け止めれば前向きな材料になりますし、「先に現金が出て、あとから費用が効いてくる」と受け止めれば慎重な材料になります。同じ数字がプラスにもマイナスにも読めるのは、そのためです。

今回のアマゾンのように、コストの上昇が理由で投資額が増えるケースもあります。メモリーなど部材の値段が上がれば、同じ設備を作るのにも金額は膨らみます。金額の増減だけを見るのではなく、「量が増えたのか、単価が上がったのか」を分けて見ると、数字の意味がつかみやすくなります。


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