今週(8月3日〜7日)の東京株式市場を振り返ります。月曜日は日米の協調介入公表で円が急伸して600円超の下落、水曜日は2,342円高の大幅続伸、木曜・金曜は半導体株安で小幅な下げと、日ごとに表情が変わる1週間でした。決算発表がピークを迎えたことで、指数の方向よりも個別銘柄の値動きが目立った週でもあります。週末には米7月雇用統計が予想外のマイナスとなり、米国株はS&P500種株価指数が最高値を更新して取引を終えました。まずは数字から見ていきます。

日付 日経平均終値 前日比 TOPIX終値 前日比
8/3(月) 63,754.90円 -607.12(-0.94%) 3,960.03 -43.27(-1.08%)
8/4(火) 63,957.53円 +202.63(+0.32%) 3,961.78 +1.75(+0.04%)
8/5(水) 66,300.44円 +2,342.91(+3.66%) 4,046.17 +84.39(+2.13%)
8/6(木) 65,683.26円 -617.18(-0.93%) 4,055.85 +9.68(+0.24%)
8/7(金) 65,606.71円 -76.55(-0.12%) 4,074.93 +19.08(+0.47%)

週間では、日経平均は前週末(7月31日)の終値64,362.02円から**1,244円69銭高い65,606.71円(+1.93%)で1週間を終え、2週ぶりの上昇となりました。TOPIXも4,003.30から4,074.93へ71.63ポイント高(+1.79%)**で、こちらは週の後半に4営業日続伸しています。

週末(8月7日)の米国市場 終値 前日比
NYダウ工業株30種 54,036.93ドル +151.83(+0.28%)
S&P500種株価指数 7,757.64 +47.68(+0.62%) ※最高値
ナスダック総合指数 26,690.62 +342.27(+1.30%)
米7月雇用統計(8月7日発表) 結果 市場予想
非農業部門雇用者数 -2.3万人 +8.0万〜8.3万人
失業率 4.1% 4.2%
平均時給(前年同月比) +3.2% +3.5%
為替(8月7日 NY市場) 水準
ドル円 終値 157円78銭
当日の値幅 156円68銭〜158円39銭

米国市場も週間では上昇しました。NYダウは7月31日の終値52,485.03ドルから1,551ドル90セント高(+2.96%)、ナスダック総合は25,373.85から1,316.77ポイント高(+5.19%)で今週を終えています。

何があった?

3日(月)は協調介入の公表で始まりました。 片山さつき財務相が午前中に日米の協調介入を正式に公表し、円は一時1ドル=155円台前半へ急伸。約3カ月ぶりの円高水準となり、輸出関連を中心に売りが出て日経平均は607円12銭安の6万3754円90銭と3日ぶりに反落しました。取引時間中には下げ幅が1600円を超える場面もありましたが、後場にかけて大きく縮小しています。個別では、利益見通しが市場の期待に届かなかったファナックが急落し、Bloombergは40年ぶりの下落率と伝えました。

4日(火)は202円63銭高と小幅に反発。 前日の米ハイテク株高が支えとなる一方、円高への警戒から自動車や商社には売りが続き、上げ幅は限られました。この日はトヨタ自動車が27年3月期の通期予想を上方修正しましたが、想定為替レートの見直しが主因と受け止められて株価は小幅安。一方、4〜6月期の純利益が97%増となった三菱重工業は7%高、日本製鉄は今期最終利益を32%上方修正しました。「発表の中身をどう読むか」で明暗が分かれる、決算シーズンらしい一日です。

5日(水)は今週最大の上昇となりました。 前夜の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6%を超えて上昇した流れを引き継ぎ、AI・半導体関連の値がさ株に買いが集中。日経平均は2,342円91銭高の6万6300円44銭と大幅続伸し、アドバンテスト1銘柄で約504円分を押し上げたと伝えられました。通期予想の上方修正と株式分割を発表したイビデンは、前日比4,000円高の23,330円でストップ高となっています。

6日(木)は617円18銭安と3営業日ぶりに反落。 前日の米ナスダック総合とSOX指数の下落を受けて半導体・AI関連に売りが出ました。ソフトバンクグループの4〜6月期の純利益が前年同期比18%減だったことも重荷となっています。ただしTOPIXは9.68ポイント高と上昇し、東証プライムでは値上がり銘柄のほうが多い一日でした。

7日(金)は76円55銭安と小幅続落。 朝方は半導体関連への売りで下げ幅が一時1000円を超え6万5000円を割り込みましたが、後場にかけて下げ渋りました。決算では、市場予想に届かない純利益予想を示したレーザーテックが一時14%を超える下落、4〜6月期が3割減益となった富士フイルムホールディングスが一時18%安。反対に、通期の経常利益予想を43.4%引き上げたフジクラは一時14%高となりました。この日もTOPIXは19.08ポイント高で、値上がり939銘柄に対し値下がり582銘柄と市場全体はむしろ買われています。

そして7日夜、米7月雇用統計が発表されました。 非農業部門雇用者数は2万3000人の減少と、8万人程度の増加という予想に反してマイナスに転じ、過去2カ月分も合計で10万3000人下方修正されました。平均時給の伸びも前年同月比3.2%と予想を下回っています。短期金融市場が織り込む9月の利上げ確率は発表前の55%程度から40%程度へ低下し、早期利上げ観測の後退を受けてナスダック総合が1.30%高、S&P500は最高値を更新しました。為替はドル売りが強まり、ドル円は一時156円68銭まで円高が進んだあと157円78銭で週を終えています。

注目ポイント

  • 日経平均とTOPIXの「ねじれ」が週後半の常態になりました。 6日・7日はいずれも日経平均が下落する一方でTOPIXは上昇しています。株価の高い半導体関連に売りが集中し、それ以外の幅広い銘柄は底堅い、という構図です。日経平均が株価平均型、TOPIXが時価総額加重型という計算方法の違いが、そのまま指数の差になって表れました。指数の数字だけでは市場の実感をつかみにくい週だったといえます。

  • 決算が個別株の主役でした。 今週はトヨタ、三菱重工、ソフトバンクグループ、イビデン、レーザーテック、フジクラなど発表が集中し、7日だけで679社が予定されていました。ここで繰り返し起きたのが「上方修正でも下落」「増益でも下落」という反応です。株価は発表前の市場予想を織り込んで動いているため、実績や見通しが予想に届いたかどうかが問われる、という決算シーズンの性質がはっきり出ています。

  • 為替の主導権が介入から金融政策へ移りました。 週の入り口は協調介入で155円台まで円高が進みましたが、週末は米雇用統計の下振れによる利上げ観測の後退がドル売り材料となりました。同じ「円高方向」でも、当局の介入によるものと金利観測によるものでは、市場の受け止め方が変わります。日米の金融政策をめぐる材料が続くなか、為替と株価の関係は引き続き意識されやすい局面です。

ひとこと解説

今週、イビデンがストップ高になったというニュースがありました。この「ストップ高」「ストップ安」の仕組みを整理しておきます。

日本の株式市場には**値幅制限(制限値幅)**というルールがあります。1日のうちに株価が動ける範囲をあらかじめ決めておく仕組みで、その上限まで上がった状態がストップ高、下限まで下がった状態がストップ安です。

制限の幅は、前日の終値などを基準とした基準値段の水準ごとに金額で決まっています。たとえば基準値段が1万5000円以上2万円未満なら上下4,000円、1万円以上1万5000円未満なら上下3,000円、1,000円未満なら上下150円といった具合です。株価が高い銘柄ほど金額の幅は大きくなりますが、率でみるとおおむね2〜3割程度に収まる設計になっています。イビデンの場合、前日終値が1万9330円で制限値幅は上下4,000円。だから23,330円で値上がりが止まった、というわけです。

このルールがある理由は、価格が1日で青天井に動くのを防ぎ、投資家が情報を確認する時間を確保するためです。ただし副作用もあります。買いたい人ばかりで売り手がいない状態になると、ストップ高のまま売買がほとんど成立しない「張り付き」が起きます。持っている人が売れない、買いたい人も買えない、という状態です。

そのため取引所は、2営業日連続でストップ高(安)のまま売買が成立しないなどの条件を満たした銘柄について、翌営業日から制限値幅を2〜4倍に広げる措置をとります。値幅を広げることで売り手と買い手の価格が近づき、売買が成立しやすくなるという考え方です。

ニュースで「ストップ高」と聞くと勢いの強さばかりに目が向きがちですが、実際にはその日はそれ以上動けなかったという意味でもあります。制限値幅に達したということは、市場が織り込みきれていない材料が残っている可能性を示す一方、翌日以降に反対方向へ動くこともあります。数字の裏にある仕組みを知っておくと、見出しの印象に引きずられずに受け止めやすくなります。


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