29日(火)夜の米国市場は、株価指数先物が小幅高の状態で取引開始を迎えます。前日は米10年債利回りが2007年以来の高水準に上がったことで3指数そろって下げましたが、今夜は原油と金利がそろって一服しており、ハイテク株を中心に買い戻しが入っています。

28日(月)の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 51,481.51ドル -347.11(-0.67%)
S&P500種株価指数 7,683.69 -59.72(-0.77%)
ナスダック総合指数 26,820.38 -248.34(-0.92%)
29日の米株価指数先物(日本時間の夕方〜夜) 前日比
NYダウ先物 -0.1〜+0.2%前後
S&P500先物 0〜+0.2%前後
ナスダック100先物 +0.1〜+0.4%前後

※先物は参照する時刻によって水準が変わるため、複数の報道でおおむね一致した範囲を示しています。

29日の原油・金利(日本時間の夕方〜夜) 水準
WTI原油先物(11月限・20時57分時点) 1バレル=91.13ドル(-1.47ドル、-1.59%)
北海ブレント原油先物 1バレル103ドル台(-1%強)
米10年債利回り 5.21%前後(前日は5.24%前後で終了)

何があった?

原油は昼間の上昇から一転して下落。 WTI原油の時間外取引は、東京時間の昼過ぎには94ドル台まで上がっていましたが、夜にかけて売られ、一時91ドルを割り込みました。報道によると、米国とイランの当局者は28日に仲介役を通じた間接的な協議をそれぞれ行っており、国連総会でニューヨークを訪れているイランのアラグチ外相は、停戦案とホルムズ海峡の通航再開の条件について米国側の回答を待っていると述べています。合意への期待が原油の売りにつながった形ですが、中東をめぐる報道で値動きが大きく振れやすい状況は続いています。

米金利もやや低下。 原油安を受けて米国債が買い戻され、米10年債利回りは5.21%前後と前日の水準からやや下がりました。30年債利回りも5.54%前後に低下しています。前日は金利の上昇が株式の重荷となっただけに、先物は金利の一服を好感してナスダック100を中心に上げています。

AMDがAI新興企業を82億ドルで買収。 AMDは、AI研究者のフェイフェイ・リー氏が創業したWorld Labs(ワールド・ラボ)を、株式交換により82億ドルで買収すると発表しました。World Labsは画像や文章から3Dの仮想空間を作るなど、現実の空間を理解するAIモデルを開発しています。リー氏はAMDの最高科学責任者に就く予定で、買収は年内の完了を見込んでいます。AMDは時間外取引で1%前後上げています。

エヌビディアは続伸の動き。 前日に1500億ドルの自社株買い枠の追加を発表したエヌビディアは、時間外取引でも小幅に上げています。30日に決算を控えるマイクロン・テクノロジーなど、メモリー関連株も時間外で上昇しています。

注目ポイント

  • 23時の雇用・消費の指標。 日本時間23時に8月のJOLTS求人件数(市場予想722万5000件、前回727万1000件)と、9月のコンファレンスボード消費者信頼感指数(市場予想89前後、前回89.4)が発表されます。労働市場や消費の強さは、FRBの利上げの見通しを通じて金利の動きに影響しやすい材料です。

  • FRB高官の講演が相次ぐ。 日本時間の深夜から翌朝にかけて、ボウマン副議長(24時)、バー理事(30日1時30分)、グールズビー・シカゴ連銀総裁(2時)、ムサレム・セントルイス連銀総裁(2時30分)、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(3時)、ウォーラー理事(4時)の発言機会が予定されています。10月の会合での追加利上げについて何が語られるかに関心が集まりそうです。

  • カーニバルの決算。 クルーズ船大手のカーニバルが取引開始前に6〜8月期の決算を発表する予定です。燃料費のヘッジ(価格変動への備え)をしていないとされ、原油高の影響がどこまで通期の見通しに表れるかが焦点とされています。

  • 月末・四半期末を前に。 30日は9月と7〜9月期の最終営業日です。30日には8月のPCE物価指数やマイクロンの決算、10月2日(金)には9月の雇用統計が控えており、週の後半にかけて材料が続きます。

ひとこと解説

「JOLTS(ジョルツ)」ってなに? 米労働省が毎月発表する「求人・労働異動調査」の略称で、企業がどれだけ人を募集しているか(求人件数)や、どれだけの人が自分から仕事を辞めたか(自発的離職)などをまとめた統計です。

求人件数が多いほど企業の人手不足が強く、賃金が上がりやすい状態と受け止められます。賃金の上昇は物価の上昇につながりやすいため、FRBが金利を決めるときの材料の一つとして注目されています。金曜の雇用統計が「実際に何人雇われたか」を示すのに対し、JOLTSは「どれだけ人を求めているか」という需要の側を映す指標です。なお、JOLTSは雇用統計より1か月前のデータ(今回は8月分)である点にも注意が必要です。

出典