17日の東京株式市場は日経平均株価が5日続伸し、前週末比506円45銭(0.74%)高の6万9220円25銭で取引を終えました。朝方発表された4〜6月期の実質GDP速報値が年率1.1%増と民間予測に届かず、午前中の日経平均はほぼ横ばいで推移しましたが、後場にかけてAI・半導体関連への買いが強まり、大引けにかけて上げ幅を広げています。一方でTOPIX(東証株価指数)は13.09ポイント(0.31%)安の4184.11と9営業日ぶりに反落し、値下がり銘柄が全体の57%を占めました。指数の上昇と市場全体の値動きが逆を向いた一日です。
| 東京市場(8月17日終値) | 終値 | 前営業日比 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 69,220.25円 | +506.45(+0.74%) |
| TOPIX | 4,184.11 | -13.09(-0.31%) |
| 日中の推移(8月17日) | 日経平均 | 前営業日比 |
|---|---|---|
| 寄り付き | 68,882.06円 | +168.26 |
| 午前の高値圏 | 69,100円前後 | +400円近く |
| 午前終値 | 68,721.44円 | +7.64(+0.01%) |
| 14時ごろ | 68,949.89円 | +236.09 |
| 大引け | 69,220.25円 | +506.45(+0.74%) |
| 東証プライムの売買動向(8月17日) | 数値 |
|---|---|
| 売買代金 | 8兆9,492億円 |
| 出来高 | 20億9,249万株 |
| 値上がり銘柄 | 全体の40% |
| 値下がり銘柄 | 全体の57% |
| 上昇した業種 | 非鉄金属、海運業、ガラス・土石製品など |
| 下落した業種 | パルプ・紙、医薬品、卸売業など |
| (参考)午前終値時点の売買代金 | 3兆9,336億円 |
| (参考)午前終値時点の値上がり/値下がり | 675/823(変わらず57) |
| 4〜6月期GDP速報値(8月17日発表・内閣府) | 数値 |
|---|---|
| 実質GDP 前期比 | +0.3% |
| 実質GDP 年率換算 | +1.1%(3四半期連続プラス) |
| 市場予想(QUICK集計の中心値) | 年率+2.2% |
| 名目GDP 前期比 | +1.2% |
| 名目GDP 年率換算 | +4.8% |
| 名目GDP 実額(年換算) | 687兆7,182億円 |
| 個人消費 | -0.02%(8四半期ぶりのマイナス) |
| 設備投資 | -1.2%(2四半期連続のマイナス) |
| 住宅投資 | -0.5%(3四半期ぶりのマイナス) |
| 政府支出 | +1.6% |
| 輸出/輸入 | +0.5%/-1.5% |
| 内需寄与度/外需寄与度 | -0.2ポイント/+0.5ポイント |
| GDPデフレーター(前年同期比) | +2.6% |
| 為替(8月17日) | 水準 |
|---|---|
| ドル円(10時) | 159円01〜02銭 |
| ドル円(14時台) | 159円10銭前後 |
| ユーロドル(14時台) | 1.1580ドル台 |
| 外為どっとコムの本日予想レンジ | 158.600〜160.000円 |
何があった?
GDPは3四半期連続のプラスだったが、事前予想には届かなかった — 内閣府が17日朝に発表した4〜6月期の実質GDP速報値は前期比0.3%増、年率換算で1.1%増でした。日本経済新聞によると、QUICKが集計した民間予測の中心値は年率2.2%増で、実績はこれを下回っています。共同通信も民間予測の中央値である年率2.0%増に届かなかったと伝えており、複数の集計いずれとの比較でも下振れした形です。プラス成長そのものは3四半期続いており、共同通信はガソリン補助金などの物価高対策が景気を下支えしたと伝えていますが、成長の勢いは市場が想定していたほどではありませんでした。
GDPの中身は「個人消費のマイナス」が目立った — 日本経済新聞によると、GDPの半分を占める個人消費は前期比0.02%減と8四半期ぶりのマイナスに転じました。共同通信は、4月にたばこの値上げがあったことと、高校授業料の無償化が広がって授業料の支出が減ったことを要因に挙げています。授業料の無償化は家計の支出を減らす一方で政府支出を増やすため、政府支出は1.6%増となりました。企業の設備投資は1.2%減と2四半期連続のマイナスで、日本経済新聞によると生産用機械は増えたものの研究開発サービスが減っています。住宅投資も0.5%減でした。輸出が0.5%増、輸入が1.5%減となった結果、外需の寄与度はプラス0.5ポイントと3四半期連続のプラス、内需の寄与度はマイナス0.2ポイントと3四半期ぶりのマイナスです。成長率を支えたのは国内需要ではなく、輸入の減少を通じた外需だったことになります。
午前中の日経平均はほとんど動かなかった — 財経新聞によると、日経平均は168円26銭高の6万8882円6銭で寄り付きました。日本経済新聞によると、その後は業績拡大への期待が高いAI・半導体関連への買いで一時400円近く上昇して6万9100円前後まで買われる場面がありましたが、利益確定売りに押されて200円以上下落する局面もあり、午前終値は7円64銭(0.01%)高の6万8721円44銭とほぼ前週末の水準に戻っています。TOPIXの午前終値は25.05ポイント(0.60%)安の4172.15と、この時点ですでに反落していました。午前の売買代金は3兆9336億円、値上がり675銘柄に対して値下がりは823銘柄で、指数の横ばいの裏では売られる銘柄のほうが多い状態でした。
後場は半導体関連が指数を引き上げた — 日本経済新聞によると、14時時点の日経平均は6万8949円89銭と6万8900円台で推移し、キオクシアホールディングスが6万円台を回復するなどAI・半導体関連への買い意欲が旺盛でした。アドバンテスト、ソフトバンクグループ、東京エレクトロンも上昇しています。株式新聞によると、後場のプラス寄与上位にはアドバンテスト、キオクシア、ソフトバンクグループが並びました。時事通信は、半導体関連など値がさのハイテク銘柄への見直し買いが続いて日経平均を押し上げたと伝えています。半面、日本経済新聞によるとファーストリテイリング、KDDI、ソニーグループなどは戻り待ちや利益確定の売りに押され、午前はファーストリテイリング、KDDI、日東電工が下落しました。日本経済新聞は今日の相場について、好調な企業業績への期待とインフレの加速も支えになったと伝えています。
業種別でも明暗が分かれた — 時事通信によると、東証プライムの出来高は20億9249万株、売買代金は8兆9492億円でした。値上がり銘柄は全体の40%にとどまり、値下がりは57%です。業種別では非鉄金属、海運業、ガラス・土石製品などが上昇した一方、パルプ・紙、医薬品、卸売業などが下落しました。
円相場は159円台前半で推移した — 日本経済新聞によると、17日10時の円相場は1ドル=159円01〜02銭でした。みんかぶFXによると14時台のドル円は159円10銭前後、ユーロドルは1.1580ドル台での推移です。外為どっとコムは、先週の米経済指標がFRBの早期利上げを裏付ける内容ではなく年内利上げ観測が後退している一方、ロイターの報道として日銀が早ければ9月17〜18日の金融政策決定会合で1.25%への利上げを想定しているとの見方を紹介しています。同社の本日の予想レンジは158円60銭〜160円00銭でした。
注目ポイント
指数の上昇と体感のずれが今日の相場の特徴です。 日経平均は506円高でしたが、値上がり銘柄は全体の4割にとどまり、TOPIXは9営業日ぶりに反落しました。日経平均は株価の高い銘柄(値がさ株)の影響を強く受けるため、アドバンテストやキオクシア、東京エレクトロンといった一部の銘柄が上がるだけで指数が大きく動きます。大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは日本経済新聞に対し、TOPIXのほうが今日の日本株全体の動きを表していると感じると述べています。「日経平均が上がった日=多くの銘柄が上がった日」とは限らない典型的なパターンでした。
GDPの下振れは株価の重荷になりませんでした。 予想を下回る成長率が出ても日経平均が続伸した背景には、いくつかの読み方があります。一つは、GDPが4〜6月という過去の期間を示す統計であり、決算などで確認済みの企業業績のほうが株価に効きやすいこと。もう一つは、実質の伸びが鈍くても名目GDPは年率4.8%増と高い伸びを保っている点です。企業の売上高は名目の金額で計上されるため、物価上昇を含んだ名目の成長は業績にとって追い風になります。市場の関心が実質より名目に向きやすい局面といえます。
個人消費のマイナスには一時的な要因が含まれます。 8四半期ぶりのマイナスという見出しは目を引きますが、下げ幅は0.02%とごく小さく、要因として挙がっているのはたばこの値上げによる購入減と高校授業料の無償化です。後者は家計の支出が減っただけで、教育サービスが減ったわけではありません。制度変更による統計上の振れと、家計の節約による需要の減少は意味が異なるため、この1四半期だけで消費の基調が変わったと判断するのは早計です。次の四半期の数字と合わせて確認したい項目です。
日銀の追加利上げ観測は残ったままです。 GDPが予想を下回ったこと自体は利上げを急がない材料になりえますが、GDPデフレーターは前年同期比2.6%上昇と物価の上昇圧力は続いています。外為どっとコムが紹介したロイターの報道では9月会合での1.25%への利上げが視野に入っており、円相場が159円台前半で下げ渋ったのもこの観測が意識されたためとみられます。今後は21日発表の7月全国消費者物価指数(CPI)が、この観測の確度を測る材料になります。
7万円までは800円弱の距離です。 日経平均は先週末に4営業日続伸し、今日で5日続伸となりました。心理的節目の7万円までは残り780円ほどです。ただし今日の上昇が一部の値がさ株に依存していることを踏まえると、この水準の持続性は半導体関連の値動き次第という側面があります。市場全体の広がりを見るうえでは、TOPIXが再び上昇に転じるかどうかが一つの目安になります。
今夜と今週の日程です。 今夜は21時30分に米8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、23時に米8月NAHB住宅市場指数が発表されます。今週は19日に米FOMC議事要旨(7月28〜29日会合分)、20日にウォルマートの決算、21日に日本の7月全国CPIと米8月PMI速報値が控えています。国内の決算シーズンが一巡したため、統計と金融政策が相場の軸になる週です。
ひとこと解説
今日のGDP発表では、「実質は年率1.1%増」と「名目は年率4.8%増」という2つの数字が並びました。同じ経済の大きさを測っているのに、なぜ4倍以上の差がつくのでしょうか。ここを理解しておくと、物価が上がる時代のニュースの読み方がだいぶ変わります。
まず名目GDPは、その期間に国内で生み出された価値を、実際に取引された価格でそのまま合計した金額です。今回でいえば年換算で687兆7182億円という実額がこれにあたります。私たちが日々目にする値札や請求書の金額と同じ物差しで測った経済の規模です。
これに対して実質GDPは、物価の変動による影響を取り除いた数字です。たとえば、去年と同じ量のパンが売れたのに値段だけが5%上がったとします。名目では売上が5%増えたことになりますが、パンの生産量そのものは1個も増えていません。実質GDPはこの「量」の部分だけを取り出そうとするもので、景気が実際に拡大したのかを測るのに向いています。ニュースで「成長率」として大きく報じられるのは通常こちらです。
そして名目と実質の差を埋めているのがGDPデフレーターです。今回は前年同期比2.6%の上昇でした。名目GDPを実質GDPで割って算出される、いわば「経済全体の値段の上がり具合」を示す指標です。よく似た指標に消費者物価指数(CPI)がありますが、CPIが家計の買うものを対象にするのに対し、GDPデフレーターは設備投資や輸出も含めた国内生産全体をカバーします。加えて、GDPデフレーターは輸入物価の上昇では下がるという特徴があります。輸入は国内で生み出された価値ではないので差し引かれるためです。原油高が続く局面でCPIが上がってもデフレーターがなかなか上がらなかったのは、この仕組みによるものでした。今回2.6%まで上昇しているということは、輸入コストではなく国内の価格転嫁が進んでいる姿を映していると読めます。
では投資家はどちらを見ればよいのでしょうか。景気の実力を測るなら実質、企業の業績を考えるなら名目、というのが一つの整理です。企業の売上高も利益も、決算書には名目の金額で載ります。物価が上がる局面では、実質の成長が鈍くても名目の売上は伸びやすい。今日GDPが予想を下回っても株価が崩れなかった背景には、この構図があります。
ただし、名目の伸びを手放しで喜べるわけでもありません。物価上昇に賃金の伸びが追いつかなければ家計の購買力は落ち、いずれ消費の量そのものが減ります。今回の個人消費が8四半期ぶりのマイナスになった点は、その入り口を示している可能性もあります。名目の成長が本物かどうかは、実質がついてくるかで確かめる。 2つの数字を並べて見る意味は、そこにあります。次にGDPのニュースを見るときは、見出しの成長率だけでなく、その下に小さく載っている名目とデフレーターの数字にも目を向けてみてください。
出典:
- 日経平均終値506円高 キオクシア復調、インフレ加速も支え(日本経済新聞)
- 〔東京株式〕5日続伸=ハイテクが押し上げる(17日)☆差替(時事通信/Yahoo!ファイナンス)
- 東証前引け 日経平均は小幅続伸 AI半導体株が支え(日本経済新聞)
- 東証14時 日経平均はじり高 キオクシアなど押し上げ(日本経済新聞)
- 日経平均は168円高でスタート、キオクシアHDや任天堂などが上昇(財経新聞)
- 日経平均150円高、プラス寄与上位はアドバンテス、キオクシア、ソフバンGなど=17日後場(株式新聞Web)
- 17日前引けの日経平均株価=7円64銭高の6万8721円44銭と小幅に5日続伸(株式新聞Web)
- 4〜6月の実質GDP年率1.1%増 3四半期連続プラス(日本経済新聞)
- 4〜6月のGDP年率1.1%増 3期連続プラスも民間予測下回る(共同通信/Yahoo!ニュース)
- 外為10時 円相場、堅調 159円台前半 中値「ドル余剰」の声(日本経済新聞)
- ドル円159円割れには慎重も、戻りに鈍い=東京為替(みんかぶFX)
- ドル/円今日の見通し|FRBの利上げ観測後退もドルの底堅さは継続 159円台前半で次の材料待ち(外為どっとコム)
- 【きょうの主要経済・暗号資産日程】8月のニューヨーク連銀製造業景況指数など(BloomingBit)
- 国民経済計算(GDP統計)(内閣府 経済社会総合研究所)