今週(10月26日〜30日)の東京株式市場を振り返ります。週の前半は米アンソロピックのIPO申請をきっかけに半導体株が買い戻され、日経平均は27日から3日続けて上がりました。ところが金曜は、米国の大手ハイテク企業の決算でAI投資への心配が再び強まり、1,369円安と大きく下げています。それでも週間では596円95銭高と、3週ぶりの上昇で終えました。まずは数字から見ていきます。

日付 日経平均終値 前営業日比 TOPIX終値 前営業日比
10/26(月) 62,189.65円 -503.51(-0.80%) 3,972.98 +7.17(+0.18%)
10/27(火) 63,268.37円 +1,078.72(+1.73%) 3,997.37 +24.39(+0.61%)
10/28(水) 63,954.19円 +685.82(+1.08%) 3,991.71 -5.66(-0.14%)
10/29(木) 64,659.47円 +705.28(+1.10%) 4,003.28 +11.57(+0.29%)
10/30(金) 63,290.11円 -1,369.36(-2.12%) 3,965.07 -38.21(-0.95%)

前週末(10月23日)の終値と比べると、日経平均は62,693円16銭から596円95銭高い63,290円11銭(+0.95%)、TOPIXは3,965.81から3,965.07へ**0.74ポイント安(-0.02%)**と、ほぼ横ばいでした(週間の値幅と騰落率は、各日の終値から当サイトで計算しました)。日経平均が上がった一方でTOPIXが横ばいだったのは、日経平均への影響が大きい半導体関連の値がさ株が、週を通じて相場を動かしたためです。

米国市場の週間騰落 10月23日終値 10月30日終値 週間の変化
NYダウ工業株30種 52,215.16ドル 51,770.31ドル -444.85(-0.9%)
S&P500種株価指数 7,623.68 7,580.07 -43.61(-0.6%)
ナスダック総合指数 25,955.34 25,437.00 -518.34(-2.0%)
ラッセル2000(小型株) 2,775.90 2,811.84 約+36(+1.3%)
米国市場の日々の終値 NYダウ S&P500 ナスダック総合
10/26(月) 52,361.58(+146.42) 7,676.77(+53.09) 26,169.38(+214.04)
10/27(火) 52,377.57(+15.99) 7,722.60(+45.83) 26,477.81(+308.43)
10/28(水) 52,475.10(+97.53) 7,743.98(+21.38) 26,549.85(+72.04)
10/29(木) 52,342.56(-132.54) 7,720.39(-23.59) 26,184.73(-365.12)
10/30(金) 51,770.31(-572.25) 7,580.07(-140.32) 25,437.00(-747.73)
年初来騰落(10月30日時点) 騰落率
ラッセル2000 +13.3%
S&P500種株価指数 +10.7%
ナスダック総合指数 +9.4%
NYダウ +7.7%

何があった?

週明けは3日続落、TOPIXは小幅高。 26日(月)の日経平均は、AIビジネスの将来性への心配から半導体株が売られて503円安となり、約3カ月ぶりの安値を更新しました。一方で商社株や資源株が買われ、TOPIXはわずかに上がっています。

アンソロピックのIPO申請で半導体株に買い戻し。 26日、対話型AI「Claude」を開発する米アンソロピックが、新規株式公開(IPO)の目論見書を米当局に提出しました。AI分野の成長への期待から同日の米国市場では3指数がそろって上がり、27日(火)の日経平均は1,078円高と4日ぶりに大きく反発して6万3,000円台を取り戻しました。28日(水)も半導体関連株に海外の投資家の買いが入り、685円高と続伸しています。

アドバンテストの上方修正で3日続伸。 29日(木)は、業績予想を引き上げたアドバンテストが買われ、日本経済新聞によると同社だけで日経平均を約450円押し上げました。日経平均は705円高の6万4,659円と3日続けて上がり、東証プライムの売買代金は約13兆8,657億円と約4カ月ぶりの多さでした。米国では28日(日本時間29日未明)にFOMCが政策金利の据え置きを決めています。

米ハイテク決算でAI投資への心配が再燃。 29日の米国市場では、決算を発表したアルファベットが12%安となり、ナスダック総合指数は1.38%下げました。同日の取引終了後にはアマゾンとインテルが決算を発表し、時間外取引で大きく売られています。30日(金)の東京市場では半導体関連株に売りが集まり、日経平均は一時1,900円を超えて下げ、終値は1,369円安でした。日経によると、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループ、イビデンの4銘柄で1,100円あまり押し下げています。ただ東証プライムでは値上がり銘柄(807)のほうが値下がり銘柄(714)より多く、不動産や小売り、医薬品などは買われました。

日銀は金利を据え置き、ETFの売却ペースは引き上げ。 日銀は30日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度に据え置きました(賛成8・反対1)。日経によると、基調的な物価の上昇率が目標の2%と「おおむね整合的な水準」になったと表明し、今後も利上げを続ける方針を示しています。保有するETFの売却ペースは、2027年1月から年間8,600億円程度(買ったときの価格ベース)に引き上げると決めました。

金曜の米国はインテルが約29%安、S&P500は6月以来の大幅安。 30日の米国市場では、10〜12月期の見通しが市場予想を下回ったインテルが約29%下げました。AP通信によると、1974年以来の大きな下げです。アマゾンの決算もAIへの巨額投資を改めて意識させ、ハイテク株に売りが広がりました。ナスダック総合指数は2.86%安、S&P500は1.82%安と、APによるとS&P500は6月以来の大きな下げになっています。週間ではナスダックが2.0%安、S&P500が0.6%安、ダウが0.9%安で、小型株のラッセル2000だけが1.3%高でした。

注目ポイント

  • 10月の月間成績は明暗。 米ヤフーファイナンスによると、10月の月間ではダウが約1.5%上がった一方、S&P500は約1.2%、ナスダックは約5.2〜5.3%下げました。ナスダックの下げは2025年3月以来の大きさです。10月にS&P500の業種別で下げたのは、テクノロジーと通信サービスの2つだけだったと伝えられています。

  • 米国の金利は低下。 米ヤフーファイナンスによると、30日の米10年債利回りは4.93%前後と前日から0.06ポイント下がりました。株が売られるなかで、比較的安全とされる国債が買われた形です。FOMCは今週金利を据え置きましたが、市場では12月の利上げ再開を見込む声も多いと伝えられています。

  • 原油は100ドル台が続く。 WTI原油先物(12月限)は30日に1バレル102ドル台で取引を終えました。中東情勢をめぐる不透明感から、今週も100ドル前後での推移が続いています。

  • 週明けの半導体株。 金曜の米国でインテルが大きく下げ、ナスダックも約3%下げたことで、週明けの東京市場でも半導体関連株の動きに関心が集まりそうです。AIへの投資の大きさと、それに見合う利益が出るのかという点が、引き続き相場の焦点になっています。

ひとこと解説

「目論見書」ってなに? 会社が株式を新しく売り出すときに、投資家に向けて作る説明書のことです。事業の内容、売上や利益といった業績、リスク、集めたお金の使い道などがまとめられています。米国ではIPOの前に当局(米証券取引委員会)へ提出し、公開されるのが一般的です。

今週は、アンソロピックの目論見書の提出が報じられたことで、AI分野の成長への期待が意識され、関連する株にまで買いが広がりました。ただ、IPOの申請は上場に向けた手続きの一つで、上場の時期や価格は、その後の手続きや市場の状況によって決まります。

出典