30日の東京株式市場で日経平均株価は前日比433円24銭(0.71%)高の6万1867円43銭と、3日ぶりに反発しました。半導体検査装置のアドバンテストが好決算を受けて急伸し、指数を押し上げています。一方でTOPIXは反落し、値下がり銘柄数が値上がりの倍近くに達しました。

指数(7月30日終値) 終値 前日比
日経平均株価 61,867.43円 +433.24(+0.71%)
TOPIX 3,952.50 -21.53(-0.54%)
参考(同日) 数値
日経平均 前引け 62,218.41円(+784.22)
東証プライム 売買代金 概算12兆6,645億円
東証プライム 売買高 30億462万株
値上がり / 値下がり / 変わらず 534 / 993 / 28
ドル円(30日午後の東京市場) 163円40銭台

何があった?

30日の東京市場を動かしたのは、前日の取引終了後に発表されたアドバンテストの決算でした。

朝方は前日の米国株安を受けて売りが先行し、日経平均は175円85銭安で寄り付きました。29日の米国市場ではダウ平均が1,153ドル安と急落しており、その流れがそのまま持ち込まれた形です。しかし下値では、連日の急落による値ごろ感から半導体株への買い戻しが入りました。

買いの中心となったのがアドバンテストです。同社は29日、2027年3月期の連結営業利益予想を従来の6,275億円から8,460億円へ引き上げると発表しました。純利益予想は42%の上方修正で、従来予想からの上振れ幅は1,945億円です。会社側は、AI関連半導体の生産数量の増加と複雑化を背景に半導体テスタ市場が過去最大規模になる見込みで、特に推論用AI半導体向けのテスト需要が想定を大きく上回ったことを理由に挙げています。株価は取引時間中に一時16.76%高の2万9,425円まで買われ、前引け時点では11.48%高の2万8,095円。終値は10.8%高となり、この1銘柄だけで日経平均を約660円押し上げたと伝えられています。

この動きはAI・半導体株全体に波及しました。買われた銘柄には東京エレクトロン、キオクシアホールディングス、村田製作所、日立製作所、NEC、任天堂などが並びます。28日から29日にかけて売られた銘柄群が、そのまま買い戻しの対象になった格好です。日本経済新聞は、半導体株の比率が高い韓国総合株価指数(KOSPI)に連動する場面が多く、KOSPIが強含んだ局面では海外投機筋による日経平均先物への買いが加速したと伝えています。

ただし、上昇したのは市場の一部にとどまりました。東証プライムの値上がり銘柄数は534と全体の3割強で、値下がりは993。前日に発表された米FOMCの結果を受けて長期金利の見方が揺れるなか、野村ホールディングスや大和証券グループ本社といった証券株、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの銀行株の下げが目立ちました。ソフトバンクグループも続落し、傘下の英アーム・ホールディングス株の下落が波及して一時5%安の4,500円まで売られています。これは6月2日につけた上場来高値9,074円のちょうど半値の水準です。

注目ポイント

  • 指数と市場の広がりが逆方向 — 29日は日経平均が930円安となる一方でTOPIXが上昇しました。30日はその正反対で、日経平均がプラス、TOPIXがマイナスです。2日続けて、2つの指数が逆の方向を向いています。
  • 決算発表が集中 — 30日は東京エレクトロン、みずほフィナンシャルグループ、パナソニックホールディングスなど135社が決算を発表する予定でした。多くは取引終了後の発表となるため、市場の反応は31日以降に表れます。
  • 日銀の結果は明日 — 金融政策決定会合は30〜31日の日程で、30日はその1日目でした。結果の公表と展望レポートは31日、総裁の記者会見は同日15:30に予定されています。ドル円は163円21銭から163円53銭の狭い範囲での推移にとどまり、結果を見極めたいとの姿勢がうかがえます。
  • 今夜は米GDPとPCE — 日本時間30日21:30に米国の4〜6月期GDPと6月の個人消費支出(PCE)が発表されます。前日のFOMC後に長期金利が上昇している局面だけに、インフレ指標の受け止め方が焦点となります。

ひとこと解説

「アドバンテスト1銘柄で日経平均を約660円押し上げた」という表現は、日経平均の計算方法を知っていると意味がつかみやすくなります。

日経平均株価は、選ばれた225銘柄の株価を単純に足し合わせ、除数と呼ばれる数値で割って算出します。時価総額(企業の規模)ではなく株価の水準そのものが影響度を決めるため、株価の高い銘柄——いわゆる値がさ株——が動くと指数が大きく揺れます。株価2万円台の銘柄が10%動けば約2,000円分の変動、株価1,000円の銘柄が10%動いても100円分にすぎません。同じ「10%上昇」でも指数への影響は20倍違うわけです。

この、1銘柄が指数をどれだけ動かしたかを表す数値を寄与度と呼びます。30日の日経平均の上げ幅は433円でしたが、アドバンテスト1銘柄の寄与度は約660円。つまりこの銘柄を除けば指数はマイナスだった計算になります。実際、値下がり銘柄数は値上がりの倍近くあり、TOPIXも下落しました。

こうしたとき、市場の実態に近いのはどちらか、という問いに唯一の正解はありません。ただ、指数の騰落率だけを見て「今日は買われた」と受け取ると、実際に起きたことを取り違える場合があります。上昇・下落した銘柄の数、売買代金の規模、業種ごとの動きといった情報を合わせて見ると、値動きが市場全体のものなのか、ごく一部の銘柄に集中したものなのかを区別しやすくなります。


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