今夜(日本時間22:30〜)の米国市場の注目点を整理します。前日29日はFOMCの結果を受けて長期金利が急伸し、ダウ平均が1,153ドル安と大きく下げました。今夜は日本時間21:30に4〜6月期GDP速報値と6月の個人消費支出(PCE)価格指数が発表され、取引終了後にはアップルとアマゾンの決算が控えています。

指数(前営業日・7月29日終値) 終値 前日比
NYダウ 51,594.14 -1,153.18(-2.19%)
S&P500 7,316.15 -112.63(-1.52%)
ナスダック総合 24,442.94 -433.97(-1.74%)
ナスダック100 27,192.31 -570.83(-2.06%)
東京市場(7月30日終値) 終値 前日比
日経平均株価 61,867.43円 +433.24(+0.71%)
TOPIX 3,952.50 -21.53(-0.54%)
参考 数値
米30年債利回り(29日) 一時5.2%台(19年ぶりの高水準)
ドル円(30日14時の東京市場) 163円49銭前後

何があった?

29日の米国市場を動かしたのは、FOMCの結果そのものではなく、その後の債券市場の反応でした。

FRBは政策金利を据え置きましたが、これは市場の予想通りです。ただし決定は全会一致ではなく3人の委員が0.25%の利上げを主張し、声明では「インフレは高止まりしている」との認識が繰り返されました。ウォーシュFRB議長は記者会見で、時間をかけて慎重に判断したいとの姿勢を示しています。

この結果を受けて、長期の金利が上昇しました。30年債利回りは一時5.2%台と2007年以来19年ぶりの高水準を付けています。インフレへの対応が後手に回るのではないかとの見方が広がった形です。株式市場はこれを嫌気し、ダウ平均は1,153ドル18セント安の5万1594ドル14セントで終えました。下げ幅は2025年4月の関税ショック以来の大きさです。ナスダック100も2.06%安となり、半導体ではKLA、マイクロン・テクノロジー、アプライド・マテリアルズ、ラム・リサーチなどの下げが目立ちました。

取引終了後に発表された大型ハイテク2社の決算は、明暗が分かれています。マイクロソフトは4〜6月期の売上高が前年同期比18%増の約900億ドル、調整後の1株利益は4.74ドルでいずれも市場予想を上回りました。クラウドサービスAzureの売上高は43%増と加速し、年間売上高が初めて1,000億ドルを超えています。一方でメタ・プラットフォームズは売上高が28%増の608億ドルと予想を上回ったものの利益が予想に届かず、時間外取引で下落しました。

30日の東京市場は、この米国株安を受けて売りが先行したものの、アドバンテストの上方修正を材料にAI・半導体関連が買い戻され、日経平均は433円高と3日ぶりに反発しました。ただしTOPIXは反落しており、上昇は一部の銘柄に集中しています。

今夜の注目ポイント

  • GDPとPCEが同時に発表 — 日本時間30日21:30に、4〜6月期GDP速報値、6月のPCE価格指数、新規失業保険申請件数が同時に公表されます。市場予想はGDPが前期比年率2.3%増(1〜3月期は2.1%増)、コアPCE価格指数が前月比0.2%上昇(5月は0.3%上昇)、新規失業保険申請件数が20万1,000件(前週は18万7,000件)です。長期金利が19年ぶりの水準まで上がった直後だけに、インフレ指標の受け止め方が焦点になります。
  • 引け後にアップルとアマゾン — 両社とも米東部時間17:00(日本時間31日6:00)に発表を予定しています。アマゾンについてはクラウド部門AWSの成長率が、前日のマイクロソフトのAzureと比較されやすい状況です。寄り前にはケロッグ、ブリストルマイヤーズ、マスターカードの決算も予定されています。
  • 金利上昇に歯止めがかかるか — 外為どっとコムは、インフレの沈静化が示されれば金利上昇に歯止めがかかり、株式市場の追い風となる展開が期待されると指摘しています。逆に指標が上振れすれば、金利上昇が続く可能性もあります。
  • ドル円は163円台半ば — FOMC後にドル売りが出たものの、30日の東京市場では163円台前半から半ばでの推移にとどまりました。外為どっとコムが示す欧米時間の予想レンジは162.800〜164.200円です。
  • 明日は日銀 — 日銀の金融政策決定会合は30〜31日の日程で、結果の公表と展望レポートは31日、総裁の記者会見は同日15:30に予定されています。今夜の米指標と明日の日銀という日程の間にあたるため、様子見の姿勢も出やすい局面です。

ひとこと解説

今夜発表されるPCE価格指数は、日本のニュースでもよく見る消費者物価指数(CPI)とは別の物価指標です。名前は「個人消費支出(Personal Consumption Expenditures)価格指数」。FRBが物価目標の「2%」を判断する際に基準としているのは、CPIではなくこちらの指数です。

両者の違いは、大きく2つあります。1つ目は対象の広さです。CPIは家計が自分で支払った分を集計するのに対し、PCEは医療費のうち保険から支払われた分など、家計以外が負担した支出も含みます。このため医療関連のウエイトはPCEのほうが大きくなります。

2つ目は内訳の見直し方です。CPIは調査時点の品目構成をしばらく固定して計算しますが、PCEは消費者の買い方の変化を反映して構成を頻繁に更新します。牛肉が値上がりして人々が鶏肉に切り替えれば、その動きが比較的早く指数に取り込まれます。この違いから、PCEはCPIよりやや低めの数字になる傾向があります。

さらに、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCEが、基調的な物価の動きを見る指標として重視されます。原油価格が跳ねた月にはCPIもPCEも上振れしますが、それが一時的なものか、賃金やサービス価格を通じて広がっているのかを見分けるためです。今夜のようにGDPとPCEが同じ時刻に出る日は、景気と物価の両方の材料が一度に市場へ届くことになります。数字そのものだけでなく、事前の予想からどれだけ離れたかを合わせて見ると、値動きの背景がつかみやすくなります。


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