15日(木)夜の米国市場は、日本時間21時30分に一斉に発表された経済指標を受けたスタートになります。9月の生産者物価指数(PPI)は前月比1.3%の上昇と、市場予想の0.5%を大きく上回りました。きのうの消費者物価指数(CPI)に続いて物価指標が上振れたことで、追加利上げへの警戒がさらに強まるかが焦点です。

14日(水)の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 51,621.48ドル -48.62(-0.09%)
S&P500種株価指数 7,718.94 -86.51(-1.11%)
ナスダック総合指数 26,692.87 -511.51(-1.88%)
15日21時30分発表の米経済指標 結果 市場予想 前回
9月PPI(最終需要)・前月比 +1.3% +0.5% +0.4%
9月PPI・前年同月比 +6.3% +5.3% +5.4%
9月PPIコア(食品・エネルギー除く)・前月比 +0.7% +0.3% —
9月PPIコア・前年同月比 +5.0% +4.4% +4.6%
9月小売売上高・前月比 +0.8% +0.3% +1.3%(改定)
9月小売売上高(自動車除く)・前月比 +0.9% +0.5% —
新規失業保険申請件数(10月10日までの週) 19万9,000件 — 19万8,000件(改定)
10月NY連銀製造業景気指数 25.5 12.5 7.6
10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 20.9 26.8 37.8

※市場予想はみんかぶ FX/為替の集計。

15日発表の主な決算(7〜9月期) 結果
チャールズ・シュワブ 調整後1株利益1.69ドル(予想1.66ドル)、売上高71億7,000万ドルで過去最高
PNCファイナンシャル 純利益20億9,700万ドル、1株利益4.97ドル、売上高は前年比11%増
TSMC(台湾、日本時間15日午後) 純利益7,630億台湾ドル(前年比68.7%増)、10〜12月期の売上高見通し523億〜543億ドル

何があった?

卸売りの物価が急上昇。 米労働統計局によると、9月のPPI(最終需要)は前月比1.3%上昇し、2022年3月以来の大きな伸びとなりました。前年同月比でも6.3%と、2022年12月以来の高い伸びです。モノの価格は前月比2.6%上がり、統計を始めた2009年12月以来の最大の上げ幅でした。その大部分はエネルギー(10.8%上昇)によるもので、なかでもガソリンは20.3%上がっています。一方で卵の価格は39.7%下がりました。食品とエネルギーを除いたコアも前月比0.7%と、予想の0.3%を上回っています。

消費は強い数字。 米商務省が発表した9月の小売売上高は7,450億ドルで、前月比0.8%増と予想(0.3%増)を上回りました。8月分も1.1%増から1.3%増へ上方修正されています。ただし、自動車とガソリンを除いた売上高は前月比0.2%増にとどまっており、ガソリン価格の上昇が売上高を押し上げた面もありそうです。

雇用は落ち着き、製造業景況感はまちまち。 新規失業保険申請件数は19万9,000件と、前週から1,000件の増加にとどまり、低い水準が続いています。製造業の景況感では、NY連銀の指数が25.5と9月の7.6から大きく改善した一方、フィラデルフィア連銀の指数は20.9と9月の37.8から低下し、予想も下回りました。

取引開始前は半導体株に売り。 指標の発表前の時点で、株価指数先物はダウが小幅高、ナスダック100が1%前後の下げと、まちまちの動きでした。TSMCは7〜9月期に過去最高の利益を発表しましたが、AI向け投資の資金調達への不安から、時間外取引ではマイクロン・テクノロジーやエヌビディア、AMDなど半導体株が下げたと伝わっています。

金融大手の決算も続く。 チャールズ・シュワブは調整後1株利益が予想を上回り、売上高は過去最高でしたが、予想はわずかに下回りました。PNCは前年同期から増収増益です。取引終了後にはインタラクティブ・ブローカーズやJBハント・トランスポートの決算が予定されています。

注目ポイント

  • 2日続いた物価の上振れを市場がどう受け止めるか。 CPIに続きPPIも予想を大きく上回りました。10月27〜28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での追加利上げをどこまで織り込むか、米国債利回りの動きに注目が集まります。

  • ハイテク・半導体株の行方。 きのうはナスダックが1.88%下げ、きょうの東京市場でも日経平均が3,318円安となりました。TSMCの好決算が、売られてきた半導体株の支えになるのか、それとも金利上昇への警戒が勝つのかが見どころです。

  • 消費の強さは追い風か、重荷か。 小売売上高の強さは景気が底堅いことを示す一方、物価が下がりにくいことにもつながります。「景気が良い=株にプラス」と単純には受け止められない局面になっています。

ひとこと解説

「PPI」と「CPI」はどう違うの? CPI(消費者物価指数)は、私たち消費者がお店で買うモノやサービスの値段の動きを表します。これに対してPPI(生産者物価指数)は、企業どうしの取引の段階での値段、いわば「卸売りの値段」の動きを表す指標です。

企業が仕入れる原材料や燃料の値段が上がると、その分は時間をおいて商品の値段に上乗せされやすくなります。そのため、PPIはこの先のCPIの動きを占う「先行指標」として見られることがあります。今回のようにPPIが大きく上がると、「物価の上昇はまだ続くのでは」と受け止められやすくなります。

出典