今夜(日本時間22:30〜)の米国市場の注目点を整理します。最大の焦点は日本時間30日3:00に公表される米FOMCの結果と、その30分後に始まるウォーシュFRB議長の記者会見です。引け後にはマイクロソフトとメタの決算も控えています。

指数(前営業日・7月28日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,747.32 +537.24(+1.03%)
S&P500 7,428.78 +15.60(+0.21%)
ナスダック総合 24,876.91 -55.17(-0.22%)
ナスダック100 27,763.13 -276.08(-0.98%)
東京市場(7月29日終値) 終値 前日比
日経平均 61,434.19円 -930.73(-1.49%)
TOPIX 3,974.03 +10.44(+0.26%)
参考 数値
フィラデルフィア半導体株指数(SOX、28日) 4.5%安
WTI原油9月限(28日終値) 79.08ドル(-1.17、-1.46%)
ドル円(29日 欧州市場20時) 163円66銭前後

何があった?

28日の米国市場は、指数によって方向が分かれる展開でした。NYダウは537ドル24セント高の5万2747ドル32セントと3日続伸し、S&P500も小幅ながら上昇。一方でナスダック総合は5日続落となりました。

上昇を支えたのは非ハイテクの決算組です。コカ・コーラが通期見通しの引き上げを受けて5%高、ボーイングも売上高が市場予想を上回り4.8%高となり、シャーウィン・ウィリアムズの上げも目立ちました。逆に売られたのが半導体で、SOX指数は4.5%安。インテル、AMD、マイクロン・テクノロジーが大きく下げています。格付け会社フィッチがAIへの大規模投資を主要な信用リスクになり得ると警告したことも、ハイテクの重荷として意識されました。買われるセクターと売られるセクターがはっきり分かれる、いわゆるローテーションの動きです。

29日のアジア時間には、この半導体売りがさらに強まりました。日経平均は930円73銭安の6万1434円19銭と大幅続落し、韓国のKOSPIでは取引時間中にサーキットブレーカーが発動しています。ただしTOPIXは小幅高で終えており、東京市場でも下げは半導体・AI関連に集中していました。

加えて中東情勢が動いています。米軍は中東駐留部隊に対するイランの「奇襲攻撃の試み」を迎撃したとXへの投稿で明らかにし、イランの支援を受けるイラクの民兵組織は2日連続でサウジアラビア東部の石油施設にドローン攻撃を実施したと伝えられました(サウジ国防省は28日に迎撃を発表)。緊張緩和期待から3営業日続落していた原油はアジア時間に反発し、WTIは一時5%近く上昇して1バレル=83ドル付近、ブレントも3%超上げて85ドルを突破する場面がありました。

米株価指数先物は、東京時間の朝に小幅安で推移した後、プレマーケットではダウ先物が0.32%安、S&P500先物が0.2%高、ナスダック100先物が0.22%高と、方向感の定まらない動きとなっています。

今夜の注目ポイント

  • FOMCの結果は日本時間30日3:00 — 政策金利は3.50〜3.75%での据え置き予想が優勢です。ただしCMEのフェドウォッチでは据え置き70.6%に対し0.25%利上げが29.4%と、3割近い確率で利上げが織り込まれています。声明でどれだけの委員が利上げを主張したかにも関心が集まりそうです。
  • ウォーシュFRB議長の記者会見は30日3:30 — 為替市場では、明確なフォワードガイダンスは示されにくいとの見方が出ています。結果そのものより会見の言い回しで相場が動く場面は珍しくありません。
  • 引け後にマイクロソフトとメタ — 今夜の決算では、寄り前にP&Gやバイオジェン、引け後にマイクロソフト、メタ、クアルコムが発表を予定しています。市場の関心は、マイクロソフトのAzureの成長率とAI関連の設備投資計画、そしてメタの広告事業がAI投資に見合う成果を示せるかに集まっています。AIへの過剰投資が警戒されている局面だけに、数字よりも投資計画のトーンが受け止められ方を左右しやすい状況です。
  • 原油在庫と住宅ローン — 米エネルギー情報局(EIA)の週間石油在庫統計は日本時間23:30発表で、原油在庫は70万バレルの増加が見込まれています。MBA住宅ローン申請指数は20:00に発表済みです。
  • ドル円は163円台後半で膠着 — 29日の欧州市場20時時点で163円66銭前後と、17時時点(163円68銭)からほぼ横ばい。日中の東京市場では株安を受けたリスク回避の円買いで163円30銭まで下げる場面もありました。FOMCの結果待ちで動きにくい状態が続いています。

ひとこと解説

ニュースでよく見る「市場は据え置きを70%織り込んでいる」という表現は、誰かが予想を集計したアンケートではありません。金利先物の値段から逆算した確率です。

米国では、政策金利(フェデラルファンド金利)そのものを対象にした先物が取引されています。この先物の価格は、参加者が実際にお金を出して売買した結果として決まります。もし多くの参加者が利上げを見込めば先物価格はそれを反映して動き、そこから「利上げが起きると仮定した場合の金利水準」と「据え置きの場合の水準」のどちらに近いかを計算できます。CMEグループが公表するFedWatch(フェドウォッチ)ツールは、この計算を確率の形で示したものです。

大事なのは、これが予測の的中率ではなく、市場が現時点でどちらにどれだけ賭けているかの縮図だという点です。だから「70%据え置き」は「70%の確率で当たる予想」ではなく、「据え置きを前提にしたポジションがそれだけ積み上がっている」と読むほうが実態に近くなります。

この見方をすると、相場が結果にどう反応しやすいかも整理できます。すでに広く織り込まれている結果が出ても、値動きは限られやすい。逆に3割しか見込まれていなかったほうが実現すると、ポジションの巻き戻しを伴って大きく動くことがあります。「何が起きたか」だけでなく「どれだけ想定されていたか」を合わせて見ると、発表直後の値動きの大きさを理解しやすくなります。


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