今夜(日本時間22:30〜)の米国市場の注目点を整理します。28日はアジア市場で半導体株の売りが連鎖し、韓国KOSPIが10%を超える急落、日経平均株価も2566円安と大幅反落しました。今夜から米FOMCが始まり、7月の消費者信頼感指数と大型決算も控えます。

東京市場(7月28日終値) 終値 前日比
日経平均 62,364.92円 -2,566.27(-3.95%)
TOPIX 3,963.59 -102.48(-2.52%)
JPXプライム150 1,658.55 -38.47(-2.27%)
指数(前営業日・7月27日終値) 終値 前日比
NYダウ 52,210.08 +262.83(+0.51%)
S&P500 7,413.18 +1.20(+0.02%)
ナスダック総合 24,932.08 -43.74(-0.18%)
ナスダック100 28,039.21 -89.13(-0.32%)
株価指数先物(28日 東京時間13:30) 水準 前日比
S&P500先物 7,430.50 -17.75
NASDAQ100先物 27,973.25 -216.75

何があった?

28日のアジア市場を揺らしたのは、半導体株の急落の連鎖でした。

きっかけは27日に伝わった報道です。上海に拠点を置く中国の国有企業が、複数のDUV(深紫外線)露光装置の開発チームを統合し、国産の液浸DUV露光装置の少量生産を開始したと報じられました。2026年に5台、2027年に20台の出荷を計画し、SMICや華虹半導体、CXMTへの納入・検証が想定されているとされています。この報道を受けて、露光装置で圧倒的なシェアを持つASMLの株価がアムステルダム市場で急落。米国市場でも半導体製造装置株に売りが広がり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3日続落となりました。

流れが増幅されたのが28日の韓国市場です。KOSPIは寄り付き直後にプログラム売りを一時停止する「売りサイドカー」が発動し、その後10時以降にサーキットブレーカーが発動して売買が20分間停止しました。終値は前日比10.84%安の6,023.63。サムスン電子が13.39%安、SKハイニックスが14.65%安と、メモリー大手2社が下げを主導しました。中国のメモリーメーカーCXMTの生産能力増強がDRAMのシェア競争を厳しくするとの警戒が、売り材料として挙げられています。

東京市場もこの流れをまともに受けました。日経平均の下げ幅は一時3000円を超え、終値は2566円27銭安の6万2364円92銭と約2カ月ぶりの安値。キオクシアホールディングスが18.33%安の4万4550円でストップ安、アドバンテストも16%を超える下落となり、東京エレクトロンやイビデン、レーザーテックなど半導体関連が軒並み売られました。一方でコナミグループや任天堂、中外製薬、第一三共は上昇しており、TOPIXの下落率(2.52%)が日経平均(3.95%)より小さかったことからも、下げが半導体・AI関連に集中していたことがうかがえます。

つまり今夜の米国市場は、「アジアで起きた半導体売りをどこまで引き継ぐか」と「FOMC初日で動きにくい」という2つの力が交錯する中で始まります。米株価指数先物は28日の東京時間13:30時点でナスダック100先物が216.75ポイント安と、下げを織り込む形で推移していました。

今夜の注目ポイント

  • FOMCが今夜スタート — 米連邦公開市場委員会は28〜29日の日程で、結果判明は29日(日本時間30日未明)です。政策金利は3.50〜3.75%での据え置き予想が優勢ですが、年内の利上げ観測は根強く残っています。初日は材料が出ないぶん、積極的なポジションが取りにくい日でもあります。
  • 7月の消費者信頼感指数(日本時間23:00) — 今夜最大の指標です。コンファレンスボードが発表する7月分の市場予想は92.3で、6月の91.2からの小幅改善が見込まれています。同22:00にはS&Pケース・シラー住宅価格指数(5月、予想+1.14%)とFHFA住宅価格指数(5月、予想-0.1%)、21:30には6月の卸売在庫(予想+0.1%)が発表されます。
  • 大型決算が集中 — ビザ、コカ・コーラ、ボーイング、UPS、フォード・モーター、ペイパル、コーニング、ヒルトン、GSKに加え、半導体関連ではKLA、テラダイン、シーゲイト、欧州のNXPセミコンダクターズが発表を予定しています。半導体売りが続いている局面だけに、装置・メモリー各社の内容と見通しへの関心は高まりやすい状況です。
  • 米7年国債入札とドル円 — 今夜は7年債の入札があります。ドル円は28日9時時点で1ドル=163円78銭前後と、前日17時比26銭のドル高・円安。FOMCと日銀会合(30〜31日)を控え、方向感の出にくい展開が続いています。
  • 市場の見方 — 国内の市場情報会社からは、売り一巡後は様子見に転じ大幅安は回避されるのではないか、との見方も出ています。ただしこれは観測であり、実際の値動きは指標や決算の内容次第です。

ひとこと解説

今日のニュースに出てきたサーキットブレーカーストップ安は、どちらも「相場が急変したときに、いったん落ち着かせるための仕組み」です。ただし対象が違います。

サーキットブレーカーは市場全体を止める仕組みです。韓国取引所では、指数が前日比で一定幅を超えて下落した状態が1分間続くと発動し、全銘柄の売買を20分間停止します。28日のKOSPIではこれが実際に作動しました。米国のS&P500にも同様の制度があり、日本では先物・オプション市場に導入されています。狙いは、パニック的な注文が次の売りを呼ぶ連鎖を物理的に断ち切り、投資家に情報を確認する時間を与えることです。

ストップ安は個別銘柄に対する仕組みで、日本では「値幅制限」と呼ばれます。1日に動ける値幅が株価水準ごとにあらかじめ決まっており、その下限まで下げた状態がストップ安です。28日のキオクシアホールディングスがこれに当たります。下限に張り付くと売り注文に買いが追いつかず、取引が成立しにくくなります。

どちらも共通するのは、下落そのものを止める仕組みではないという点です。取引を一時停止したり値幅を区切ったりすることで時間を稼ぐだけで、需給の不均衡が解消されなければ、翌日以降に持ち越されることもあります。制度が発動したという事実は「相場が急変した」ことのサインとして受け止めるのが自然で、それ自体が方向感を示すものではありません。


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