おはようございます。9月19日(土)は、イギリスのチャールズ国王が、AI企業のトップを前に直接「歯止め」を求めたニュースから始めます。あわせて、ChatGPTがWordの中で使えるようになった身近な変化や、AIの電気の使い方、日本国内の2つの動きを取り上げます。

1. チャールズ国王、AI企業トップに「存亡に関わる危険」 — スコットランドのサミットで

何が起きた? イギリスのチャールズ国王は現地時間の9月17日、スコットランドのダンフリーズ・ハウスで開かれたAIに関する会合で、AIが悪意ある人の手に渡った場合の「存亡に関わる危険(existential dangers)」について警告しました。会合にはNVIDIA、Google DeepMind、OpenAI、Anthropicといった主要AI企業の幹部に加え、英政府や市民社会の関係者が参加したと報じられています。

国王はAIについて「興味深くもあり、深く憂慮すべきものでもある」という趣旨を述べ、**「手遅れになる前に、十分な制御の手段が必要ではないか」**と問いかけました。報道によると、国王は2023年にはAIを「リスク」という言葉で語っていましたが、今回は「存亡に関わる」「破滅的」という、より強い言葉を使っています。

なぜ重要? ここ2週間ほど、「最先端AIの開発ペースを落とすべきか」という議論が続いています。EUのフォン・デア・ライエン委員長の発言に続き、政治色の薄い立場の国王までが同じ方向で発言したことは、この議論が特定の国や党派の話ではなくなりつつあることを示しています。ただし、国王の発言に法的な拘束力はなく、具体的なルールづくりはこれからです。

ひとこと解説: **「存亡に関わるリスク(existential risk)」**は、人類全体の存続に関わるほど大きなリスクを指す言葉です。AIの分野では、サイバー攻撃や生物兵器への悪用など、取り返しのつかない被害につながる使われ方を念頭に使われることが多い言葉です。

2. ChatGPTがMicrosoft Wordの中で使えるように — 無料プランでも利用可

何が起きた? OpenAIは9月17日、Microsoft Wordの中でChatGPTを使えるアドイン(追加機能)を提供開始しました。Wordの画面の右側にサイドバーとして表示され、下書きの作成、選んだ文章の書き直し、要約、見出しや書式の調整などができます。すでに提供されていたExcelとPowerPointと同じMicrosoft用アドインに、Wordが加わった形です。

Microsoft Marketplaceからアドインを入れ、手持ちのChatGPTアカウントでサインインして使います。無料プランを含むすべてのプランで利用できますが、プランごとの利用回数の上限は共通で消費される点に注意が必要です。また、提供元の説明によれば、開いている文書だけが対象で、通常のChatGPTの会話履歴やメモリー機能とは切り離されています。複雑な表やグラフの書式は、手直しが必要になる場合があるとされています。

なぜ重要? 「ChatGPTの画面と資料の画面を行き来してコピペする」という手間が減ります。無料プランでも使えるため、仕事や学校の文書づくりで試せる人は多いはずです。一方で、会社や学校のアカウントでは管理者の承認が必要な場合があるほか、機密情報の扱いは所属先のルールに従う必要があります。

ひとこと解説: アドインは、既存のソフトに後から機能を足す小さな追加プログラムのことです。ソフト本体を入れ替えなくても、必要な機能だけを追加できます。

3. NVIDIA・Google・Emerald AIらが「AI電力連合」を発足 — データセンターが電力を譲り合う仕組みへ

何が起きた? NVIDIA、Google、スタートアップのEmerald AIが中心となり、AI Energy Management Alliance(AEMA)という新しい連合の発足が発表されました(発表は9月16〜18日にかけて報じられています)。Anthropicや、National Grid、AES、Constellation、NRG、RWEといった電力会社・発電事業者を含め、約20の企業・団体が参加しています。

ねらいは、AIのデータセンターを**「電気を使うだけの施設」から「電力網の状況に応じて使う量を調整できる参加者」に変えることです。具体的には、急ぎでない学習処理を電力が余る時間帯にずらしたり、施設内の蓄電池を使ったりする方法が挙げられています。連合側は、こうした調整によって追加で100ギガワット分のデータセンターを電力網につなげる余地が生まれると試算していますが、これはあくまで見通しであり、実現が決まった数字ではありません**。

なぜ重要? AIのデータセンターは大量の電気を使うため、電力網の空き待ちや、地域の電気料金への影響が各国で議論になっています。「電気の使い方を柔軟にすることで、増設の余地を作る」という発想は、AIの拡大と電力インフラの折り合いをつける現実的な方向のひとつです。

ひとこと解説: **ギガワット(GW)**は電力の大きさの単位で、1GWは大型発電所およそ1基分に相当するとよく例えられます。100GWはかなり大きな規模ですが、今後の可能性を示す試算値として受け止めるのが適切です。

4. 三菱重工がPreferred Networksに100億円出資 — 社会インフラ向け「国産AI」を本格化

何が起きた? 三菱重工業と、日本のAI企業Preferred Networks(PFN)は9月16日、資本業務提携契約を結んだと発表しました。三菱重工が第三者割当増資を引き受ける形で、PFNに総額100億円を出資します。両社は今年6月に業務提携を発表しており、今回はそれを資本関係にまで広げたものです。

対象分野は、社会インフラとナショナルセキュリティです。三菱重工の設備・制御・シミュレーションの技術と、PFNのAI基盤モデルやAI半導体、計算基盤を組み合わせ、機械やシステムの知能化・自律化を進めるとしています。

なぜ重要? 生成AIの話題は海外企業が中心ですが、発電所や工場、インフラ設備を安全に動かす領域では、現場の知見とハードウェアを持つ企業の役割が大きくなります。AI半導体から基盤モデルまで国内で手がける体制を厚くする動きとして注目されます。

ひとこと解説: 第三者割当増資は、会社が新しい株式を特定の相手に引き受けてもらって資金を集める方法です。単なる取引関係より踏み込んだ、長期の協力関係を意味することが多い形です。

5. ローソン、生成AIが発案した3商品を9月29日発売 — 「レモンタルト(ピクルス風味)」も

何が起きた? ローソンは9月16日、生成AIが出したアイデアをもとに開発した3商品を、9月29日から関東・甲信越エリアの店舗で発売すると発表しました。ローソンが生成AI活用商品を本格的に発売するのは初めてとされています。

発表された商品は、「レモンタルト(ピクルス風味)」(270円)、「酒種あんバターヨーグルトパン」(181円)、**「混ぜて食べる 和風パフェサラダ(ビーフン入り)」(475円)**です。アイデア出しの段階では、「今までにない組み合わせ」「見た瞬間に驚かれる」「食べてみたらおいしい」といったテーマを設定し、過去の販売実績や市場データをあえて使わなかったと説明されています。

なぜ重要? AIの活用というと文章作成や分析が思い浮かびますが、これは**「データに基づく最適解」ではなく「人が思いつきにくい発想」をAIに求めた**例です。実際に売れるかどうかはこれから分かりますが、AIの使いどころを広げる試みとして参考になります。

ひとこと解説: 生成AIは、過去のデータに沿った無難な案も、あえて外れた組み合わせも出せます。**どんな条件を与えるか(プロンプト)**で結果が大きく変わるため、「何を求めるか」を決めるのは今も人の仕事です。

まとめ

今日は、チャールズ国王の警告という大きな議論の話から、WordのChatGPTやコンビニのAI商品という手元の話まで、幅が広い一日でした。

AIをどこまで任せるかという議論が続く一方で、私たちの日常では「使える場所が静かに増えていく」変化が進んでいます。新しく使えるようになった機能は、まず小さく試して、出てきた結果を自分で確かめるところから始めるのがおすすめです。

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