28日の米国市場は、ダウ工業株30種平均が537ドル高で史上最高値を更新する一方、ナスダック総合株価指数は5日続落と、指数によって方向が分かれました。決算と原油安が支えとなった銘柄群と、売りが続く半導体株が正反対に動いた一日です。

指数(7月28日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,747.32 +537.24(+1.03%)
S&P500 7,428.78 +15.60(+0.21%)
ナスダック総合 24,876.91 -55.17(-0.22%)
SOX(フィラデルフィア半導体株指数) 11,035.68 -519.20(-4.49%)
参考 水準 前日比
日経225先物(9月限、29日2:00) 62,850円 +450円

何があった?

28日の米国市場を動かしたのは、決算と原油安による押し上げと、続く半導体売りという2つの力です。

上げを主導したのは決算銘柄でした。コカ・コーラは売上高・利益がともに市場予想を上回り通期見通しを引き上げたことで約5%高となり、株価は史上最高値を更新。ボーイングは経営再建計画の進展でフリーキャッシュフローが黒字に転じたことが伝わり4.8%高となりました。塗料大手のシャーウィン・ウィリアムズも好決算で買われています。あわせて、中東やウクライナをめぐる緊張緩和の観測から原油価格が約4%下落し、WTI原油先物は1バレル79ドル台となりました。エネルギーコストの低下は幅広い業種にとって負担軽減につながるため、これも支援材料と受け止められています。

ダウ平均の終値52,747.32ドルは、これまでの過去最高値を上回る水準です。ダウは決算銘柄や景気敏感株の比重が高い構成で、AI・半導体の変動から相対的に距離があることが、この日の明暗を分けました。

一方で半導体株の下落は3営業日連続です。SOX指数は取引時間中に一時6%を超えて下げ、終値でも4.49%安。マイクロン・テクノロジーやAMDの下げが目立ちました。背景にあるのは、AIへの過剰投資への警戒と、中国勢の半導体・AI分野での台頭に関する一連の報道です。ナスダック総合は4月下旬以来の安値水準まで下げました。

個別では、アップルの時価総額が取引時間中に一時5兆ドルを突破しました。5兆ドル超えはエヌビディアに続き史上2社目です。株価は約1%高の340.08ドルで、30日には決算発表を控えています。

経済指標では、コンファレンスボードが発表した7月の米消費者信頼感指数が90.8となり、市場予想の92.0を下回りました。6月分は91.2から92.2へ上方修正されています。現況指数は3カ月連続の低下で、現在の景況感と雇用環境に対する見方がともに軟化したと説明されています。

今日の東京市場の注目点

  • 前日の急落からの反動 — 28日の東京市場は日経平均株価が2,566円安(-3.95%)と大幅反落し、約2カ月ぶりの安値をつけました。29日午前2時時点の日経225先物(9月限)は62,850円と、前日比450円高・28日の現物終値比では485円高の水準で推移していました。
  • 半導体関連とそれ以外の綱引き — 米国市場でダウが最高値を更新する一方でSOX指数が続落したという構図は、東京市場でも業種による差が出やすい形です。28日は日経平均の下落率(3.95%)がTOPIX(2.52%)より大きく、下げが半導体・AI関連に集中していました。
  • FOMCの結果は30日未明 — 政策金利の発表は日本時間30日3:00、ウォーシュFRB議長の記者会見は同3:30です。市場が織り込む据え置きの確率は71%と伝えられています。結果が出るまでは動きにくい時間帯が続きます。
  • 日銀会合は30〜31日 — 日銀の金融政策決定会合は明日から2日間の日程です。ドル円は28日の東京市場で1ドル=163円台での推移が続いており、日米の金融政策が相次いで示される日程を控えています。
  • 国内は決算発表が本格化 — 29日は64社が決算発表を予定しています。国内では7月の月例経済報告の発表があり、権利付き最終売買日にもあたります。米国では日本時間今夜から明朝にかけてマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、クアルコム、ラム・リサーチ、スターバックス、アーム・ホールディングス、SKハイニックスなどの決算が予定されています。

ひとこと解説

今回のように「ダウは最高値、ナスダックは続落」という日は、株価指数の作り方の違いを知っておくと理解しやすくなります。

ダウ工業株30種平均は、米国を代表する30銘柄で構成される指数です。銘柄数が少なく、株価の高い銘柄ほど指数への影響が大きくなる「株価平均型」という計算方法をとっています。構成銘柄には消費財、金融、資本財など伝統的な業種が幅広く含まれます。

一方、ナスダック総合株価指数はナスダック市場に上場する数千銘柄を対象とし、時価総額の大きい銘柄ほど影響が大きい「時価総額加重型」です。ハイテク企業の比重が高いことが特徴で、半導体やソフトウエアの動きが指数全体を左右しやすくなります。SOX指数はさらに対象を絞り、半導体関連の主要銘柄で構成される指数です。

つまり同じ「米国株」でも、指数ごとに映している範囲が違います。28日のように特定の業種だけが売られる日は、指数の方向が食い違うことがあります。ニュースで「米国株は上昇」「米国株は下落」という表現を見たときは、どの指数の話なのかを確認すると、実際に何が起きていたのかが見えやすくなります。


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